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299 ボクの旅の仲間

 次の日の朝、ボクは目を覚ましてみんなに鍵のかかった部屋の不思議な床の話をした。


「本当に覚えてないのですわね。その床はユカ様が作ったワープ床というものですわ」

「ワープ……床?」

「ワープとはユカ様が言ってた言葉ですわ。古代の言葉で移動を意味するそうですわ」


 やはりボクの知らないボクが、この身体で冒険をしていたようだ。

 でも古代の言葉を知っているって……以前のボクは何者だったのだろう?


「移動って事は、すぐにどこにでも行けるって事?」

「そうですわね。その床を使えばお父様の城やミクニの国にもすぐに行けるというわけですわ」


 信じられない能力だ。

 ハズレスキルの床貼りの力で、そんな事までできるなんて。


「ルームさん、もしよければボクの覚えていない前の事を教えてもらえますか?」

「そんな……さん付けなんて他人行儀ですわ。(わたくし)の事はルームと呼び捨てにしてもらえますかしら」

「え、でも……伯爵様の娘さんにそんな……」

「貴方は誰もが認めるような救世主ですわ。そして……(わたくし)の恋人でもありますし」


 えええー? ボクがこんな可愛くて強い貴族の娘さんと恋人!?


「ルーム! いい加減な事を言うなっ!!」

「このたわけっ!! 何をどさくさに紛れてしれっとありもしないことをでっちあげとるんじゃっ!!」

「ちぇっ……今のうちに上書きしてしまおうと思いましたのに、残念ですわ」


 ルームさんがホームさんに軽く叩かれていた。

 叩かれたルームさんは少し涙目になっていた。


「ほんのおちゃっぴいでしたのに……」

「やっていい冗談と悪い冗談があるだろ!」


 ホームさんがルームさんに大きな声で怒っていた。

 どうやらボクはルームさんと恋人ということではなさそうだ。

 でも友達みたいな関係なのは、なんとなく理解できた。


「ホームさん、そこまで怒らなくても……」

「いいえ。こういう時だからこそ真剣にならなきゃいけないんです。あ。僕の事もホームと呼び捨てでいいですよ。その方が慣れていますし」


 どうやら前のボクは彼とも、呼び捨てにする仲だったようだ。


「わかりました……ホーム」

「はい、その方がしっくりきます」


 ぼくはまだこの人達とどういう関係だったのかを覚えてはいない。

 でも悪い人達ではないのは確かだ。


「あの……改めてお願いしても良いですか?」

「何でしょうか?」

「一体どうしたんじゃ?」

「遠慮せずに言ってくれ」


 ボクのお願いをこの人達は快く引き受けてくれるようだ。


「ボク、前の時のことが思い出せないんだ。そんなボクでもキミ達の仲間と認めてくれるのでしょうか?」

「もちろんですわ!」

「当然じゃ。おぬしはワシの恩人じゃからな」

「勿論だ、俺はモッサールの誇りにかけて恩は返す」


 ボクはなにも思い出せない。

 でもどうやらボクの前のこの身体の持ち主は、悪人ではなかったようだ。


 ボクは一人ではない。

 コレだけ強いS級ともいえる人達がボクの旅の仲間なのだ。


「みんな、ありがとう!!」


 ボクがお礼をするとここにいたみんながニッコリと笑った。


「さて、ではユカ様の記憶を取り戻すために旅を続けますわ」

「そうですね。父上なら何か知っているかもしれませんから、一度城に戻りましょう」

「お城でしたら私がユカ様に作っていただいたワープ床から先に向かえますわ」


 ボク達はホームさんが提案した伯爵様の城に向かうために、昨日の夜ボクが入った鍵のかかった部屋の扉を開き、内側から鍵を閉めてから光る床に足を踏み入れた。


 すると、僕達は一瞬で別の部屋の中に移動した。


「ここは……?」

「ここはユカ様が借り切っている冒険者ギルドの一室ですわ。ここの鍵は内側から閉めていますわ」


 ボク達は鍵を開け、部屋の外に出た。

 すると、そこは冒険者ギルドの中だった。


「ユカ様、お久しぶりです」

「冒険者ギルドにようこそ」


 ボク達を迎えてくれたのは、ギルドのスタッフさんの綺麗な女の人二人組だった。

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