244 大悪魔VS魔将軍
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「貴様……俺を知らないとは、よほど辺境の魔族なのだな」
「ははは、貴方こそ、私と戦おうというのですか?」
凄まじい光景だ。
片方は異界最強の大悪魔、もう片方は魔族最強の魔将軍。
どちらもが世界最強レベルの怪物。
この二つの最強がお互い睨み合っているのだ。
「貴様、そこのエントラの味方なのか」
「そういうわけではありませんが……貴方の無礼な態度が許せませんのでね」
「面白い、それでは俺と戦おうというのか!」
「望むのなら、お相手致しましょうか!!」
魔将軍ゲートが剣を構えた。
それに対し、異界の大悪魔は空中に舞い上がった。
辺りから凄まじい空気が、ひしひしと伝わってくる。
最初に攻撃を仕掛けたのは魔将軍ゲートの方だった。
「死ねっ!」
魔将軍ゲートの剣は空を切った。
大悪魔はその剣の先にいたが、前に手を出して空気の壁を作った。
「この程度で私を倒せると思いましたか?」
「ほう、グレーターデーモン程度ならあの剣圧だけで真っ二つだったが……少々見くびっていたようだな」
「随分となめられたものですね、私をグレーターデーモン程度と一緒にするとは」
次は大悪魔の触手が魔将軍の四方八方から襲いかかった。
「さあ、いきますよ!」
だが魔将軍はその触手を全て片手の剣だけで切り捨てた。
「ほう、面白い手品を使う魔族だな」
「貴方こそやりますね。ドラゴンくらいなら、あれで瞬殺なんですがね」
グレーターデーモンとか、ドラゴンとか、どれもS級モンスターの名前である。
それを雑魚呼ばわりするほどの強さ、この二人は互角といえる。
「強者よ、貴公に敬意を捧げて最強の剣で相手しよう!」
「私も貴方を強敵と認めましょう!」
どちらもが笑いながら格闘戦を始めた。
「フハハハハ! これほどの戦い、久々だ!」
「はははは、面白い! 面白いですよっ!!」
既にこの二人の戦いは人外の領域だ。
そして殴り合いを延々と続けていたお互いが一旦離れた。
「クックック、ではそろそろ本気を見せてやろう」
「ふっふっふ、ではこちらも見せてあげましょう、究極の魔法を!」
お互いが今度は魔法対決を始めた。
「食らうがいい! アトミッククェーサー!」
「行きますよ! インフェルノブレイズ!!」
究極の熱量がぶつかり合う。
真っ白な熱量と青い轟焔。
それはお互いの眼前でぶつかり合い、凄まじい衝撃波を放った。
これが……究極の対決。
だが、流石の怪物達も無傷では済んではいなかった。
お互いが放った最強技で、どちらもがズタボロになっていたのだ。
「はぁっ……はぁっ……俺をここまで疲弊させたのは、貴公が初めてだな」
「貴方こそ……これほど私を追い詰めるとは、流石ですよ」
お互いが認め合っていたが、両者とも表情にもう余裕は感じられなかった。
それでも大悪魔と魔将軍は戦い続けていた。
精も根も尽き果てた二つの最強は、最後の力を振り絞っていた。
「これが最後だ……ニュークリア……フュージョンッッッ!!」
「行きますよ……サウザンド……フレアァァッ!」
究極の魔法がぶつかり合った。
「くッ!! アブソリュートレインボゥフィールド!!」
お師匠様がアブソリュートレインボゥフィールドの魔法を貼りなおした。
この威力は絶対の結界すら破壊しかねない究極の魔法なのだ。
七色の結界が一枚ずつ破壊されていく。
そして、最後の結界が破壊され、僕達は吹き飛ばされた。
「うわぁあああ!!!」
それでも結界があったため、僕達は致命傷にならずに済んだ。
まき上がった煙の中から魔将軍が姿を現した
「……くっ。まさかこれほどとはな、ここは一旦退かせてもらう! エントラ。次に会った時は容赦しない!!」
「ゲート……!」
そして魔将軍ゲートは再度作り出した門の中に姿を消した。
「……はぁ……はぁ、コレはかなりキツかったですよ……」
大悪魔も煙の中から姿を現した。
「私ももう帰りますよ……皆さん、またお会いできる日を楽しみにしていますよ」
大悪魔は自らの眷属を引き連れ、異界の門に去っていった。
「凄まじい敵だった」
「う……うぇええええーーん」
お師匠様が我慢しきれずに泣き出してしまった。
「アタシの砂糖が……全部吹き飛んじゃったあああああァァァ!!」
僕とルームはずっこけてしまった。