128 お化けカズラを焼き尽くせ!
お化けカズラは骸骨の絡みついた蔓を伸ばして叩きつけてきた!
「ガオォーン!」
その蔓をシートがゾルマニウムクローで切り裂いた。
「シート!」
「オンッ!」
シートが護衛は僕に任せてと言っているようだった。
もう彼は立派な狼だ、赤ん坊とは言えないくらい立派になった。
「こういう奴は上空からの攻撃に弱いんだよ! ダイブイーグル、頼んだぞ!!」
「クェエエエ!!!」
フロアさんが口笛でダイブイーグルを呼んだ。
人の食べる物は少ないが大型の猛禽類は小型のモンスターくらいなら捕食できるのか、このヘクタール領のダイブイーグルもかなりの大型だった。
ダイブイーグルは上空から素早くお化けカズラに飛び掛かり、数頭でその蔓を咥えてお化けカズラを上空に持ち上げた。
そして上空から地面にお化けカズラを叩きつけた。
「お前達、よくやってくれた!!」
「クエエエエェェェエ!!」
ダイブイーグルは誇らしく鳴いて空中を旋回している。
今が攻撃のチャンスだ。
私は遺跡の剣を構え、お化けカズラの足元の土を斜めの坂にマップチェンジした。
いきなりバランスを崩されたお化けカズラは転がりながら私の目の前に迫ってきた
「食らえっ!」
遺跡の剣が鋭くお化けカズラの袋を切り裂いた、老人の顔のような袋が破れ、中から溶解液が垂れ流しになった。
「お化けカズラの足元の土地を砂漠にチェンジ!」
足元を砂漠にされたお化けカズラは溶解液を砂に吸い込まれて攻撃が出来なかった。
そして更に水を吸い上げる事も出来ず、かなり衰弱していた。
このお化けカズラはヒヤシンスの球根みたいなものだ。
水に浸かっているとコイツは物凄いパワーを発揮するが、水が無くなると途端に弱体化した。
「次は僕がやります!!」
「ホーム!」
「レジデンス流剣技、縦一閃!!」
「お兄様、やりましたわっ!」
ホームの魂の救済者が唸りをあげながらお化けカズラの袋を両断した!
私達はこれでもうお化けカズラは攻撃する手段を失った……そう思ったのだが。
お化けカズラは不気味な胎動を始め、その蔓を全て自ら枯らし、蔓を落とした。
その後、地面から新たな蔓が生え、巨大な袋が人面のような顔をつけて再度現れたのだ。
そしてアクセサリーのようにあちこちに絡みついていた骸骨や腐肉はボロボロに砕けた。
「マズイな、コイツはどうやら再生するようだ」
「全くキリがありませんわ」
「困ったわね、まあ植物には変わりないんだろうけど……これはバケモノ過ぎるわ」
どうにか本体を倒さないとコイツは何度でも再生する、その本体はどこなのか……。
「お化けカズラの根元の土地を小高い石床にチェンジ!」
私のマップチェンジでお化けカズラの根元が一気にせり上がった。
その根元は水を吸えず、更に砂漠に隠れる事も出来なかったので正体を現した。
お化けカズラの根元は大量の骸骨でガードされた巨大な髑髏のような球根だったのだ。
「何ておぞましい……」
「犠牲者の死体を殻にしていたのか」
「ユカさん、僕がアレを砕いて見せます!!」
ホームの魂の救済者の刀身が白く光り輝いた、犠牲者たちの報われぬ魂が魂の救済者に救いを求めているのだ。
そして白く光る刀身は一層その鋭さを増した!
「あなたたちの無念、僕がはらします!! レジデンス流剣技! 縦横斬!!」
ホームの剣閃が縦横に何度も鋭く高速で入った。そして骸骨で作られた殻は粉々に砕け、むき出しの球根がさらけ出された。
私はその髑髏のような球根の眼窩に見える部分を遺跡の剣で鋭く切りつけた。
叫び声とも唸りとも言えるようなおぞましい音が辺りに響く。
そして眼窩部分に大きな穴をえぐられた球根は汚らしい液を垂れ流していた。
「ユカ様! あの怪物は私が焼き尽くして見せますわ! 今の私なら使えるはずの魔法がありますの!!」
「ルーム、頼んだ!」
「承知致しましたわ! 食らいなさいっ私の渾身の最強火炎魔法!!」
ルームがサークレットと魔獣使いの杖のブーストを使い残りの魔力の全てを集めた!!
「見よっ!! 我が最強火炎魔法 イラプシィォォォオン・コォーールムゥーーーナァ!!」