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181 魔女を探せ!

 私達は流星の魔女の手がかりを調べる為に自由都市で人に尋ねる事にした。

 しかし誰もが名前は知っている、すごい魔女だという事は知っている。

 そしてかなりの美人だという情報もあった。


 だが、肝心の魔女がどこにいるのかは誰も知らないのだ。


「ユカ様、困りましたわね」

「そうだね、時間があまりないからね」

「そうねぇ、一度今までの場所に戻ってみるってのはどう?」

「マイルさん、それではどれだけ時間がかかるかと!」


 マイルさんの言っているのはもっともである、でも今回は時間がなさすぎる。


「ユカ様、やはり一度戻りましょう。父上なら何か知っているかもしれません」

「そうか、ゴーティ伯爵は元騎士団長、それに領の視察でいつも出掛けているから知っているかも」


 私達は一端冒険者ギルドの街に戻る事にした。


「目の前の床をワープ床にチェンジ!」


 私達は一端冒険者ギルドに戻ると、マーカーチェックからつけたメモを元に座標を書き出し、ワープ床をいくつも作った。


 ゴーティ伯爵の城、リットル村、元ヘクタール従者達の宿舎、そして自由都市だ。


 私達はワープ床を使いゴーティ伯爵の城に向かった。



「おや、皆さん。よくお越し下さいました。本日はどのようなご用件ですか?」

「父上、流星の魔女ってご存じですか?」

「ふむ、流星の魔女ですか、そうですね」


 伯爵は何か知っているような素振りだった。


「伯爵様、知っているんですか!?」

「ええ、存じておりますよ、しかし……」


 伯爵は困った表情を見せていた。


「では何がダメなんでしょうか」

「ユカ様。我が領の北部に人の住めないような険しい岩山があります。ここは高レベルモンスターの巣、そして人が登れない程急な岩山ばかりがあります」

「そんな場所にどうやったら行けるというのですか? お父様」

「だから困っているのだよ。ふもとの村なら何度か視察に行ったことはある。ここから二日程の場所だ」

「でしたらすぐにでも行くべきですわ!」


 伯爵はため息をついていた。


「ルーム、ふもとには行けても山は見えているだけ、登るとすればそれだけの装備も必要であの高い山を登るのには一か月以上かかるかもしれない。また、落ちたら命の保証はない」

「父上、それでも僕達は行かなくてはいけないのです!」

「そうか……ホーム、男の顔になったな」


 伯爵が少し微笑んでいた。


「良いだろう、ふもとの村の代官には手紙を出しておこう。山登りの装備一式を揃えてもらう事にする」


 そして伯爵がホームの肩に手を乗せ、厳しい目つきになった。


「ホーム、絶対に死ぬなよ。今はお前の事を信じて待っている領民達がいるのだ。領主代行としてしっかりと責務を全うする為にも、帰ってこい!」

「承知致しました! 父上」


 ホームは伯爵に力強く送り出された。


「みんな、北の山に向かおう!!」


 この様子も流星の魔女は城の外から鳥の目を使って覗いていた。


◆◆◆


「はっはっは、あの坊やが立派になったもんだねェ。息子なんてあの坊やにソックリじゃないかい」


 流星の魔女はワインを飲みながら楽しんでいた。


「しかしふもとの村までは来れても、この難攻不落の岩山の城、どう来るのかねェ」


 流星の魔女は杖を回転させると一度地面にその底を叩きつけた。


「出でよ、我が(しもべ)、クリスタルドラゴン!」


 流星の魔女は無詠唱で魔方陣を空中に作り、そこから水晶で出来たドラゴンを召還した。


「さて、これくらい倒せないようでは(わらわ)のいる場所にたどり着けないねェ」


 流星の魔女に召喚されたクリスタルドラゴンは高く雄たけびを上げた。

 その咆哮は岩山全体に響き渡り、その衝撃はいくつもの山で雪崩を起こした。


「さて、あの坊やの息子達と救世主サマ。どう戦うか楽しませてもらうかねェ」


 流星の魔女は玉座に座ったまま軽く眠るのだった。

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