242 三人の大勝利!
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お師匠様も僕もルームも、今度こそ全く動けなかった。
「そのエネルギー、吸い取らせてもらいますよ」
絶体絶命だ……この大悪魔の強さは次元が違った。
「ですが、やはり殺すのは惜しいです。あなた方三人とも私の眷属になりませんか? 日々毎日楽しく過ごせますよ」
悪魔の誘惑だ、だがそんなものには屈しない。
「お断……わり……です……わ」
気を取り戻したルームが拒否を示した。
「残念です。最後のチャンスでしたのに……仕方ありませんね。あなた方のエネルギーを全て奪いつくさせていただきますよ」
大悪魔の触手が噛みついてきた。
噛みつかれた個所からどんどん生命力が吸い取られていく。
「極上のエネルギーですよ……素晴らしい」
ダメだ、生命力を触手に吸い取られて……僕は意識が遠くなってきた。
「これほど私にダメージを与えるとは、早くエネルギーを吸収しないといけませんね」
大悪魔が更に触手を伸ばし、辺りのエネルギーを全て食らいつくそうとしていた。
「ふはははは、力が、力がみなぎってきましたよ!」
大悪魔の触手は、辺りにある物をむさぼり食っている。
触手は切られて落ちていた触手やドラゴンの尻尾まですべて平らげてしまった。
「では、さようなら」
三人ともエネルギーを奪われて、もう打つ手がない……だがその時!
「グッ!? グオオオオアアアアオオ!!?」
いきなり大悪魔が苦しみだした。
「な……なんだこれは、腹が……腹がァァァー!!」
大悪魔が苦しそうにお腹を抱えて倒れた。
そして触手の縛りがゆるくなった、チャンスだ!!
「ぐおおおおお、毒耐性はあるはずなのに……味のマズさは別物だったァ!!」
「いったいこれは……?」
「どうやらあの腐ったドラゴンの尻尾を食べたみたいですわね」
「え? どういう事??」
触手から脱出した僕達は、苦しむ大悪魔から少し離れた。
「錬金術師の作った霧が毒で腐って、その肉を食べた触手のせいであのザマなんですわ」
「ぐぐぅううう、まさか、こんな事になるなんて」
大悪魔が苦しんでいる。
今のうちにアイツをどうにかしないと。
「二人共、今から力を合わせてアイツを倒すからねェ」
「わかりました!」
ルームが杖を構えた。
「悪魔なら聖属性に弱いはず……セイクリッドクロス!」
「ギャアアアア!!」
ルームの魔法は地面から四方向に十文字を切り裂く光の帯となって大悪魔を切り裂いた。
「やはりそうですわ、アイツは聖属性に弱いですわ!」
「もう許しませんよ! 触手よ全てを切り刻め!!」
僕は魂の救済者を構えると大悪魔の正面に立ち向かった。
「縦横斬ッ!」
僕の四方八方からの斬撃は大悪魔の触手を全て斬り裂いた。
触手は生える根元を切ればいい。
実際それで大悪魔の触手は全て切り捨てる事が出来た。
「な、何だと!?」
「二人共、今から言うとおりにするんだねェ」
「お師匠様!」
「ルームちゃん、妾がアイツを引き付けている間に、ホームくんの剣にセイクリッドクロスをエンチャントするんだねェ」
「エンチャント……わかりました、セイクリッド…クロス!」
僕の魂の救済者にルームの聖属性魔法が付与され、掲げた剣が輝く光の柱になっていた。
「では今度はコレだねェ。アルティメット……チャージ!」
お師匠様の超強化魔法で、僕は自分の体にとてつもない力を感じた。
「ホームくん、その剣で大悪魔を!!」
「わかりました! レジデンス流 究極奥義……縦横無尽斬ッッ!!」
「グァァァァアアアアアアーーー!!」
僕の剣技は、光の剣になって大悪魔を完全に打ち砕いた。
「ガ……グハァ!!」
そして、大悪魔は戦意を失い……地面に落下した。
「やった……ついに勝った!」
「お兄様、お師匠様、ついにやりましたわ!」
「二人共……本当によく頑張ったねェ」
僕達は……三人で異界最強の大悪魔を倒したのだ。