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290 真っ赤な総力戦!

 ピンチの私達を助けてくれたのは、格段にレベルアップしたホーム達と大魔女エントラ様だった。


 私達を助けるために空から飛び下りてきたのは、ホームだった。

 私が上空を見ると、クリスタルドラゴンが空に待機している。


「ユカ様ー! お待たせしましたわー!!」


 次にクリスタルドラゴンから飛び下りてきたのは、ルームだった。


「レジストサンダー!!」


 ルームの魔法は私達全員を、雷無効の光の膜で包んだ。


「……かーらーのー、トォォールハンマァァァアー!!!」


 イオリ様の天雷に匹敵するほどの絶大な雷が、レッドオクトの全身を貫く。


「ギャゲゲギャアアーー!!」


 ルームのレジストサンダーのおかげで、私達はあれだけの強烈な雷にも全くの無傷だった。


「ルームちゃんの魔法が効いてるなら、(わらわ)の魔法も使えそうだねェ」


 大魔女エントラ様が大きく杖を振りかぶった。


「プロトン……サンダー!!」

「ほう、流石じゃのう」


 大魔女エントラ様のプロトンサンダーはルームのトールハンマーすらも大きく上回る破壊力だ。


「流石はお師匠様……(わたくし)よりもよほど凄い魔法ですわ」

「ルームちゃん、本気を出してもいいからねェ」


 ルームは大魔女エントラ様の言葉で自信を持ったようだ。


「では、行きますわ!」

「ルーム、こっちも準備できてるよっ」


 ルームはホームに向けて魔法を放った。


「トールゥゥーハンマァァア―!!」


 何故だ!? ルームはホームに向けて魔法を放っている。

 しかし、ホームはそれを普通に受け止めて、魂の救済者(ソウルセイバー)に雷の塊を集めていた。


「ほう、面白い技じゃのう」


 イオリ様は双子の連携技を眺めていた。


「行きますわ! 私の絶対究極魔法……グラインドランペイィージ……ハンマァアアー!!!」


 ルームはホームに集めてもらった巨大な雷球を、魔力を鎖にして繋ぎながらレッドオクトの触手に叩きつけた。


「デエエエエリャァアアー!!!」


 ルームは凄まじい掛け声でレッドオクトを魔力で振りまわし、海に向かって雷球の塊で殴り飛ばした。


「ギャゲゲァアアー!!」


 大きく吹っ飛んだレッドオクト目掛け、クリスタルドラゴンがフリージングブレスを吐いた。


 レッドオクトは凍り付きながら海に落下した。


「久々じゃのう、乳デカ性悪魔女」

「そうねェ。いつぶりかしらねェ……お子様蛇女」

「誰が蛇女じゃ!! 頭からかじってやろうか、このくそタワケ!」


 イオリ様と大魔女エントラ様は、仲がいいのか悪いのかわからない。

 だがこの最強レベルの二人のおかげで、私達はあの大海獣レッドオクトを倒せそうだ。


「みんな、もう少しだ。全員の力でアイツを倒そう!!」


 私の合図で全員が、凍り付いたレッドオクトに総攻撃を開始した。


「レジデンス流究極奥義! 縦横無尽斬インフィニットディレクション!」

「食らえ、豪槍ポチョムキン」

「行くよぉ! 丸太杭打ちぃ(ログパイルバンカァー)

「聖なる力よ……この場にいる我らの仲間を癒したまえ……レザレクション!」


 全員の攻撃がレッドオクトの頭部を滅多打ちにし、怪物はもう瀕死になっていた。


「やった、もう少しでコイツを倒せる!」


 ここにいる全員が勝利を確信した。


 だが、その時……誰かがレッドオクトの頭部に現れた。


「ここまでやられると後々困るんだよォ……まさかレッドオクトまで倒そうとはねェ」

「お前は! バグス!!」

「おや、ボクの名前を知られてしまったのかァ。せっかく隠してたのにィ。マデンのバカがァ!!」


 レッドオクトの上にいきなり現れたのは、バグスと呼ばれた薄闇色のフードの男だった。


「どうやらこの世界の異分子はキミの事ってわけかァ」

「何を言っている!」


 バグスは睨みつけるような視線で私を見つめていた。


「そうかァ……そういう事だったんだなァ」


 バグスはそう言うと、空中に黒い塊を作りだした。


「どうやらこの世界の異分子を取り除かないとォ、今後も計画が潰されそうだなァ」


 バグスの黒い塊が私を包み込んだ。


「ぐぁあああー!!」


 何だこの攻撃は!?

 身体を引きちぎられそうな感覚が、私を襲った。

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