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272 風呂上がりの氷菓子

「いえ、そんな……ボクだけじゃないですよ。皆さんとイオリ様の力があったからマデンを倒せたんです」

「ですが、ユカ殿達にこの国に来ていただけなければ、吾輩はリョウクウやリョウドと明けぬ争いをする事になっていたかもしれませんぞ」

「その通りです、もしユカ様達がいなければ……僕はマデンの傀儡として民に憎まれ、暗き魔道を歩まされていたでしょう」


 次の一国の王になる人物達が、二人共私に深々と頭を下げていた。


「オレもそう思うぜー。ユカがいなければこの国に来るどころか、モービーディックのせいで船すら出せなかったからなー」

「俺も一族の仇のヘクタール男爵を倒してもらえた。この恩は決して忘れはしない」


 まあなんだかんだで、私は困った人は見捨てられない性格である。

 私の座右の銘が『情けは人の為ならず』という事だ。


「それもこれも皆さんが頑張ってくれたからですよ。ボクだけの力じゃないですから」

「そうかもしれねーけど、ユカはリーダーの素質があると思うぜ、海賊の頭目やってるオレが言うんだから間違いない!」


 私は何だか少しむず痒くなってきたのでごまかすためにお湯の中に沈んだ。


「さて、良い感じに温まったし、そろそろ出るかー」


 助かった、これ以上風呂の中にいたら、流石にのぼせてくる。

 流石に風呂の中にまでレジストベルトは持ってこれないので、のぼせるのも五属性の状態異常みたいなものだろう。



 お風呂を出た私達は、甘味を出してもらった。


「どうぞ、こちらは我が城の料理人自慢の氷菓子にございます」

「これは……」


 私達に出された甘味は、あんみつと寒天、それに小豆のような豆を使った餡子だった。


「これは我がミクニ自慢の甘味でございます。この豆を使った甘味噌が絶品ですので是非ご賞味下さい」


 ミクニでは餡子という言葉は無いようである。

 だが味噌の文化はあるみたいなので、甘味噌という名称で呼ばれているようだ。


「ほう、コレは美味じゃな。えんとらの奴が羨ましがりそうな甘い味じゃ」

「此れは小生の大好物、皆様の口にも合うと思います」


 リョウクウさんが甘味を食べてとてもいい笑顔をしていた。

 この表情だけを見ると、とても男勝りの武士には見えない美人だ。


「美味しい……」

「良いねぇ。このアマミソっての……是非とも売ってくれないかなぁ。金は言い値でいいからさぁ」


 マイルさんは商売人として小豆や餡子を貿易で手に入れたいと考えているようだ。


「ええ、あなた方は国の恩人です。酒の醸造法、この甘味噌の製造法、お好きにお使いください」


 リョウドさんはやはり賢い学者や政治家タイプだ。

 この小豆や酒がきちんとした国益になる貿易用の輸出品になる事をわかった上で、交渉しようとしている。


「助かるわぁ。それでは今度船を商会から送るからその時はよろしくねぇ」

「承知致しました」


 しかしカイリが少し苦い表情をしていた。


「貿易は良いんだけどよー。あの赤い海の怪物をどうにかしないと……船がいつまでも沈められるだけだぜー」


 そう言えばそうだった。

 ミクニとグランド帝国の間には海があり、そこには超巨大な赤い何本も首のある海竜が出現するのだ。


「ほう、海に住む竜とな……ワシの眷属ではなさそうじゃがな」

「イオリ様、眷属とは?」

「龍には眷属がおっての、そういう者は離れておってもなにか気配を感じるようになっておるのじゃ」

「そうなんですね」


 その後も話はしばらく続いた。

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