126 水源地を目指せ!
悪徳商人と悪代官に搾取されるリットル村を救うために私達は水を確保する事にした。
話に聞くとかつては水源が豊富だったのだがその水源の近くにモンスターが巣食うようになり誰も近寄れなくなった。
そしてその後、水源は枯渇し、悪代官のカンポが村に現れた。
カンポは枯れた水を公共事業でどうにかすると村民を騙し、井戸を掘らせて莫大な水税を徴収するようになった。
それでも諦めきれない人達は頑張って水源を取り戻すために地下にトンネルを掘ろうとしたが落盤事故で計画は頓挫、反対派は全員生き埋めになって死亡した。
今私達が把握出来ているのはこんな状況である。
だが、モンスターが住み着いたとはいえ、何故水源が枯れてしまったのか。
そしてそんな凶悪なモンスターをなぜあの肥満体で無能そうなカンポが用意できたのか。
さらに言うならば反対派を狙って全員生き埋めにした方法、これらがまだ何も見えていないのだ。
私達は泊めてもらった女性の旦那さんが村の反対派のリーダーだったと聞いた。
その見せしめで彼女の家は徹底的に搾取、嫌がらせをされて財産といえる財産が何一つ無かったのだ。
話に聞くとどうやら彼女の旦那さんは本来の村長の息子だったらしい。
だがカンポが現れてからはその立場を追いやられ、カンポに逆らう者達は過酷な労働を強いられたのだ。
カンポは家税、刃物税、配偶者税等の税を徴収し、さらにとどめとばかりに用意されたのが水税だったのだ。
そのカンポが今度は悪徳商人のフィートと組んで村人を依存性の麻薬中毒にしたのだ。
奴は搾り取るところまで搾り取って村を滅ぼすつもりなのだろう、その前に奴の目論見をぶっ潰す!!
「話に聞いた場所は村の外れをずっと登った所だったね。」
「枯れた川だったものがあるみたいですからそこを行けばいいのでしょうね」
「どんな魔物でも私の魔法でイチコロですわ!!」
だが、私達はどんなモンスターがいるのかが想像つかない。
そこまで水を全て奪うモンスター、生き物ではないのかもしれない。
そんな私たちの前にガラの悪い男たちが現れた!
「おっと、ここを通すわけにはいかねぇ!」
「男は死ね、女は散々遊んでから奴隷にして売ってやるよ」
もうこいつらの態度から奴らは野盗ではなくヘクタールやカンポの手下ですよと言っているようなものだ。
こんな連中に負けるほど私達は弱くない。
「ガルルルルルッ!!」
「グウウウウウ……」
シートとシーツが私達の先頭に立った、ここは僕達に任せてと言っているようだ。
「シート、シーツ……二匹だけでできるというのか?」
「オンッ!」
「キャンッ!!」
二匹は誇らしげに高く吠えた。
「わかった、頼むよ!」
二匹は地面を強くかかとで叩き、ゾルマニウムクローを装備した。
「……この犬っころぉー!! 殺して毛皮をはいで食ってやる!!」
「死ねや死ねやぁ!!」
複数の盗賊がシートとシーツに襲い掛かった、しかし二匹は全く物怖じもしていなかった。
そして軽く盗賊のナイフや剣、弓を躱したシートが前転しながら盗賊を爪で鋭く切り裂いた!
「ギャッ!」
ひるむ盗賊の手をシーツが噛みつく、そしてそのままシーツは盗賊を首を振って木に叩きつけた。
「ゲヘェ!!」
たかだかレベル一桁の盗賊たちは二匹の聖狼族の子供に手も足も出なかった。
十人程いたはずの盗賊はあっという間に壊滅した。
「ひいいぃー! バケモンだぁぁー!!」
盗賊は戦意を喪失して逃げようとしていた。
「茨の呪縛」
マイルさんのスキルで盗賊は全員が雁字搦めに縛られた。
「しばらくそこで頭を冷やすのねぇ」
盗賊の妨害を軽くあしらった私達は枯れた川の上流に向かった。
そこには幾多の白骨が転がっていた。
頭蓋骨の目からは気持ちの悪いつる状の植物が何本も生えている、それを見たマイルさんが呟いた。
「これは、死人カズラにシカバネソウだねぇ」
「マイルさん、これは……」
「これが麻薬の原料だよ……」
そんな死人カズラ、シカバネソウの中に川をせき止めるほど超巨大な食人植物のボスが存在した!!