282 無人島からの見物
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船で一晩泊めてもらった僕達は船長さんにお礼を言って別れた。
「皆様の旅の御無事をお祈りしております」
「アンタ達も気をつけてねェ」
「はい、魔女様の魔法のおかげで無事に旅を続けられます」
船長さんは嬉しそうにお辞儀をしていた。
「あ、そうそう。アンタにあげたあのマジックアイテム。アレは常にどこを向いているかを教えてくれる魔法の針だからねェ。旅の無事を祈るからねェ」
流石はお師匠様だ。
船長さんに一番必要なマジックアイテムを宿代代わりに使い、更に魔法のバリアで船を守ってあげた。
これは後々船長さんが無事に旅を終えたらお師匠様の名前が人々に伝えられ、更に有名になるだろうという事だ。
この場での小さな行為が、後々の人々の心に残るような動き方をしているのだろう。
「ではさようならだねェ」
「ありがとうございました」
僕達はクリスタルドラゴンに乗り、また海をずっと飛び続ける事になった。
「どうやら後船で三日先に行った辺りに無人島があるみたいだねェ」
お師匠様は船長さんに教えてもらった海図の見方を元に、魔法の針で無人島を目指した。
そして僕達は予定通り、その日の夕方には日が落ちる前に無人島に到着する事が出来た。
「さて、今日はこの島で寝ようかねェ」
「お師匠様。今日は僕が料理を作ります」
「そう、それじゃあ頼んだからねェ」
僕は持ってきた食材を使い、特製シチューを作った。
お師匠様の好みに合わせ、少しだけ砂糖を多めにしたので、お師匠様は喜んでくれるだろう。
お師匠様は水晶玉で何かを見ているようだった。
「まだ雨は続いてるみたいだねェ」
ここの島は晴れているが、お師匠様が見ている場所はどこかで雨が降っているらしい。
シチューを食べ終わった僕達は毛布を敷いて、寝る事にした。
「念のためにバリアフィールドを張っておこうかねェ」
幸いこの島は満潮でも沈まない程度の広さがある小さな島だったので、僕達は並を気にせずゆっくり寝る事が出来た。。
そして次の日、僕達は朝早くからまたクリスタルドラゴンに乗って海を飛び続けた。
「ここから船で四日ほど行った場所にまた島があるみたいだからねェ。今日は少しスピードを速めるよ。ちょっと気をつけるんだねェ」
クリスタルドラゴンは昨日よりも早い速度で空を飛び続けた。
そして日没になる頃、僕達は昨日よりも大きな島に到着した。
「どうやらこの島は浅瀬で囲まれているから船ではたどり着けない島だったみたいだねェ
。少し危険な生き物がいるかもねェ」
僕達が到着したのは古代の生き物のいるような無人島だった。
そこで僕達は洞窟を見つけたのでそこで休む事にした。
「この島は広いからあと数日はここで食料を探そうかねェ」
「はい、わかりました」
僕達はこの島に数日間滞在する事になった。
島を探索中に太古の恐竜が襲ってきたが、レベル65の今の僕達の敵ではなかった。
「ようやく雨が止んだみたいだねェ。話を聞くとどうやら明日に儀式を行うらしいねェ」
お師匠様はまた何かを見ているようだった。
僕達は太古の恐竜を料理にしてその日の食事を終わらせた。
残った肉は干し肉にして持って行く事にした。
次の日、お師匠様が僕達を島の池に連れてきた。
「さあ、ここで今から面白いものを見せてあげるからねェ」
「お師匠様、面白いものって何でしょうか?」
「さあ、それは見てのお楽しみだねェ」
お師匠様はそう言うと杖を一度地面に突いた。
すると、澄んだ池の水面がどこかの風景に変わった。
「これは……ユカ様達ですわ!!」
「そう、コレはミクニの今の様子を映したものだねェ」
「ユカ様達は……これは葬儀なのでしょうか?」
「そうねェ。これはどうやらミクニの国の葬儀の様子みたいだねェ」
ユカ様達が参加している葬儀は国でも相当偉い人が亡くなった様な大規模なものだった。
多分これは国王クラスの人の葬儀だったのだろう。
僕達はしばらくその様子を池から見物していた。