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259 魔将軍マデン

「グアアアアアア!!」


 リョウドの身体にイオリ様の天雷が落ちた。


「リョウドォー!!」


 リョウクウさんの叫びが辺りに響く。


「大丈夫じゃ、幸いマデンに憑りつかれているあやつはあの程度では死なぬ」


 イオリ様がリョウクウさんをなだめた。


「グ……ガァ」

「リョウド! 今その剣を離してやるぞ!!」


 リョウカイさんの銘刀海神(ワダツミ)がマデンの黒い剣に当たった。

 そして、イオリ様の天雷で力の弱っていたため、銘刀海神(ワダツミ)で弾かれた黒い剣はリョウドの手から離れ、空中を何度か回転した後に廊下の床板に刺さった。


「皆の者! あの剣に触れるではないぞ。むう、我が本来の姿なら聖結界であのマデンの剣を封ぜたものを……」

「イオリ様、聖結界とは何でしょうか?」

「ユカ坊、聖結界とはのう、ワシの長ーい体を使った封印術じゃ。ワシの身体を丸く弧を描き、円を作る事により、その内側に聖なる結界を作る事なのじゃ」


 流石、イオリ様は龍神と呼ばれるだけのことはある。

 彼女は自ら聖属性の結界を張ることが出来るのだ。


「じゃがこの身体では、ワシのおるこの場所を結界にするだけしかできんわ」

「イオリ様、それをお願いします」

「むう、まあ構わんが……聖結界よここに在れ!」


 イオリ様は無詠唱で聖結界を目の前に作りだした。

 確かにその範囲は小さな物だった。

 私はその結界に足を踏み入れた。


 力を感じる!

 ここにいると聖なる力を手にする事が出来るようだ。


「リョウクウさん、リョウドさんをこの結界に連れて来てください!」

「承知致した!」


 リョウクウさんは気を失ったリョウドをこの結界の中に連れてきた。


「ギャァアアアア!!! 苦しいィイイ」

「我慢せんかい、何も死にはせぬわ!」


 イオリ様はリョウドを叱咤していた。


 リョウドの事はリョウクウさん達に任せて、私はやる事があった。

 私は廊下に刺さった黒い剣の前に立ちふさがった。


「ユカさん!」

「ユカッ!」


 みんなが私を心配してくれている。

 この剣に取り込まれないか不安なのだろう。


 私は目の前に手を広げてエネルギーを集めた。

 一度踏んだ地面なら、再現できるのが私のスキルだ。


「目の前の廊下を聖結界にチェンジ!!」

「!!」


 今回はかなり力を持って行かれたような気がする。

 今の私のmpは数万まで達した人外の領域だ。

 その力ですら、この聖結界を張るのはとてつもないエネルギーを消費するようだ。


「グッガガアアアアアアーッッ!!」


 マデンの黒い剣にヒビが入った。

 やはりマデンは聖なる属性に弱かったらしい。

 ここにホームがいたら魂の救済者(ソウルセイバー)で、すぐにこの剣を砕けていたかもしれない。


 私はヒビだらけになったマデンの黒い剣を遺跡の剣(エクスキサーチ)で強く斬りつけた。


 パキィィィン!


 マデンの黒い剣は粉々に砕け散った。


「やった!」

「……クッハハハハハハ」


 この笑い方は、マデン!

 マデンはまだ死んでいないのか。


「我はその程度で死にはしない。我は呪いの権化。人の無念の思いや怨嗟、慟哭に殺意等……黒き感情がある限り、我は消えぬ」

「ドコだ! 姿を現せ!!」

「よかろう……我が真の姿を見るがよい」


 私の目の前で黒い塊に髑髏のような魂がいくつも集まり、漆黒の鎧をまとった巨大な鎧武者の姿が現れた。


「貴様が……マデンか!!」

「左様、我が魔界の副王マデン! この世を地獄に変える者なり!」


 漆黒の鎧武者はその手に私が砕いたはずの黒い剣を握り、仁王立ちしていた。


「久しいの……マデン! その姿を見るのはいつぞや以来か」

「龍神イオリか……我の正体を知った貴様には呪いをかけたはず。我の事を他者に伝えようとすれば地獄の責め苦を受けるのではなかったのか」

「生憎じゃが、今のワシにはキサマの呪いはもう無い! この場では本来の姿で戦えんだけじゃ」


 魔将軍マデンはゆっくりと動き、私の作った結界床に黒い剣を突き付けた。

 するとその一撃で、結界は砕け散った。


「来い、この呪いの黒剣で貴様らの首を並べてやろう!」

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