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21 遺跡の少女エリア

作者より

メインヒロインは今回登場です。

 魔神を倒した事で私は一気にレベルが3つアップした。

 今まで疎かにしていたほかのステータスをこれで穴埋めする形でポイント割り振りをした事で、私は一般冒険者の中でもC級~B級くらいの強さになった。


ユカ・カーサ

レベル11


HP 250

MP 200


 他の数値は他の冒険者の相場が分からないので、平均的に低いもので10、高いもので20に近い数値になるように割り振った結果、私はスピード早めの攻撃力低めといったステータスになった。

 ますますレンジャーに近い能力値にしたわけである。


 急激なレベルアップ痛は、涙が出そうなほど全身に痛みを感じた。


 私の眼前には大きく窪んだ穴にすっぽり入った壊れた魔神の体があった。

 もう魔神は動く事はない。

 私は誰も勝てないと言われた古代の英知に、ハズレスキルと言われた床貼りの能力で勝利したのだ。

 もう私を笑う者は誰もいないだろう。


「古代の魔神を倒した証拠が何かあればいいんだが……」


 辺りを見渡した私の前にあったのは、己自身の光線を反射され切断された魔神の手首だった。


「少しでかいけど…これなら持てるか!」


 私は背負い袋いっぱいに魔神の手首を詰め込み、背負った。足にずっしりとくる重さ、魔神は手首だけでも通常の人間の子供くらいのサイズがあったのだ。

 さらにレベルアップ痛の痛みが全身に響き渡った。


「ダメだ、後でどうにか運ぶ方法を考えよう。」


 私は、魔神の手首をその場に置き、遺跡最深部のさらに奥の階段を踏みしめた。

 文献によると、この先に創世神が眠っているそうなのだ。


 階段の最上部についた私は、とても神秘的なものを見た!


 それは、クリスタルの中で眠る『白く美しい少女』の姿だった。

 私がそのクリスタルに触れると、肌にはひんやりとした感覚が伝わってきた。

 このクリスタルの中で少女は、永劫の時を眠り続けていたのだろうか……。


「綺麗だ、生きているのかな?」


少女は死んだように眠り続けている、私は文献を再び読んだ。


「魔神討ちし者、そのエクスキサーチ光る時、……神の永久(とこしえ)の眠りは覚まされん」


 神の前に書かれていた文字は霞んでよく見えなかったが、どうやら今私の持つ遺跡の剣と言われていたのが『エクスキサーチ』らしいのだ。

 私は魔神に突き刺した遺跡の剣(エクスキサーチ)を引き抜いた……その時、剣から眩いばかりの光がクリスタルに放たれた!


「この剣にどんな秘密があるのだろう?」


 遺跡の剣(エクスキサーチ)の刀身は眩く光っている。そして剣とクリスタルの共鳴が始まった。

 剣は光り続け、クリスタルを切れとばかりに私に命令してくる、いや、そのように感じたのかもしれない。



 私は引き寄せられるようにクリスタルの前に立っていた。そして自分の意志とは関係なく、その刀身を両手で高く掲げていたのである。体が思ったように動かない!


 自身の意志とは関係なしに何かに体を動かされた私は、遺跡の剣(エクスキサーチ)を鋭くクリスタルに振り下ろした。


 キィィィィン!と激しい音がして……クリスタルは光り、その後ひび割れ、粉々に砕け散った。

 そして、中から少女の姿が倒れ込むように私の前にはじき出された。


「!」


 我に返った私は遺跡の剣(エクスキサーチ)を手放すと、はじき出された少女を覆いこむように両手を広げて待ち構えた。

 覆いかぶさった少女の肌から私の手に感触が伝わってくる。私は両手で少女をしっかりと抱きしめた。


 トクントクンと小さな鼓動が私の体にほんのりと温かい肌を通して伝わってくる。

 私が目の前の少女を見つめると、銀の髪に緑色の美しい瞳の少女は古代語で問いかけてきた。


「〇◇▽▽●×……Φ」


 ダメだ、何を言ってるのかよく聞こえない。

 私はカタコトの古代語で彼女に問いかけた。


「貴女……は……誰?」


「クーr……エ…………ィ……tア」

「もう一度! 貴女は誰!?」


「ェ……r……ア」


 彼女の名は……かろうじて聞き取れた言葉で『エリア』と聞き取れた。

 これが、私と遺跡の少女エリアとの、初めての出会いの時だったのだ。

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