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244 大悪魔VS魔将軍

◆◆◆


「貴様……俺を知らないとは、よほど辺境の魔族なのだな」

「ははは、貴方こそ、私と戦おうというのですか?」


 凄まじい光景だ。

 片方は異界最強の大悪魔、もう片方は魔族最強の魔将軍。


 どちらもが世界最強レベルの怪物。

 この二つの最強がお互い睨み合っているのだ。


「貴様、そこのエントラの味方なのか」

「そういうわけではありませんが……貴方の無礼な態度が許せませんのでね」

「面白い、それでは俺と戦おうというのか!」

「望むのなら、お相手致しましょうか!!」


 魔将軍ゲートが剣を構えた。

 それに対し、異界の大悪魔は空中に舞い上がった。


 辺りから凄まじい空気が、ひしひしと伝わってくる。

 

 最初に攻撃を仕掛けたのは魔将軍ゲートの方だった。


「死ねっ!」


 魔将軍ゲートの剣は空を切った。

 大悪魔はその剣の先にいたが、前に手を出して空気の壁を作った。


「この程度で私を倒せると思いましたか?」

「ほう、グレーターデーモン程度ならあの剣圧だけで真っ二つだったが……少々見くびっていたようだな」

「随分となめられたものですね、私をグレーターデーモン程度と一緒にするとは」


 次は大悪魔の触手が魔将軍の四方八方から襲いかかった。


「さあ、いきますよ!」


 だが魔将軍はその触手を全て片手の剣だけで切り捨てた。


「ほう、面白い手品を使う魔族だな」

「貴方こそやりますね。ドラゴンくらいなら、あれで瞬殺なんですがね」


 グレーターデーモンとか、ドラゴンとか、どれもS級モンスターの名前である。

 それを雑魚呼ばわりするほどの強さ、この二人は互角といえる。


「強者よ、貴公に敬意を捧げて最強の剣で相手しよう!」

「私も貴方を強敵と認めましょう!」


 どちらもが笑いながら格闘戦を始めた。


「フハハハハ! これほどの戦い、久々だ!」

「はははは、面白い! 面白いですよっ!!」


 既にこの二人の戦いは人外の領域だ。

 そして殴り合いを延々と続けていたお互いが一旦離れた。


「クックック、ではそろそろ本気を見せてやろう」

「ふっふっふ、ではこちらも見せてあげましょう、究極の魔法を!」


 お互いが今度は魔法対決を始めた。


「食らうがいい! アトミッククェーサー!」

「行きますよ! インフェルノブレイズ!!」


 究極の熱量がぶつかり合う。

 真っ白な熱量と青い轟焔。

 それはお互いの眼前でぶつかり合い、凄まじい衝撃波を放った。


 これが……究極の対決。


 だが、流石の怪物達も無傷では済んではいなかった。

 お互いが放った最強技で、どちらもがズタボロになっていたのだ。


「はぁっ……はぁっ……俺をここまで疲弊させたのは、貴公が初めてだな」

「貴方こそ……これほど私を追い詰めるとは、流石ですよ」


 お互いが認め合っていたが、両者とも表情にもう余裕は感じられなかった。

 それでも大悪魔と魔将軍は戦い続けていた。


 精も根も尽き果てた二つの最強は、最後の力を振り絞っていた。


「これが最後だ……ニュークリア……フュージョンッッッ!!」

「行きますよ……サウザンド……フレアァァッ!」


 究極の魔法がぶつかり合った。


「くッ!! アブソリュートレインボゥフィールド!!」


 お師匠様がアブソリュートレインボゥフィールドの魔法を貼りなおした。

 この威力は絶対の結界すら破壊しかねない究極の魔法なのだ。


 七色の結界が一枚ずつ破壊されていく。

 そして、最後の結界が破壊され、僕達は吹き飛ばされた。


「うわぁあああ!!!」


 それでも結界があったため、僕達は致命傷にならずに済んだ。

 まき上がった煙の中から魔将軍が姿を現した


「……くっ。まさかこれほどとはな、ここは一旦退かせてもらう! エントラ。次に会った時は容赦しない!!」

「ゲート……!」


 そして魔将軍ゲートは再度作り出した門の中に姿を消した。


「……はぁ……はぁ、コレはかなりキツかったですよ……」


 大悪魔も煙の中から姿を現した。


「私ももう帰りますよ……皆さん、またお会いできる日を楽しみにしていますよ」


 大悪魔は自らの眷属を引き連れ、異界の門に去っていった。


「凄まじい敵だった」

「う……うぇええええーーん」


 お師匠様が我慢しきれずに泣き出してしまった。


「アタシの砂糖が……全部吹き飛んじゃったあああああァァァ!!」


 僕とルームはずっこけてしまった。

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