229 異界の戦士の姿
◆◆◆
僕とルームはお師匠様の用意した修行をクリアした。
「やるねェ。ここまでやるとは思わなかったねェ」
そう言うとお師匠様はまた異界の門を開いた。
門に帰る前に異界の剣士たちは僕達に挨拶をしてくれた。
仮面を取った剣士はとても美しい青い服の女性だった。
また、もう一人の剣士も彼女そっくりの赤い服の双子だった。
彼女達は異界の門に戻る前に僕達に美しい微笑みを見せてから、彼女達のいた世界に戻っていった。
「さあ今日はもう終わりだねェ。食事をしてゆっくり休むんだねェ」
僕達はその日、食事をしてからゆっくりと休んだ。
◇
次の日、また新しい修行が始まった。
「さて、今度の敵は二人で戦うんだねェ。前よりも強いから気をつけるんだねェ」
そう言うとお師匠様はまた杖を使わずに異界の門を開いた。
「妾の一族は異界の門番の一族。だから異界の強者を呼ぶ事が出来るからねェ」
お師匠様は四人の戦士を呼んだ。
正しくは、二人の戦士と鉄で出来たようなゴーレムが二体だ。
そのゴーレムを使役する魔術師を合わせると、相手は五人だった。
「昨日までの相手より強いから気をつけるんだねェ!」
二人の戦士は見た事も無いような服装だった。
二人共仮面を着けていて、顔の下しか見えなかったが、可愛い女の子の様に見えた。
年齢的には僕達よりも少し年上くらいといった感じだ。
「見た目に騙されないようにねェ。この娘達ものすごく強いからねェ!」
僕とルームは相手の出方をうかがう事にした。
だが、その判断がミスだとその直後に思い知った。
仮面の戦士は目にも見えない速さで接近し、素手で僕を殴ってきた。
「ぐはぁっ!!」
どう考えても女性の強さではない。
まるで巨大な猛獣に突き飛ばされたような衝撃で、僕は壁に吹き飛ばされた。
「金属なら……雷の魔法で一気に決めますわ! サンダァアアブレーィク!!」
しかしルームの魔法は空振りに終わった。
雷が相手に当たる前に金属のゴーレムは術者をかばいながら素早く移動した。
そして男性型のゴーレムは不思議な武器を持つと、光を棒にしたような剣で僕に切りかかってきた。
僕は魂の救済者で剣を受け止めた。
コイツは強い!
一歩下がった僕に対し、女性型の金属のゴーレムが襲いかかった。
女性型のゴーレムは腕を光らせ、僕の体に切りつけてきた。
前からも後ろからも襲いかかる斬撃。
僕はそれを避けきれずに、どちらもの攻撃を受けてしまった。
「ぐっ……がっ……!」
倒れた僕に対し、男性型のゴーレムが大きな棒のようなものを構えた。
「!!」
しかし、僕の気が付いた時には……既に何もできなかった。
巨大な棒から巨大な火の玉が吐き出された。
僕はその直撃を喰らい、その場に倒れてしまった。
◆◆◆
私は二人の仮面の戦士と戦った。
「ファイヤーボール!」
さっき撃った魔法のサンダーブレークは素早く避けられた。
それなので私は双子の剣士と戦った時の戦法で素早く連続魔法で相手を削るやり方に変更した。
しかし魔法は手ではじかれたり戦士の作った不思議な壁で全部外れてしまった。
「なんですの!? 魔法を物理で避けたというのですの?」
仮面の戦士は私の魔法を全てかわし、鋭く攻撃を打ち込んできた。
「ぐへぇ!」
鋭くお腹を突かれ、私は血と唾液が口から出てしまった。
激しい衝撃が体を襲う。
そして私の転がった体は地面で跳ね、壁に叩きつけられた。
そこに仮面の戦士の一人が不思議な武器を投げてきた。
投げられた武器は私の身体をかすり、壁や床に刺さった。
「う、動けない!」
不思議な力は私の体の動きを全て捉え、私は何もできずにその場にうずくまった。
「悔しい……です……わ」
私は今回もブザマに負けてしまった。
「まあ二人共、最初はこんなものよねェ」
私が気を失う前、最後に聞こえたのはお師匠様の声だった。