267 雨の後の快晴
敵のボスを四天王と決めた時から、四天王コピペ改変ネタはいつか書きたいと思っていました。
◆◆◆
「マデンがやられたようだな……」
「キャハハハ……けど、アイツはアタシちゃんたち魔将軍四天王の中でも最弱でしょ!」
「人間なぞに敗れるとは、魔将軍四天王の面汚しである!」
三体の魔物達が会話をしている。
一人は、魔将軍ゲート。
後の二人は、不思議な少女と、下半身が獣の屈強な六本腕の鎧の騎士だった。
「パンデモニウム、魔軍の編成はどうなっている?」
「ゲート、それにはまだしばらく時間がかかりそうである。思った以上に被害はデカい」
「エントラめ……ここまで魔の軍勢を壊滅させるとはな……侮っていた」
やたらと軽そうな不思議な少女が笑っていた。
「キャハハハ、これでミクニの乗っ取りも白紙よねー。あの役立たず、アタシちゃんたちに死んでも迷惑かけるって」
「アビス! ふざけるな!」
「いいじゃないのよー。どーせこんな場所、アタシちゃんたち以外誰も入れないんだから……入ったらそっこーコロすし」
笑っていたアビスがいきなり爬虫類のような冷徹な目になった。
「それにね、もうグランド帝国はオシマイ……アタシちゃんの手にかかればあんなもの砂の城よりも簡単にツブせるわ」
アビスはそう言うと、自分の指を舐めていた。
「グランド帝国が落ちたら、アタシちゃんがミクニもツブしてあげるわ」
「アビス殿。マデンが数十年かけても奪えなかった国をどうやって潰すというのであるか?」
「そんなの簡単よ、あのマデンのまだるっこしいやり方、見てて嫌いだったのよね。あんなの、一気にドーンとツブしてしまえばいいじゃない。どうせ生き残った奴をドレイにするか、死んだ後にコキ使えばいいだけだから」
このアビスという少女、見た目の可愛らしさとは正反対の、邪悪が服を着て歩いているような性格である。
「それに、アタシちゃんはどんな姿にでもなれるからー、国をボロボロにする事なんて簡単なのよね。愛し合ってたもの同士をコロし合わせるなんてサイコーに楽しいわ!」
「下衆が……」
「ンー? パンちゃんなんか言ったー?」
パンデモニウムと呼ばれた魔将軍はマントを翻すとその場を立ち去った。
「マデンを倒したという連中、某が砕いてやろう!」
魔将軍パンデモニウムはそう言うと闇の中に消えていった。
◆◇◆
覇王『ミクニ・ホンド』を悼んだ涙雨は、その後も降り続けた。
マデンに操られていた城内の人達は、マデンが死んだ事により正気を取り戻した。
だが、城内の人達はホンド王が亡くなった事を嘆き、悲しんだ。
訃報はミクニの全土に伝えられた。
国中が偉大なる覇王の死に悲しみ、国は全体で喪に服した。
雨はその後も降り続け、三日後に止んだ。
雨が上がると、空には雲一つ無い青く遠い空が広がっていた。
そこには大きな虹がかかっていた。
「ホンド坊、その橋を渡って天の国に行くがよい。この国の行く末はワシが見守ってやろう」
イオリ様はアンの姿で遠くの虹を見ていた。
「イオリ様、吾輩達は兄妹三人でこの国を継いでいきます」
「そうか、ホンド坊もそれを望んでおるじゃろう」
「はいっ僕達は必ず、父上の望んだ立派な国を作って見せます!」
リョウドさんは自身の事を、僕と言うようになっていた。
もう背伸びして虚勢を張るのは止めたようだ。
「それで、僕達は父上の葬儀を行い、その後にこの国の今後の事を民全てに伝えます」
リョウクウさんが微笑んでいた。
リョウドさんが自身で歩きだした事の嬉しさと、頼られない少しの寂しさを感じているようだ。
「ユカ様、皆様はこの国の英雄です。是非とも、国賓として父上の葬儀、そして僕達の後継者の発表の式典に参加して下さい!!」
「うん、わかったよ」
エリア、カイリ、マイルさん、フロアさん、それにシートとシーツ、全員がうなずいていた。
そして私達は国賓として式典の行われる日までゆっくりしてほしいと、城の一番良い客間で数日間過ごす事になった。