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274 今日という日を忘れぬために

 ホンド王の葬儀を終え、私達は城に戻った。


 黒い装束は回収され、私達は普段の服装に着替えた。


「どうもオレはあの服装は苦手だったなー。動きにくいんだわ」

「俺も同じだ。リョウカイさんやリョウドさんはよくアレで動けてると思うぞ」


 カイリもフロアも着なれない着物で疲れてたようだ。

 二人共食事を終えた後はすぐに眠りについていた。


 まあ私も着物を着換えた後は少し休んだが、その後起きて城の中を見渡した。


「これは……凄い、明日のための準備なのか」


 その場所は城の中でも大勢の人数が入れる大きな場所だった、最大で数万人以上が入れるくらいの広さだ。


 私は前世での時代劇の映画での謁見の間を思い出した。

 将軍の前に数万人のエキストラがずらっと並ぶ映像だ。


 ここはそれが十分に可能な広さだった。


「ユカ殿、どうなされたですぞ?」

「あ、ああ。リョウカイさん、少し城の中を散歩させてもらっていたんです。ここは?」

「ここは天龍殿。明日はこちらで式典を執り行いますので、今は準備を進めております」

「そうなんですね」


 どうやら明日、ここの場所で国民を呼び、王位継承の式典を行うらしい。

 国の家来たちが大勢で掃除や建築、色々と忙しそうに働いていた。


「ボクも何か手伝いますよ」

「いえいえ、皆様はミクニの国の大事なお客人、明日までゆっくりと羽を伸ばしてください」


 私のマップチェンジの力があれば式典の工事とかをもっと楽に楽に進める事が出来るが、ここは下手にでしゃばらない方が良いようだ。


 私はみんなと食事をしてから風呂に入り、明日に備えて寝る事にした。



 今までのお通夜モードから一夜明けて、国中はお祭り騒ぎになっていた。

 城には一般人達の長蛇の列が出来ており、その数は間違いなく数万人、下手すら十万人を超えていた。

 それだけたくさんの人が、リョウカイさん達三兄弟を祝福する為に集まったのだろう。


「皆様はこちらの特別席にお願い致します」

「はい、わかりました」


 私達は私、エリア、マイルさん、フロアさん、カイリ、それにシートとシーツ、イオリ様でそれぞれ特別席が用意された。


 船で待機していたカイリの手下の海賊達も席を用意され、全員が式典の始まるのを待っていた。


 そして、色のついた花火が打ち上げられ、盛大に式典が始まった


 リョウカイさん、リョウクウさん、リョウドさんの三人はとても豪華な服装で、天龍殿の見える踊り場に出てきた。

 辺りからは割れんばかりの拍手が、どこからも聞こえ続けた。

 それだけ大勢のミクニの国民が、三兄妹を祝福しているのだろう。


 拍手が鳴りやむと、厳かに式典は執り行われた。

 式典では亡きホンド王の立派さを伝える戦いの歴史を語り手が語り、伝統の舞曲が奏でられた。


 イオリ様は少し退屈そうにあくびをしてしまい、マイルさんに(たしな)められていた。

 まあ歴史を作った当事者にしたらわざわざ知っている事を、ほじくり返されるのが退屈だったのだろう。


 そして、三兄妹の演説が始まった。


 まずはリョウドさんが話し出した。


「僕達が今ここにいるのは、この国を救ってくれた英雄がいたからです。彼等は大臣のマデンが魔の者である事を見抜き、我等三兄妹が血で血を洗う戦乱に巻き込まれる事を防いでくれました。そして彼等は伝説の龍神様であり、亡き父上の友『龍神イオリ』様と共に魔将軍であったマデンを打ち倒してくれたのです」


 そしてリョウクウさんがその後を続けた。


「その方々は、霧深き龍哭山に向かい、マデンの呪いにより力を封じられたイオリ様の呪いを解いた。そしてマデンの魔の手から逃れる為にリョウドを連れ、逃亡していた小生を助け、再びイオリ様と城に戻ってきたのだ」


 最後はリョウカイさんだ。


「そうして、城に戻ってきた吾輩が見たのは、マデンに乗っ取られた城だった。だが彼等はそんな城を誰一人として殺す事なく駆け抜け、魔将軍であったマデンを我等兄妹と共に倒してくれた。今ここに我等がいるのは、彼等がいたからだといえよう」


 そして三人は同時に言った。


「「「今日という日を忘れぬために、今ここに英雄達を称えん!!」」」


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