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253 合体魔神ゴグマゴグ

「キサマァー! 一体何をしたー!?」


 ゴグが激昂している。

 私へ攻撃したはずが、何故かぬかるみに足をとられて転倒したからだ。


「さあね、教えるわけがない!」


 私は遺跡の剣(エクスキサーチ)で転倒したゴグの頭をめがけて攻撃した。

 しかし、ゴグは手で攻撃を防ごうとした。

 だが、遺跡の剣(エクスキサーチ)の切れ味は、攻撃をかばったゴグの指を斬り飛ばした。


「ギャガガアアア!!!」


 ゴグが痛みで暴れてる。


「おっと、そこのデカブツにはオレの豪槍ポチョムキンをぶち込んでやるぜー!」


 カイリが大槍を構えた。


「泥沼でも水の一種だ。水なら俺が操れるはず!」


 カイリさんが大槍をふるった。


「泥沼よ、濁流の渦になれー!」

「むぐああああー!!!」


 ゴグの足元の泥沼がうず潮のようになりその体をがっちりととらえた。


「う、動けん!!」

「くらいなー! オレのプレゼントだぜー!!」


 カイリは大槍をゴグの巨大な単眼に力いっぱいに打ち込んだ。


「グギャアアアアアーー!!」

「兄者ァー!!」


 ゴグが弱点の単眼を潰され、のたうち回っている。


「キサマ、よそ見をして居る場合ではないぞ!」


 リョウクウさんを乗せたイオリ様がマゴグに狙いを定めた。

 そしてリョウクウさんは、空を飛ぶイオリ様の上から確実に何度もマゴグの身体に槍を突き刺した。


「ググウウウウ! キサマァー!!」

「逆賊マゴグ! 我が槍の前に潰えるがよいっ!!」


 リョウクウさんはそう言うとイオリ様から飛び降り、マゴグの真上から槍を構えて一直線に落下した。


「とあああああああぁぁぁ!!」

「グガアアアア!!!」


 マゴグの脳天から突き刺された槍はその体を串刺しにし、地面まで貫いた。


「よくやった、リョウクウ嬢よ、後はワシに任せよ!」

「はっ! イオリ様」


 イオリ様が咆哮を上げた。

 すると空が暗雲に包まれ、雷雨が降り注いだ。


「雷よ、此処に在れ!!」


 イオリ様の力で凄まじい雷撃の柱がマゴグを捕らえた。


「ギャガアアアアアオオオオオウ!!」


 雷の柱に撃たれたマゴグはその場に立ったまま力尽きた。


「やった!!」

「兄上! やりました」

「うむ、我らの勝利だ!!」


 ゴグとマゴグは完全に力尽き、その場から動かなかった。


「武士団よ! 我らの勝利だ! 勝どきをあげろ!」

「「「ゥウオォオオオオオ!!!」」」


 誰もが勝利を確信した、その時!


「クッハハハハハ! それで勝ったつもりか!」

「その声は……キサマ、マデンだな!」

「左様、我はマデン……魔将軍マデンなり」


 おぞましい声が聞こえてきた。

 これが魔将軍マデンの声なのか。


「我の忠実なる(しもべ)をよくも(ほふ)りよったな。その罪、万死に値する!」

「キサマこそ、ワシの目の黒いうちはこのミクニをキサマの好きにはさせんぞ!!」

「その声……龍神イオリか。久しいな!」


 マデンの声は聞こえるが姿が見えない。


「魔将軍マデン! どこにいるんだ!?」

「クッハハハハハ、貴様がユカか。確かににっくきバシラの面影を感じるわ! 我はそこにはいない」

「卑怯者! 姿を現せ!!」

「クッハハハハハ、我が相手せずとも地獄への死者は貴様らの前におるではないか」

「何だと!?」


 その時、死んだはずのゴグとマゴグがいきなり動き出した。


「クッハハハハハ、ゴグ、マゴグ、この二人が貴様に引導を渡す!」

「ぬう、何という禍々しい邪気じゃ! ワシの髭にビリビリきとるわ!!」


 ゴグとマゴグの死体が二つ重なった。

 すると、その死体は溶けて一つになり、腕四本、足四本の黄金の鎧を纏った黒い魔神に姿を変えた。


「クッハハハハハ、そやつは合体魔神ゴグマゴグ。貴様らの冥府の死者よ!!」

「何!? ゴグマゴグだって!」


 私の目の前に二つの魔神が合体した巨大な魔神が姿を現した。

 魔神は片手の二本の手で蛮刀を、もう二本の手で大斧を握っていた。


「グゴガアアアアア!!」


 戦場に合体魔神ゴグマゴグの雄たけびが轟いた。

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