235 究極の卒業試験
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僕とルームは美味しい食事をしてからゆっくりと休んだ。
「お兄様……魔将軍に匹敵する相手って、いったい何者なのでしょうか?」
「わからないよ。でも、僕達が倒せるのかな……」
お師匠様が死ぬ覚悟で戦えと言っていた。
それは、今までは瀕死でもお師匠様のおかげで戦えた、それを瀕死ではなく攻撃を喰らえば即死の相手と戦えという事なのだろうか……。
「とにかく寝よう、明日にはわかるよ」
「そうですわね、おやすみなさいませ」
僕達は明日に備えて寝る事にした。
◆
「さて、今度は卒業試験。次の敵は……最強の魔族だからねェ!!」
魔族! お師匠様は僕達に魔族と戦えと言っている。
「さて、それでは異界の門を開くかねェ」
お師匠様の開いた異界の門から一人の男が姿を現した。
「……私を呼び出したのはお前か?」
「よく来てくれたねェ。異界の大悪魔」
「私を呼んだという事は、何か望みがあるのでしょう。お前の魂と引き換えにどんな望みもかなえてあげましょう」
「いや、特に望みは無いんだねェ」
お師匠様は大悪魔相手にすら飄々とした態度を見せた。
「何? 単に私を呼んだというのですか。ふざけた奴ですね、死にたいのですか?」
「いや、望みがないわけではないんだねェ。私の弟子と戦って欲しいんだねェ」
お師匠様は異界の大悪魔と僕達を戦わせようというのだ。
確かに異界の大悪魔なら魔将軍にも匹敵する強さだといえる。
「ハハハハハハハ、面白い! 人間を相手にするのも悪くない。以前の私なら絶対聞くつもりもありませんでしたが、今の私は人間に恩もある。良いでしょう、相手になってあげましょう!」
大悪魔は上機嫌そうに笑っていた。
「だが、条件があります」
「何なのさねェ?」
「戦うなら魂をかけてもらいましょう。負けたらお前達全員の魂をいただきます」
!! やはり相手は大悪魔、一筋縄で行く相手ではなさそうだ。
「面白いねェ。では……妾も参加させてもらおうかねェ!」
「お師匠様、お師匠様も戦ってくれるんですか!?」
「まあねェ……こんな展開になるとは思ってなかったからねェ。異界最強の大悪魔相手に本気を出せるなんて面白そうだからねェ」
お師匠様は砂糖たっぷりのミルク入り紅茶を飲んでそのカップを地面に叩き割った。
「良いでしょう、そちらは複数。では私も部下を呼ばせてもらいましょう!」
大悪魔は異界の門から部下を召喚した。
召喚された仲間は、魔族の女騎士、錬金術師とゴーレムの群れ、ドラゴン、バンパイアロード、鬼、ライオンの獣人と言ったSS級のモンスターばかりだった。
「随分と多い団体だねェ」
「ハッハッハ、嫌だというなら今からでもやめても構いませんよ。その際には呼び出した代償だけは受け取って戻りますがね」
「……誰も嫌とは言っていないけどねェ」
お師匠様はルームを呼んだ。
「この杖を使うんだねェ」
「お師匠様……これは?」
「コレは魔法王テラスの杖。卒業の証に渡してあげるつもりだったけどねェ。まさかこんな事になると思ってなかったから……今これを渡すからねェ」
「お師匠様。ありがとうございます! では、お借りしたこちらの杖をお返し致しますわ」
ルームはお師匠様に杖をお返しした。
「さて、準備はできましたか?」
「そうだねェ。では勝負と行こうかねェ」
「良いでしょう。ですが、ここでは周りの全てを破壊してしまいますが場所を変えましょうか?」
「お心遣いは嬉しいけど、ここで大丈夫だからねェ。少し待っていてくれるかねェ」
そう言うとお師匠様はアブソリュートレインボゥフィールドを展開した。
「ほう、面白い魔法ですね。だが相当の魔力を使うのでしょう、それでは本気で戦えないはず。私が力を貸してあげましょう」
大悪魔はそう言うとお師匠様に使った魔力を分け与えた。
「さて、本気で戦うとしましょうか」