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277 ミクニでの最後の夜

 アトランティス号には人が集まっていた。

 あと数日で私達はミクニを離れる。

 そんな私達を見ようと、大勢の人達が押し寄せていた。


 流石に一週間近くゆっくりしたので体調は万全だ。

 もうレベルアップ痛も消えた。


 私達はあと数日で旅立つミクニにやり残したことが無いように、それぞれが自由行動をしていた。


 マイルさんは、大きな呉服屋や廻船問屋と商談をしている。

 フロアさんは、大道芸人の猿回しのおじさんに動物との意思疎通の仕方を教えていた。

 カイリは海賊と船を出港する最終段階の調整だ。


 ハーマンもカイリのそばについて回っていた。


 エリアはイオリ様と何かを話しているようだ。

 話の内容までは分からないが、二人だけの話のようだ。

 会話は二人共古代語で話しているらしい。


 リョウカイさんは海上武士団をまとめ、私達を見送る為の海軍を統率していた。

 リョウドさんはリョウクウさんに代わり、空龍武士団、そして陸の武士団を統率してやはり同じように私達を見送る為の軍の儀礼の準備をしている。


 リョウクウさんは怪我して村で看病してもらっていた飛龍のランザンを迎えにいく為に龍哭山の方に向かったらしい。


 それぞれが、私達がミクニを離れる日の為にそれぞれの準備をしていた。


 私は城に残り、旅の準備を進めていた。

 そうして二日が経った。


「あっという間に広まりましたね」

「まあアレは美味しかったからねぇ。もう街中に揚げ物の屋台や店があるようだよぉ」


 私が一週間前にミクニの城の台所に伝えたトンカツの料理法はあっという間にミクニの城下町に広まったようだ。


 街では串カツらしき屋台や、フライドポテト、ポテトチップスのようなゴボウチップス、レンコンチップス等も売られていた。

 また、ご飯の上にカツを乗せたカツ丼も丼として、海鮮丼や天丼、親子丼等にバリエーションが増えた状態で街の飯屋に並べられていた。


 やはりこのミクニって国は日本によく似ている。


 私達は明日の出向に備えて最終段階に入っていた。


 アトランティス号は、もういつでも出航できる状態だ。

 ここを出たら最初にするべきは……赤いモンスターを倒す事だ。


 私達はあの時よりもレベルが上がっている。

 今度こそ、あのモンスターに勝つ!


 私はそう決意した。


 そしてミクニでの最後の夜。

 私達はリョウドさん、リョウカイさん達に最後の晩餐会をしてもらった。


「皆様、お気を付けください。ご武運をお祈りしています!」

「カイリ、吾輩は王としてリョウドやリョウクウ共にこの国を治めていかなくてはいけない。このミクニの地から貴公の(いくさ)の勝利を願っている、身体を(いと)えよ」

「おう、オレがしっかりと海の怪物をやっつけてまたミクニに来るぜー! その時はまた一緒に飲もうなーっ!!」


 リョウカイさんとカイリは酒を酌み交わしていた。

 それをリョウドさんはイオリ様と見ているようだった。


「姉上も……一緒にいれば良かったのに」

「リョウクウ嬢には彼女の考えがあったのじゃ。そう言うでない」


 リョウカイさんが酒を飲みながらカイリの肩に手を乗せた。


「リョウクウはな、貴公を好いている。カイリ殿、それは知っておいてくれ」

「ええー、そ……そうかよ。オレが前に会った時はまだそんな雰囲気なかったぜー」


 リョウカイさんが盃の酒を一気に酒を飲み干した。


「あれから何年たっていると思っている、もうリョウクウも立派な女だ。その気持ちに……答えてやってくれ、コレは王としてではない、アイツの兄としての吾輩の願いだ」

「……オウ、わかったぜー。しっかり覚えておいてやるよー」

「かたじけない……親友(とも)よ」


 こうして私達はミクニでの最後の夜を過ごし……眠りについた。


 次の日、私達は港に向かい、城を出発した。


「イオリ様、今日は朝から見かけなかったね」

「そうだなー、どこに行ったんだろうかねー」

「とりあえず、何か食べようか」


 私達は三人分の串揚げを屋台で頼んだ。

 フロアさんとエリアはもう先に船に向かっている


「すいませーん、串揚げ三人前お願いします」

「四人分じゃ!」


 知らない間に、私達の中にイオリ様がいた。

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