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268 カツ丼を作ろう!

 私達はミクニの国賓として客間でゆっくりしていた。

 というよりも、全員がレベルアップ痛で動けずにいた。


 今後ボスを倒す度に、このレベルアップ痛が悪化していくのか……。

 レベルアップ痛はレベルが低いうちはピリピリした痛み程度だが、これが高レベルになればなるほど痛みが全身に広がる。


 痛みは最悪慣れても、身体が成長する際の副作用的なもので全身のだるさは抜けない。


 ここにいる全員が、レベルアップ痛で動けずに布団に寝ている状態だ。

 先日の魔将軍マデンとの戦いで、私達は大きくレベルアップした。

 私はレベル67、他のみんなもレベル55以上といったところだろう。


「皆様、大丈夫ですか?」


 リョウドさんが私達の様子を見に来た。

 しかし彼等もマデンを倒した功労者、レベルアップ痛は全身を蝕んでいるはず。


「まあどうにか大丈夫です。それよりリョウドさんやリョウカイさん達は?」

「吾輩はもうこの痛みを戦場で何度も体験していますぞ。痛いからと寝ていては敵の別動隊の餌食になりえるかもしれませんから。『勝って兜の緒を締めよ』これがミクニの武士の心得ですぞ」

「小生もこの痛みは慣れたものです」

「僕も……まだ痛みますが、耐えれない痛みではありません」


 ミクニの武士団、恐るべし。



「僕達はイオリ様と用意がありますので、これで失礼します」


 リョウドさん達三兄妹は、深々と頭を下げると部屋を出ようとした。


「そうそう、ユカ様達の食べたい物は何かありますか? 皆さまのために海の向こうの食事も用意できるようにしております」

「という事は、パンもあるのぉ? もう米や非常食は食べ飽きたのよぉー」

「はい、パンも用意してますよ。玉子もあります」


 ! パンがある、玉子がある、米がある。

 これはもしや、アレも?


「すみません、豚肉もありますか?」

「ええ、ございますよ」


 リョウドさんはニッコリと笑って返事してくれた。


「やったー! これでカツ丼が食えるっ!!」

「かつどん? それは一体どのような料理ですか?」


 どうやらミクニの人達はカツ丼を知らないらしい。

 私はレベルアップ痛の事を忘れて、厨房に連れて行ってくれと頼んだ。


 あまりの私の迫力に、リョウドさん達が少し引いていた。



「ユカ様、こちらが厨房です」

「カツ丼を作ってくれるんですね。作り方はボクが教えます!!」


 私はまず、料理人達に豚肉を焼きやすい大きさに切る事を伝えた。

 そして、その後、少し硬くなったパンを砕いた粉を作る事も教えた。

 パン粉を知らなかったミクニの料理人達は、このパン粉の事で驚いていた。


「豚肉を一旦小麦粉に付けます、そして塩胡椒を振ります」

「コショウとは? 何か別の物でもいいのでしょうか??」


 どうやら胡椒はここにはなさそうだ、仕方ないので山椒みたいな粒と唐辛子のような辛い調味料を使う事で代用してもらった。


「小麦粉と香辛料を付けた後、玉子を溶いた液に沈めます。全体が玉子に浸ったら、パンを砕いた粉を全体に衣の様につけます」


 料理人は最初こそ戸惑っていたものの、私の指示をテキパキと再現してくれた。


「そして、たくさんの油を入れた鍋で、この衣をつけた肉を黄金の色になるまで揚げます」

「あのう……この真っ白な物が熱い油に入れると黄金になるんですか?」


 料理人達は揚げ料理を知らないらしい。

ミクニでは油は菜種やごま油が基本で、普通は夜の明かりに使う物らしい。

 まあ百聞は一見に如かずだ。


 実際に出来上がったら、それを見ればいい。


 料理人達は私の言ったように、揚げた肉が黄金の色になった事を驚いていた。


「本当に白い衣が黄金になった……まるで妖術だ!」

「それ以上揚げると今度は真っ黒になってしまうので、もう取り出してください」


 料理人達は取り出したトンカツを細く切った。

 サクッ、サクッ、衣付きのトンカツを切るいい音が聞こえてきた。


「後は小さな鍋にダシ汁とショーユを入れた中に真ん丸なネギを切った物を入れて少し煮てください」


 どうやら玉ねぎみたいな野菜は、ミクニにもあったようだ。

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