232 二人の反撃開始!
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上には上がいる。
お師匠様の言葉はまさに真理だった。
僕達は正攻法の戦い方や、常識の内側での対決しか考えていなかった。
しかし相手が自身と同じかそれ以上の能力を持っている場合は、駆け引きなども必要になってくる。
魔法の跳ね返しや、敵を呪縛束縛する戦い方もそれだ。
僕達は敵の出方をもっと知る必要があった。
「お兄様……もう少しだったのに」
「ルーム、この負けは重要な事なんだ。勝利よりも必要な敗北、これがあるからこそ踏み越える事が出来る、お師匠様はそう言いたいんだ」
「それでも……私、勝ちたい」
「それは僕も同じだよ、その為に修行しているんだ」
僕達は確かに強くなっているのだろう。
だが、敵はそれ以上の強さ。
それをどう倒す事が出来るのか、それを考えながら僕とルームはベッドで眠った。
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「さて、今日も修行開始だねェ」
これで修業を始めて何日目だろう。
僕は魂の救済者を握った。
「異界の門より……我が命に答えたまえ。強者達よ!」
今日も異界から二人の仮面の戦士と二体のゴーレムが召喚された。
コイツらの攻撃方法は僕もルームも大体把握した。
カラフルな仮面の戦士、女性と思われるこの戦士はとにかく身体能力に優れる。
そして、必殺技は七人に分離して周囲から全員で放つエネルギーの放出。
コレを喰らったら即死級の強さだ。
もう一人の仮面の戦士。
こちらも女性型、しかもスピード超特化タイプだ。
音も無く上空や側面から現れて確実に切り刻むタイプの敵。
しかし何よりも厄介なのは、不思議な武器を投げつけての影を狙った相手を固定させる業だ。
これは単品でも厄介だが、他の敵の攻撃とコンビネーションになるとさらなる脅威となる。
この攻撃を出させない事、もしくは対処法を考えないと勝てない。
男性型のゴーレム。
この敵はとにかく強い。
近距離では光の剣を使い、遠距離になると不思議な筒からの極大魔法。
この極大魔法は火を使った攻撃なので氷で相殺できるかもしれないが、魔法の使えない僕では厳しいのでルームに任せるしかない。
女性型のゴーレム。
この敵は汎用的に全体能力が高い。
武器を使わない武道家タイプに近いが、その身体能力の高さは人間を遥かに凌駕する。
何よりも厄介なのが魔法を跳ね返す光の壁を作る技だ。
これを破壊しなくては、魔法攻撃は相手に反撃の機会を与えるだけでしかない。
これらの事を昨日の夜、ルームと話し合った。
相手の特徴を捉えた上で、こちらもコンビネーションで戦おうというわけだ。
「それでは修行開始だねェ!」
僕とルームは、今日はお互いがバラバラにならないように、背中合わせに立っている。
「来るぞっ!!」
カラフルな仮面の戦士が猛スピードでラッシュをかけてきた。
「プロテクトシールド!!」
ルームの防護魔法が僕を守ってくれた。
ここはあえてダメージを最小限にしつつ攻撃を避けずに受ける。
そこで出来た隙を狙って反撃だ!
「レジデンス流剣技! 縦横斬!!」
今度の攻撃は確実に仮面の戦士を捉えた……はずだった!
しかし、音も無く現れたもう一人の戦士がその攻撃を受け流そうと前に飛び出した。
その時!
「エアリアルバースト!!」
ルームの魔法がもう一人の仮面の剣士を吹き飛ばした。
そして攻撃を受け流せなかったカラフルな仮面の戦士は僕の剣技をダイレクトに喰らった。
「やった! 手応えあった!!」
仮面の戦士が二人共地面に吹っ飛ばされた。
「へェ。二人で力を合わせたのねェ。やるじゃない」
お師匠様が飴を食べながらニヤッと笑っていた。
よし、ここから僕達の反撃開始だ。
仮面の戦士二人は立ち上がって再び僕達の前に現れた。
そして側面には二体のゴーレムも攻撃準備をしていた。
さて、どちらから先に倒すべきか……。
ルームも杖を構えて、敵を睨んでいた。