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198 村長の笛の音

第10話の感想をいただきましたので参考にして修正しました。

 私達は旧バレーナ村の村長の家を探す事にした。

 しかし旧バレーナ村のあった辺りには、村長の家はどこにあるのか見つからなかった。

 何故なら、ポディション商会によって彼の家の有った旧バレーナ村の場所は、更地にされていたからである。


「まったくぅ、あのヒロのヤツ、毎度ロクな事しないねぇ!」

「マイルさん、どういう事ですか?」


 マイルさんは呆れと憤りを混ぜたような表情で説明してくれた。


「ヤツのやり口だよ。金銭的に困っている相手に美味しい話を持ちかけておいてぇ、金を集める。で、いざその計画を進めるフリをしながら何らかの原因を作る事で計画が無理でしたにしてぇ金だけ奪って相手に借金を押し付ける」

「それって……」


 ヒロのやり口は間違いなく現代日本での投資型詐欺の計画倒産である。

 こんな異世界でも弱者を食い物にする連中がいるのか。


「それで借金を返せなくなった相手から家や権利を奪い奴隷にしてぇ売りさばく、アイツは本当に人間か疑いたくなるくらいの外道だねぇ」


 マイルさんはどうも大魔女エントラの城で話を聞いている間に、少し彼女の口癖がうつってしまったようだ。


「おっと、ユカ殿、探しましたぞ」

「リョウカイさん、どうかされましたか?」

「其方の探している御仁でしたら、心当たりがございますぞ」

「本当ですか!」


 ここで助け船が入るとは思わなかった。


「それで、村長さんはどちらに?」

「吾輩の自由都市の屋敷にてかくまっておりますぞ」


 やはりリョウカイさんはミクニでもかなり上の立場の人物らしい。

 つまりこの状態を考えると、大使館に避難民をかくまっているようなものだろう。


「今すぐ村長さんにお会いする事は出来ますか?」

「うむ、では吾輩の屋敷まで来ていただけますかな」


 私達はカイリも一緒になってリョウカイさんの自由都市の屋敷に到着した。

 それは私の想像通りの大使館か迎賓館と言えるくらいの大きさの建物であり、数百人は収容できる程の造りだった。


「吾輩、あの『ぽでぃしおん商会』とやらの卑劣なやり口が許せなくてな、こうやって奴隷にされた者達をカイリ殿に頼んで助けてもらっていたのですぞ」

「そういう事なんだわー、だからアンタらに協力してもらって助かったってわけさー」


 私のカンで間違いなくこの二人は信用していいと思った。

 筋の通らない事を許せない気持ちのいい性格の二人だ、これは馬が合うのもうなずける。


「で、村長さんはどちらに?」

「今連れてくるから待っててくだされ」


 そして私達は旧バレーナ村の村長さんに会う事が出来た。

 彼に大魔女エントラから聞いた話を伝えると村長は泣き出してしまった。


「おお。ホセフィーナ、やはりあの子だったのか……」

「……村長さん」


 エリアが表情を曇らせた、どうやらホセフィーナがモービーディックになったのをどうにか戻してあげたいがそれが出来るとは言い切れないからだ。


「村長さん、それで……村長さんの持っていた笛は今どこにありますか?」

「ワシが持っておるよ、奴らに騙されて全財産を失ってもこれだけは奪われなかった」


 どうやらポディション商会はこの笛を二束三文の物だと見たのだろう。

 これは不幸中の幸いである。


「それを譲ってもらえますか!? それがあればホセフィーナを救えるかもしれません!」

「おお、それは本当ですか。是非とも、是非ともお願いします……あの子を救ってあげてください……」


 私は村長の笛を受け取った。

 そしてその笛はエリアが吹いてみた。

 すると、澄んだ綺麗な音色が辺りに響き渡った。


「綺麗だけど……物悲しい笛の音だねぇ」

「俺がその二人の気持ちを聞いたが、どうやらこれは動物の心を揺さぶる笛のようだな」


 フロアさんの話だと、どうやらこの笛は動物に心地の良い音のようだ。

 実際、シートとシーツの二匹(ふたり)はエリアの吹く笛の音に聞きほれていた。


「ユカ、準備が出来たなら言ってくれよー。オレの船を出すからなー!!」


 さあ、今から準備をして海へ向かおう!

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