295 属性攻撃一切無効！？
串揚げという料理は、何かの肉にスパイスと玉子とパンを砕いた粉をつけて高温の油につけた食べ物だった。
「コレはあのマイル嬢が手掛けた店で売ってたものじゃ、どうやら肉は保存しておいたクジラ肉を使っておるらしいわい」
異国の少女はボクに串揚げを渡してくれた。
「ありがとう、キミ」
「キミとはなんじゃ！？ ワシはイオリという立派な名前があるんじゃ！！」
「アレ？ 今はアンさんって呼べって言ってませんでしたか？」
異国の少女が顔を真っ赤にしてわめいた。
「うるさいうるさいのじゃ！ 揚げ足を取るでないわ！！」
「アン……さんで良いですか？」
アンさんが何だか不服そうな顔をしていた。
「さんづけなんて他所他所しいのう、呼び捨てにしていいのじゃよ」
「わかりました……アン」
「それでいいのじゃ。ワシの分も食うかの？」
アンさんが串揚げをもう一本渡してくれた。
串揚げは一口嚙むと、カリっと香ばしくジュワっと肉汁があふれてきた。
「美味しい。これ美味しいです」
ボクは串揚げを一本食べ終わり、もう一本の串揚げを食べだした。
するとアンさんが、やはり食べたそうにジーっとボクの串揚げを見ていた。
「ボクの食べかけだけど……食べますか？」
「ワ……ワシにほどこしなぞ……でもやっぱり、食べたいのじゃー」
ボクは串揚げをアンさんに差し出した。
するとアンさんは大きく口を開けてパクっと食べてしまった。
「ユカ様、はしたないですわ！！」
「どーじゃ、うらやましいじゃろう、ヒッヒッヒ」
「イオリ様……一回貴女とは本気で戦ってみたかったのですわ、海に行きませんか？」
「よかろう、ワシと戦ったえんとらの弟子と言っておったな。一回手合わせしてやろうかのう！」
二人はお互いを睨み合っていた。
「ユカ様、こちらに来てくださいませ！」
「え？？？ 一体なんですか？」
ボクは何も伝えてもらえずに、ルームさんに海に連れていかれた。
「ユカ様、ちょっと試させてもらいますわよ！ ファイヤー」
「え！？ 何をするんですか！！」
ルームさんが魔法をボクに撃ってきた。
炎が僕を包んだ。
「うわー！！ 死ぬー！ 助けてー！！」
ボクはいきなりの魔法にパニックになってしまった。
「あれ……？ 熱くない？？」
ボクは炎に包まれたはずなのに全く熱さどころか痛さも感じなかった。
「成功みたいですわね。そのレジストベルトと銀狼王のマントがあれば、ユカ様は属性魔法を一切無効化できるみたいですわ」
凄い装備だ。あの重い鎧は装備できなかったが、このベルトとマントなら今のボクでも装備できる。
でもこんな伝説級の防具、一体どうやって手に入れたのだろうか？
やはりこの人達は凄腕の冒険者なんだろう。
「凄い……これ、ボクが使ってもいいの？」
「もちろんですわ、私にはご先祖様の杖がありますから」
そう言うとルームさんはとても立派な杖を高く掲げた。
「ユカ様、さっきの魔法で確信できましたわ！ 私の絶対究極魔法を使わせていただきますわっ！！」
「ええええ！？ 絶対究極魔法って……まさか、あの大ダコに使った……アレ！！？？」
「その通りですわ。行きますわよ！」
「やめてやめてやめてー！ 死ぬ、間違いなく死ぬ、死ぬってー！！」
ルームさんが高く杖を振りかぶり、エネルギーを集めた。
「アブソリュートゼロ・テンパルチャァー！！」
ボクを凄まじい氷が包み込んだ。
「プロミネンス・ノヴァッ！！」
そしてその直後、天にも伸びるほどの炎がボクを焼き尽くす！
「トライィィ……ディザスタァアアー！！！」
「ウワアアアア、た、助けてー！！」
ボクの身体を天から雷が貫いた。
……しかし、どの攻撃もボクには一切のダメージを与えられなかった。
「成功ですわ！ やはりユカ様は全ての属性魔法を無効化できるのですわ」
「は……はは、もう、何がどうなってるの……？」
ボクはその場に座り込んでしまった。
