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327 ユカ対マスターリッチ

古代の邪神官は何か重要なことを知っているようです。

 S級モンスター、マスターリッチ。


 古代の神官が邪神に魂を売った姿がリッチだ。

 マスターリッチはその中でも、僧正や大神官と呼ばれる地位の人物が邪神に魂を売り渡した最強クラスだ。


「〇Φ§×Δ±Ψ!!」


 全く何を言っているのか聞き取れないが、マスターリッチは古代の言葉を唱えながらボクに絶大な魔法を放ってきた。


「ユカ坊!」

「ユカ様!」


 みんなが駆けつけるよりも先に、マスターリッチの絶大な魔力がボクを襲った。


「うわああああー!!」


 大地を揺らす振動、そして荒れ振るう突風が僕を襲った。

 こんな絶大な魔力を喰らえば、骨どころか魂まで砕かれそうな威力だ。


「あれ……? 何ともない」

「!?!?!!?」


 ボクに魔法を放ったマスターリッチが驚いていた。

 だがマスターリッチは再び魔法を連続で放ってきた。

 今度の魔法は火炎の塊を何十発と連続で撃ってきたものだった。


 ボクは火炎に包まれた。

 だが、ボクは全く無傷だった。

 そういえば、ボクはキマイラの激しい炎の時も全く傷を受けなかった。


「ユカ様、安心してくださいませ。ユカ様には私の絶対究極魔法トライディザスターすら効かなかったのですわ」


 確かに、S級魔法使いのルームさんの魔法ですらボクの装備しているレジストベルトは無効化してくれた。

 今のボクならあのマスターリッチでも倒せるかもしれない。


「Ψ±×……コレガコノジダイノコトバカ。ナントタンジュンナツクリダ」


 マスターリッチがボク達の話を聞いて言葉を解析したらしい。


「ワレハ……ザッハークサマノダイシンカン。キサマラヲザッハークサマノイケニエニシテヤロウ、シヌガヨイ」


 マスターリッチはそう言うと、ボクに連続で属性の異なる魔法を何十発と連発で叩きつけてきた。

 その一撃が全て最強クラスの魔法だ。

 だがボクには全ての魔法の効果が無かった。


「ナゼダ、ワレノゼツダイナマリョクガ……イッサイキカナイダト!?」


 マスターリッチがうろたえている。

 このレジストベルトがある限り、マスターリッチの攻撃はボクには効かないらしい。


「今度はこっちの番だ!!」

「ククククク……ヤミノダイシンカンデアルワレニ……フツウノブキナゾコウカハナイ」

「でやあああー!!」


 ボクの持つ剣がマスターリッチの骸骨の腕を斬り飛ばした。


「ナゼダ! ジャシンノカゴヲウケタワレヲキレルケンナゾ……マサカ!ソレハ『エクスキサーチ!?』」


 マスターリッチがボクの持つ剣を見て驚いていた。

 どうやらこの剣の名前はエクスキサーチというらしい。


「ウソダ……エクスキサーチハ、エイータノカラダトトモニアノメガミゴトシンデンニフウインシタハズ!? ソレガナゼココニ……モシヤ、エイータガフッカツシタノカ!?」


 エイータ、それは誰なのだろうか。

 マスターリッチの言い方では、古代の神様の名前のようだが。


「ウソダウソダウソダウソダ……ワレノケイカクガクルウワケガナイ……」


 マスターリッチが混乱している。

 今ならボクでも倒せるかもしれない。

 ボクは手に持つ剣、エクスキサーチでマスターリッチを攻撃した。


 エクスキサーチはその攻撃力でマスターリッチの骸骨や装飾具を次々と砕いた。


「コウナレバ……キュウキョクノヤミマホウデキサマラヲケシサッテクレル!!」

「ユカ様! そいつが使おうとしているのは闇魔法ですわ。闇魔法はレジストベルトでも防ぎきれませんわ」


 マスターリッチは闇魔法を使おうとしていた。

 アイツが闇の属性なら、もしボクの身体を使っていた人が聖属性の床を作っていたならアイツを倒せるかもしれない。


「ボクのスキルでマスターリッチの足元に聖なる場所を用意してくれ!」

「ナ……ナンダコレハ!?」


 ボクの床貼りのスキルは、マスターリッチの足元に温泉を作った。


「ナ……ナンダト!? ワレノ……カラダガトケテイク!?……ザ……ザッハークサマァァー!!」


 マスターリッチは温泉の中で完全に溶けて消えてしまった。

 まさか、聖なる場所って言ったけど、温泉が出来るとはボクは想像がつかなかった。

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