表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/944

25 ユカの秘密~再び遺跡へ

「ユカ、私戻らないと」


 エリアは覚えたばかりの現代語でそう言った。


「エリア、どういう事?」

「私はあの遺跡でするべき事があるの……」


 エリアの表情は真剣そのものだった。

 ここで「いいえ」というのも気が引ける。


「わかった、ついていくよ」


 それを聞いていたハンイバルさんが椅子から立ち上がった。


「俺達も行かせてもらう。ユカ、いいか?」

「もちろんです! ハンイバルさん達がいてくれたら助かります!」


 丁度そこにトレーニングルームからAチームの男衆三人が戻ってきた。


「ハンイバル、オレ達も行かせてもらうぜ!」

「攻略を途中で投げ出したなんてコング様の名が泣くぜ!オレもいくぞッ」

「もちろん、僕も行きますよ」

「ハーイ。当然アタシも行くわよ、イヤとは言わないわよね?」


ここに冒険野郎Aチームが結集した。


「さて、それでは一週間分の食料を用意するか」

「……ハンイバルさん、皆さん。実は絶対に黙っていてほしい事があるんです」

「? ユカ、一体どうしたんだ」


◇◇◇


 私たちは町の使われていない廃屋に入った。

 ハンイバルさんがカギを貸してほしいと言ったところ、持ち主は後で大掃除をしてくれるならと喜んで渡してくれた、これが人徳というものか。


「家の鍵は閉めてくれましたか?」


「ユカ、遺跡に向かうんじゃないのか? その前の作戦会議にしては随分と仰々しいな」

「皆さん、実は絶対に内緒にしてほしい事があるんです!」

「ユカ、一体どうしたの?」


 私は廃屋の中央ホールで右手を掲げた。


「目の前の床をワープ床にチェンジ!」


「「「「!!!?」」」」


 私はここにいる全員の前で遺跡へのワープ床を廃屋の中に作った。


「入ってください、ボクが最初に入ります」


 私は手を取ったエリアと共にワープ床に足を踏み入れた。


「!! ユカが消えた!?」

「あのボウズ! マジかよ!」

「ほほう、これは興味深いですね。移動のコストが無くせそうです」

「これは……古代遺跡の転移システムね、でもどうしてそれをあのボウヤが?」


「話すのは後だ、ユカは先に向かった。俺達も行くぞ」

「「お、おう」」


 歴戦のベテラン冒険者も初めて見た目の前の現状は想定外だったらしい。

 それでも全員躊躇なくワープ床に足を踏み入れたのは流石と言えよう。


◇◇◇


「ここは、忘れられた遺跡か」

「マジで一瞬で着いちまったな!」


「皆さん、これが僕の能力なんです。どうやらボクは一度行った場所の床なら再現できるようなんです、こんなのをギルドで見られたら大騒ぎになるからあそこを選んだんです」

「……なるほどな、これで合点がいったよ、一人だけでオーガーを倒せたのはその地面を自在に変化する能力だったんだな。」


 ハンイバルさんは驚くというよりも感心した様子で私を見ていた。


「それで、遺跡の奥までその力で行ったわけね。しかし遺跡の魔神からはどうやって逃げたの?」

「?! おいおいミリー、そんな奴いたなんてオレ達聞いてないぞ!」

「もし魔神相手ならこの中の誰か、下手すると全滅していたかもしれませんね」

「ゴメンなさい、みんなもうヘトヘトで更に奥に行く方法なんて無かったので、古文書に書いてても言わなかったのよ……」


「ミリーを責めないでやってくれ、俺達はあの時……遺跡のボス、マスターリッチを倒すだけでもう全部の力を使い果たしただろう」


 ! 私はハンイバルさん達のチームの凄さを実感した。

 『マスターリッチ』はレベル50モンスター、古代の邪神官が魔素でレベルアップしたモンスターでモンスターランクは驚異の【Sクラス】

 同列にいるのは『オールドドラゴン』や『グレートデーモン』といった、一体で小国を亡ぼせるレベルのバケモノである。

 流石の一流冒険者のハンイバルさん達も全部の力を使い果たす程の相手だったのだ。


「確かにそうですね、遺跡最深部に行く方法があの時点では何もありませんでしたし」

「道も何もなく、オレのドラゴンライダーのスキルでも無理なんだから普通は無理だと思うぜ」

「だが、確信はなかったが、俺はユカなら攻略できると感じた。あの『ウォール・カーサ』の息子だ、きっとやり遂げると信じてたよ」


「……ユカ、すごい。この人たち、みんなユカを信じてる」


 私はこの(冒険)(野郎)(Aチーム)のおかげで、改めて今までの私自身のこの世界でやってきた事を思い出した。


『ハズレと言われたスキルでも使い方次第でどんな困難でも乗り越えられる!』


 私はこれからもこのスキルで、人の為に生きていこうと決心した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません! ぜひよろしくお願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

魔族の男がポンコツ女に振り回されるギャグです

魔王軍最強触手幹部 左遷先の不毛の地で困窮する食糧事情を解決、なし崩しに出来たハーレムで本土に逆襲大作戦!!

双子が姉妹の令嬢として再度生まれて人生を入れ替えてやり直す話です

運命のゆりかご・生き別れの双子令嬢は猫に導かれ互いの人生をやり直す

改心したワガママ令嬢が人生をやり直す話です。

ワガママ令嬢は挫けない 〜傾国の悪妃として処刑されましたが、今度こそ誰もに愛されるよう努力します〜

ロボアニメネタ始めました。

子供の頃見ていた合体巨大ロボアニメの超絶不人気外道悪役に転生してしまったエンジニアの俺が生き延びる為に!?

ダンジョン配信でミミックが悪人を退治する話です。

社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ