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149 ゴーティ伯爵と伝書鳩

◇◇◇


 レジデンス伯爵領。

 その中でも最も立派な建物がインクリヴィズ城である。

 その城の最上階の立派な部屋のベッドで寝ている人物がいる。

 『ゴーティ・フォッシーナ・レジデンス伯爵』この城の主である。


 ゴーティ伯爵の朝は早い。

 騎士団長をしていた時から彼は誰よりも遅く寝て誰よりも早く起きていた。

 その習慣が体に染みついているのだろう。

 伯爵はベッドから起きてすぐに朝の日課の為に鎧を装備した。

 貴族は鎧を本来数人で着せてもらうのが普通なのだが伯爵は一人で全てをこなす。

 何故なら騎士団長として有事の際に誰よりも早く動く事を心掛けていたからである。


 伯爵は日課の真剣による素振り1000回を終えると城の周りの走り込みに出かけた。

 城の大きさはかなりのものであり、外周約4キロメートルは有る。

 伯爵はその場所で鎧を身に着けて走っているのだ。

これは筋トレとしてはかなりの効果といえよう。


 素振りと走り込みの日課を終えたら朝食の時間だ。

 朝食はパンとスープ、それに生野菜に卵。貴族の朝食としては質素ともいえる物だ。

 彼は朝食を軽めに済ませる、それにはきちんと理由があるのだ。


「ご馳走様、今日も美味しくいただいたよ」

「伯爵様、わざわざ毎朝お言葉をいただいて申し訳のうございます」

「いや、皆がいてくれるから朝食が食べられるのだ、自分の仕事に誇りを持ってくれ」

「伯爵様、本当にありがとうございます」


 伯爵は挨拶を欠かさない、何故なら騎士団長として戦場に行っていた彼は誰かと二度と会えなくなる事を何度も経験しているからだ。

 その為、彼は何時いかなる時も誰に対しても挨拶をするのだ。


 朝食を終えた伯爵は馬に乗り、近隣の村まで馬を走らせた。


「伯爵様。ご機嫌麗しゅうございます」

「わーい、はくしゃくさまだー」


 伯爵は村の様子を確認していた、今年は生憎の凶作ではあったが備蓄のおかげで誰一人として飢える事無く冬を過ごせそうだ。


「皆、今年は厳しい冬になる、もし薪や足りない物があれば私に言いなさい」

「伯爵様、勿体ないお言葉。わしらはその言葉だけで十分です」


 伯爵は大体単独で動く。

遠くの村の視察の場合は日帰りでは済まないので従者をつける事もあるが大抵は一人で動く事の方が多い

何故ならその方が民の声を聞きやすいのと、彼は一人だけで数十人相手に出来る程の強さがあるからだ。


 実際ゴーティ伯爵のレベルは35、これは一級冒険者ハンイバルの37やユカの父親のウォール戦士長の39に次ぐ強さである。


 伯爵は歓迎された村長の館で昼食を摂った。

 彼が朝食を少なめにしているのは大抵出先で歓迎されるとわかっているからなのである。

 下手に残すくらいならその分を少しでも他の人が食べられるようにと考えているのだ。


 村の視察を終えた伯爵は馬を走らせて城に戻ってきた。

 この後は彼のプライベートの時間である。

 読書を済ませ、その後趣味のバイオリンを奏でた。

 しかし、その腕はお世辞にも上手いとは言えない、むしろド下手というくらいの騒音だ。

 伯爵の城の人達は大抵この時間に大きな音の出る作業を済ませる。

 静かな場合だとこの音で精神的に大ダメージを受けるからである。


 夕食の時間になり、伯爵は食事を済ませた。

 そして部屋に戻ってきた時、窓に王都からの伝書鳩が届いていた。


「やっと来たようですね。では中身を確認してみましょう」


 伝書鳩に付けられていた手紙は現騎士団長ラガハースからの物であった。


「我、レジデンス領の南、魔軍の討伐の為騎士団と共に向かう。尚、貴殿の推測通りヘクタール男爵以下公爵派貴族に謀反の疑いあり。また彼の者、人身売買の証拠も確認済み。我、現在ヘクタール領に向け進軍中なり」

「ようやく動いたようですね。ホーム、ルーム、気をつけるのだぞ」


 伯爵はユカ達が旅立ってすぐに伝書鳩で王都にヘクタールの件を伝えていたのだ。

 そして今まさにヘクタール領で大きな動乱が起ころうとしていた。

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