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116 関所でのやり取り

 ヘクタール領に向かう事にした私達は関所を目指した。

 メンバーは、私、エリア、ホームとルームのレジデンス兄妹、フロアさん、マイルさん。

 それにシートとシーツの二匹(ふたり)

 関所に着くまでにゴブリンやコボルド等、中にはオークリーダー等が出現したが、ゾルマニウム製の武器の敵ではなかった。

 シートとシーツの二匹(ふたり)もゾルマニウムクローでオークリーダーくらいなら一匹だけで倒せるようになっていた。

 多分もう二匹(ふたり)ともレベル15相当はあるだろう。

 そして最近は歯が生えてきたのかゴブリンみたいな弱い敵程度なら二匹とも噛みつきでも倒せるようになっていた。

 流石は聖狼族の子供達であると言えよう。

 シートとシーツの二匹(ふたり)は戦う力の無いエリアの代わりに彼女を守るように戦っていた。

 まあ私は銀狼王の力があると思われているので守る必要は無いどころかお父さんが守ってくれていると思われているようだ。


「みんな、もうすぐ関所だ」

「わかりました!」


 関所に近づいた私達は先頭をホームとルームにして、その後ろに着く形に隊列を変更した。



「ここはレジデンス領とヘクタール領の境にある関所だ。許可のない物は通さん!」


 この関所の兵士はヘクタール領の兵士なのだろう。

 やたらと横柄でぞんざいな物言いである、そしてこの関所は二つの領土を行き来する場所というよりはむしろヘクタール領からの脱走者を逃がさない為にあるようなものだ。


「僕は『ホーム・レジデンス』だ! 『ゴーティ・フォッシーナ・レジデンス伯爵』の名代として『カッツェーエ・ヘクタール男爵』の就任記念式典に参加する為にヘクタール領に行きたいのだが、ここを通してもらおう!」


 ホームは毅然とした態度でヘクタールの私兵に自身が伯爵の代理で記念式典に参加する旨を伝えた。


「承知……致しました。ところでその後ろの者達は何なのだ」

「口の利き方に気を付けてもらおうか、彼らは僕の配下だ。腕利きの冒険者、祝福の聖女、聖女の護衛の聖獣と式典の為の動物使いの道化師と私の御用聞きの商人だ」


 ホームのとっさのアドリブで私達のヘクタール領での立ち位置は確定した。

 ホームが目くばせで皆さんすみませんといった態度を示していたが、私達はみんながそれを理解できていた。


「ワンッ!」

「ゥオン!」


 二匹(ふたり)もそれに答えてくれたようだ、とても賢い子供達だと思う。


「大変申し訳ございません、ですが許可証の無い物はお通しするわけには……」


 ヘクタールの私兵の態度が途端に卑屈になった、こいつらは立場が強いと思った相手にはゴマをする典型的な小物だ。


「ここにある物が見えないのか? これは我が父『ゴーティ伯爵』が出した人数分の通行証だ」


 そう言うとホームは持っていた私達の羊皮紙に書かれて伯爵のサインの入った通行証を門番の兵士に見せた。


「確かに本物です、大変失礼致しました!」

「まあ最初にきちんと説明しなかった僕も悪かった、これはほんの気持ちだ」


 そう言うとホームは門番の兵士二人に小さな袋を一つずつ手渡した。


「これは……」

「僕達はこれからも何度かここを通ると思うので、その時はよろしくね」


 袋の中を確認した兵士達は襟を正してホームに最敬礼を行った。


「そうだね、わかればいいんだよ」


 ホームがとてもにこやかに微笑んだ、これは確実に何かあるな。

 考えられるのは袖の下を渡した事で兵士を買収して関所の機能を無効化したと言ったところだろう。


「ユカ様、僕の事を軽蔑しましたか?」

「いや、それで多くの人が助かるならいいと思うよ」

「流石ユカ様です。綺麗事だけでは世の中は回せません、僕は父上からそれを学びました」


 ホームはこの年でしっかりとした帝王学を学んでいるのだ。

 これは将来優秀な為政者になる可能性が高いが、このままでは危険度もある。


「では、僕達はここを通らせていただきます」

「はっ! ホーム・レジデンス様、どうぞお気をつけて旅をお続けくださいませ!」

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