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24 ミリーさんのスペシャル現代語講座

 翌日、私とエリアは朝食を済ませ、旅支度をしていた。


「母さん、ボク隣町の冒険者ギルド行ってくるよ」

「エリアちゃんの事ね、大丈夫よっ! ユカ、強くなったわね。今のアンタなら安心してエリアちゃんを任せられるわっ」

「お姉ちゃん、また来てねー」


 エリアは手袋を外し、ルーフの頭を優しくなでてあげた。


「お姉ちゃんの温かい手、大好き!」


 エリアはそれを聞いてルーフにやさしく微笑んだ。


「ユカ、ハンイバルさんならエリアちゃんの事、何か手助けしてもらえるかもねっ」

「うん、聞いてみるよ」

「気を付けるのよー、レベル上がったからって無理しちゃダメよーっ」

「母さん、行ってきます!」


 私とエリアは隣町の冒険者ギルドを目指した。道中のモンスターは遺跡の剣(エクスキサーチ)の前には敵ですらなく、私たちは傷一つ無く隣町にたどり着いた。



「! ユカじゃないか。無事遺跡から帰ってきたんだな。やはり俺の見立ては間違ってなかっただろ!」

「ハンイバルさん、ただいま」

「ああ、おかえり。他の連中はトレーニング場にでもいるだろうよ」

「そうなんですね」


 私が遺跡から戻ってきたと聞いて、冒険者ギルドの中はざわざわと雰囲気が変わった。


「おい、ユカのやつマジで遺跡から帰ってきたぞ!」

「オーガースレイヤーなんだからそれくらいできるだろうさ」

「まさか……途中で逃げ出してきたわけじゃないよな」

「それならハンイバルさんがあんなに嬉しそうなわけねーだろ!! 考えろ」


 荒くれどもの冒険者の中でも私の立ち位置はかなりの高評価になったようだ。

 そりゃぁ高難易度遺跡探索者なんて、どのゲームでもトロフィー持ちと評価されるので、当然と言えば当然ではある。


「ユカ、遺跡の奥には何があった……ってそこの娘は、お前の彼女ではないよな」


 エリアは何も言わずぺこりと小さくお辞儀をした。


「…………ミリー、彼女に聞きたい事がある、頼めるか?」

「ええ、わかってるわよ!」


「◇〇~~Φ▽〇◆◆」


 ミリーさんが流暢な古代語でエリアに話しかけた。


「……!●●◆◆=」


 ミリーさんの問いかけにエリアは戸惑いを見せたが、会話は成り立っているようだ。


「……ハンイバル、アタシこの子預かっても良いかしら?」

「ああ、お前なら安心だ、部屋ならギルドの個室休憩室を確保してやる」

「そうね、三日もあれば十分かしら」


 そう言うとミリーさんは、エリアを連れてギルドの個室に姿を消した。


「どういう事ですか? なぜエリアを?」

「ミリーは考古学のスペシャリスト、遺跡探索のトレジャーハンターの前は皇立アカデミーの首席で教授だったんだよ。この国で彼女以上に古代語を話せるヤツはそうはいない」

「す……凄い! というか、ハンイバルさん、なぜ何も言っていないのに」

「彼女の服装、そして挨拶一つできない事。それにユカが何もないのに女の子を連れまわす奴じゃないのは分かっている。さしずめ、ウインドウが俺を頼れって言ったとこだろ!」


 この人は一体どこまで洞察力があるんだろうか!

 私は一流冒険者の凄さを思い知った。


「ミリーは教えるのもスペシャリストだ、三日もあれば現代の言葉を彼女にマスターさせられる」


 人は見かけによらないと私は感じた。

 ミリーさんの見た目は知力よりも、スピードや器用さが高そうに見えたからである。


「まあ三日ゆっくり休んで待ちな。お前、相当の死闘をしたんだろ」

「なぜそれを……」

「なぁに、長年の経験とカンさ」


 私はハンイバルさんの手配で三日間ギルドの一等個室を貸してもらい、今までの死闘の疲れを癒すため、泥のように眠った。



 三日後、ミリーさんがエリアを連れて部屋から出てきた。


「ハンイバル、終わったわよ。さあ、エリアちゃん、ご挨拶をしてね」


「……ハンイバル……さん、ユカ、こんにちは」


「こ……こんにちは、エリア」


 ミリーさんのおかげでエリアは三日で普通に会話ができるようになっていた。

 凄い指導力だと私は改めてミリーさんに感心した。

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