237 SSクラスの攻防戦
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僕達が戦っている相手は全員SSクラスだ。
B級でレベル20台、A級でレベル30台から40台、S級でレベル50台から60台。
SS級はレベル60以上の神話級の強さの怪物だ。
A級冒険者のハンイバル氏や父上で40台、ユカ様でS級。
僕達が戦っているのはそれ以上の神話に出てくるような怪物なのだ。
しかしお師匠様は、そんな化け物相手に笑いながら戦っている。
本気を出せば一国を亡ぼせる魔女と言われているのも納得の強さだ。
「やるねェ。魔力勝負で妾と互角以上とはねェ!」
お師匠様は究極魔法でバンパイアロードとライオンの獣人を二人に相手している。
「アイオロストルネード!」
お師匠様が風の魔法でライオンの獣人を空中に舞い上げた。
しかしライオンの獣人は致命傷にならずに暴風の中をかき進もうとしている。
通常のモンスターなら、いくらS級でもこの暴風で全身をバラバラに砕かれているはずだ
それがSS級モンスター。
僕が今戦っている鬼と女騎士も間違いなくその強さだ。
僕は鬼の不思議な形の剣と槍の猛攻を防いでいた。
僕の持っている剣が魂の救済者でなければ、受け止めた剣ごと真っ二つにされている程の強さだ。
少しかすっただけでも致命傷。
避けるよりもかわすだけで精いっぱいの死闘だ。
「タイダルウェイブ!」
お師匠様が大波で、空中に浮いていたバンパイアロードを地面に叩き落とした。
しかしバンパイアロードはすぐさま起きあがり、お師匠様に噛みつこうとした。
「そうはさせれないねェ!」
お師匠様はバンパイアロードの牙を杖で防いだ。
だが、バンパイアロードはお師匠様の手に触れた、むしろそれが目的だったようだ。
「くッ! エナジードレインかねェ!!」
お師匠様がバンパイアロードに手を掴まれた。
『エナジードレイン』それは相手の生命力を枯渇するまで吸い取る究極の邪法。
いくらお師匠様でも、この技を喰らってはひとたまりもない。
「お師匠様!」
「ルームくん、人の心配はいいからそっちの敵をどうにかするんだねェ!」
お師匠様の顔に余裕が見えなくなっていた。
「魔力対決か……面白いねェ!」
お師匠様の目が光った。
お師匠様はなんと、バンパイアロードに反対にエナジードレインを使おうとしているのだ。
「さて、どちらの魔力が尽きるのが先かねェ……」
◆◆◆
私は目の前の錬金術師とドラゴンの二匹を相手に戦っていた。
「エアリアルバースト!」
あの錬金術師の怪力に掴まれたら最後だ。
逃げる間もなくドラゴンに殺される。
私は空中戦でドラゴンを先に倒す事にした。
「インドラフレッチャー!」
雷の矢がドラゴンを襲った。
しかしドラゴンはその雷を大きな口を開けて食べてしまった。
「流石は神話級のバケモノですわ」
生半可な攻撃ではビクともしない。
それがドラゴンという怪物だ。
そしてドラゴンには究極の鱗がある。
このドラゴンの鱗は何物も通さない強靭さがあり、最強の怪物たる地位を絶対のものにしているのだ。
ドラゴンがブレスを吐いてきた。
「バリアフィールド!」
ダメだ、バリアフィールドは一度しかもたない。
本来このバリアフィールドは一度で壊れるようなものではない。
それを一撃で破壊するブレス、それがSS級モンスターの恐ろしさだ。
だがドラゴンは休む暇すら与えてくれなかった。
再度口からブレスを吐いてきた。
バリアフィールドで受けきれる状態でもない。
! そうだ、一つ試してみる方法がある。
私は先日の女性型のゴーレムとのバトルを思い出した。
彼女は私の魔法を跳ね返す壁を作った。
アレを魔法で再現できれば、ドラゴンに反撃できる。
「リフレクト……ウォール!」
これは賭けだった、この魔法が通用しなければ私は死んでしまう。
しかし私はその賭けに命を賭けた。
ガキーィイイイイン!!
ドラゴンのブレスは相当量の魔力だ。
私の魔法反射壁はそれを見事に跳ね返した。
「やった……やりましたわ」




