236 異界の大悪魔達
◆◆◆
「さて、いきますよ! 手加減はしませんからねっ」
大悪魔は触手を伸ばしてきた。
僕はそれを剣で斬り裂いた。
「ほう、やりますね」
大悪魔は笑っている。
全く余裕といった表情だ。
ルームはゴーレムの軍団と戦っていた。
「コレでも食らいなさい! トールハンマァァー!!」
ルームのトールハンマーの魔法がゴーレムの軍団を一瞬で砕いた。
「やるわねェ。よくそれだけ強くなったわねェ……さて、妾の相手はアンタかねェ!」
お師匠様はバンパイアロードと向かい合っていた。
バンパイアロードは、S級モンスターのバンパイアよりもよほど強いSS級モンスターだ。
お師匠様はそんな究極の化け物と、対等以上に戦っていた。
「ボルガニックフレアッッ!!」
お師匠様の魔法がバンパイアロードの身体を捉えた。
究極の火炎魔法は、バンパイアロードを一瞬で炎の柱にしてしまった。
流石はお師匠様だ。
世界最強の魔法使いというのも納得の強さだ。
だが消し炭になったはずのバンパイアロードは、即座にその姿を元に戻して笑っていた。
「流石だねェ。妾の魔法を受けて生きているなんてねェ」
お師匠様は笑っている。
コレだけの敵を相手に恐怖すら感じず、むしろ愉しんでいるのだ。
僕は目の前の敵を見た。
敵は魔族の女騎士だった。
相手は剣を掲げ、戦いの儀を行っていた。
僕も剣を掲げてそれに答礼した。
これは騎士対騎士の、誇りをかけた戦いだ。
僕は魂の救済者を構えた。
「フフフ、面白いですね。それでは私は様子見と行きましょうか」
幸い、大悪魔は手を出してこないようだ。
僕は目の前の騎士と剣で斬り合った。
強い! この強さはユカ様と同じくらいだ。
女騎士が鋭く剣で斬りつけてきた。
人間離れした強さ、これが魔族か。
今までに戦った事のないほどの強敵。
彼女は、悪魔に魂を売ったヘクタール程度とはレベルが違った。
僕は彼女の剣を弾きながら相手の隙を伺った。
相手の剣には迷いがない。
これが強者の剣技なのだろう。
僕は女騎士の足元を狙った。
その攻撃で女騎士が転倒した。
「やった!」
そう思った瞬間、女騎士は強力な火炎魔法を放ってきた。
「くっ!!」
僕は魂の救済者で火炎球を弾き飛ばした。
油断した、これは騎士の一対一の決闘ではない。
相手との殺し合いだ。
そして、僕の背後からは、別の鬼が攻撃を仕掛けてきた。
噂に聞いたミクニの民族衣装を着たような美しい女性の様に見えるが、彼女も魔族だ。
僕は二体の強敵を相手に戦う事になった。
◆◆◆
私は目の前のゴーレムの群れを、トールハンマーの魔法で破壊した。
「やりましたわ!」
だが、少女の姿をした錬金術師は笑っていた。
そして、不思議な液体を地面に撒くと……巨大な植物が姿を現した 。
「何ですの!? コレ」
巨大植物は、鋭い牙と蔓で私に襲いかかってきた。
「エアリアルバースト!」
私は空中に逃れ、巨大植物の攻撃をかわした。
「食らいなさい! イラプシオォォーンコルムゥゥウウナ!」
植物のモンスターは火に弱い。
私の最強魔法イラプシオンコルムナは、巨大植物を一瞬で消し炭にした。
「やりましたわっ」
錬金術師は無力、周りの使役するゴーレムやモンスターを失った錬金術師には手足も出来ない。
そう思っていた……その時!
錬金術師はあり得ない高速で私の前に現れ、鋭いパンチを打ち込んできた。
「ぐはっ!!」
何ですの!? このありえない強さ。
この錬金術師、モンスターを使わなくても、本人が凄まじい攻撃力だった。
この強さ……とても人間だとは思えない。
やはり敵は魔族、油断も隙もありはしない。
「くっ、油断しましたわ」
私が錬金術師に気を取られている隙に、側面からはドラゴンがブレスを吐いてきた。
「バリアフィールド!!」
一瞬でもこの魔法のタイミングがずれていたら、私だけでなくホームまで即死だった。
「はぁ……はぁ…………」
私達は複数の敵を同時に相手にしなくてはいけなかった。