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179 酒場での再会

 自由都市、旧バレーナ村の奴隷にされた人達と別れた私達は、自由都市とフランベルジュ領の境目の関所に到着した。


「これは、領主代行様。お勤めご苦労様です!」

「みんな、頼みがあるんだけど聞いてくれるかな?」

「はい、何なりと!」


 ホームは伝書鳩を用意させ、フランベルジュ領の仮執政室とレジデンス領のゴーティ伯爵の城に飛ばさせた。


 内容は、ヘクタール男爵によって騙されたり攫われて奴隷にされた人達を救出したので護衛の為に兵隊を送ってほしいといった内容だ。


「僕達が行ければいいんですが、船を手に入れる事の方が優先順位が高いのでお願いします」

「承知致しました! 領民の皆様は確実に元の場所に送り届けます」

「ホーム、でも全員の居場所があるとは限らないよ」

「ユカ様、それも想定済ですよ。もし領民の行き場のない場合はリットル村やコミエンソ村で住める場所と仕事の確保の話も書いていますから」


 やはりホームは優秀な執政者になるだろう。

 理想論押しつけだけではなく、もしダメだった場合のフォロー、リカバリー方法も想定済だった。


「よし、これで一通りのやる事は終わったな。さあ自由都市に戻ろう」

「ユカさん、馬を借りたとして早く戻れば夕方には帰れると思いますよ」

「そうだね、それくらいの時間を見ておこう」

「馬の調達なら僕が言いますから安心してください」


 解放された奴隷達を関所に預けた私達は再度自由都市を目指す事にした。



「思ったより早く着きましたね」

(わたくし)お腹ペコペコですわ」

「そうだね、何か食べようか」


 私達はレストランに入った。

 そこは昔ながらの老舗の店といった佇まいの造りだった。


「さて……メニューは」

「ユカ、あーしの言ってたのはコレだよっ」


 マイルさんが指さしたメニューは『クジラ肉の揚げソース煮・バレーナ風』だった。


「で……でも鯨が減っているってお爺さんが」

「でもここであーしらが食べなくても誰かが食べるよぉ、それにもう殺された後の肉なんだから遠慮しても仕方ないって」


 マイルさんの言っているのはもっともである。

 鯨なんてデカい物は目の前の生け簀にいる魚やエビを取り出して目の前でさばくわけではない。

 もう捕鯨されて死んだ肉だと、遠慮しても何も変わらないというわけである。


「大事なのはこれから無駄に殺される数を減らす事でしょっ」


 まあそういう事になるだろう、この後このクジラ肉は間違いなく高騰する。

 こんな郷土料理の店で食べられるなら今のうちに食べておいた方がいいってわけだ。


「では注文しましょう」


 ……私達の目の前には大きな深皿に乗せられた料理が運ばれてきた。

 これがクジラ肉の揚げソース煮・バレーナ風だ。

 私達はその肉を噛みしめた。


「! 美味い!」

「美味しい……」

「これは……初めて食べた味ですがとても素晴らしいですわっ」

「海の命、山の命、俺達はそれをいただいて生きている、それに感謝だな」


 みんながクジラ肉を美味しそうに食べていた。


「そうだ、すみませーん。鯨の生肉をもらえますか?」


 このクジラの生肉はホテルのバルコニーで留守番してくれているシートとシーツのお土産だ。


 彼らは海を見た事が無いし泳ぎがあまり得意ではない、その為今回の奴隷救出作戦には不参加だったのだ。


 お腹いっぱいになった私達は一旦ホテルに戻る事にした。

 シートとシーツはお土産のクジラ肉を美味しそうに二匹で分け合って食べていた。


「さて、夕方になったから酒場に向かおうか」

「ユカ様、こちらは用意できています」

「そうだね、では行こう!」


 私達は酒場の一昨日と同じ席に座った。

 そこには長椅子で女の人の肩に手を回したまま酒を飲んでいた情報屋(カイリと思われる人物)が座っていた。


「よー、待ってたぜー。約束は守ってくれたよーだなー」

「ハイ、奴隷は全員助け出しましたよ、カイリさん」


「……テメェ、何故、オレがカイリだとわかったんだー?」


 カイリは私達を鋭い目つきで睨みつけてきた。

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