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112 銀狼王の遺した物

「ターナ様、こんな素晴らしい物を頂きまして誠に有難う御座いますわ」

「そんなにかしこまらなくていいよ、あたしはあたしの仕事をしただけよ」


 レジデンス兄妹は二人共とても良い物をもらってうれしそうだった。


「まだあるよ、アンタにはこれだね」

「俺……にもあるのか?」


 ターナさんがフロアさんに渡したのは何連にもなった細く伸ばしたゾルマニウムを使ったしなやかな鞭だった。


「アンタは動物使いだったよね、戦うよりは動物を使ったり大人しくさせる為に縛ったりできる方が良いだろ」

「確かに……それはそうだが」

「それに、アンタは威圧的に動物を力で従わせるような奴じゃないってわかるから、アンタなら使えるよ」

「わかった……(族長(モジャ))の誇りに誓おう」


 これでフロアさんも最高の武器が手に入ったわけだ。


「アンタには……これが合ってるんじゃないかな」

「これは……? これってひょっとしてぇ」

「流石だね。そうさ、これはミクニの国で使われている計算機だよ。ソロバンとか言ったかな」

「コレだけ硬くて軽いって……武器にもなりそうだね」

「そうさね、まあ護身用とでも思えばいいかな。殴るだけでもかなりの攻撃にはなるよ」


 ターナさんは笑いながら説明していた、これは“ドラゴンズスターⅣ”に出てきた『旅商人のソロバン』のようなものだ。

 まああれはもっと巨大で振りまわす杖か棍棒みたいなものだったがこれは両手で一つずつ持って戦う事の出来るコンパクトなサイズだ。

ターナさんはそれをゾルマニウムで作ったのだ


「アンタ、賞金稼ぎの前は一流の商人だったんだろ。だったらこれが一番ふさわしいかと思ってね」

「ありがとねぇ、あーしが何か武器防具の取引やる時には贔屓にさせてもらうよぉ」

「ああ。そりゃあ食いっぱぐれなくて助かるね!」


 これで全員の装備がレベルアップできたわけだ、これならヘクタール領で戦闘になっても負ける気はしない!


「そうそう、ユカにも渡すものがあったんだよ」

「ボクにですか?」


 そういうとターナさんは私に銀色の美しい毛皮のマントを渡してくれた。


「クゥゥゥウウウン」

「キューーゥゥゥン」


 シートとシーツが毛皮のマントにすり寄ってきた、これが父親の物だとわかるのだろうか……。


「預かっていた銀狼王の毛皮で作ったマントだよ……今見せるのはその子達には少し酷だったかねぇ……」


「クゥゥゥン」

「キャウウゥゥン……」


 フロアさんがシートとシーツの頭を優しくなでながら二匹の鳴き声を聞いて頷いていた。


「そうか、よく分かった……お前達、よく耐えたな」

「フロアさん、二匹は何と言っているのですか?」

「ユカさん、二匹とももう父親がいない事は理解してるようです。それでもこの臭いがとても好きだといっています」

「それは……ではどうすれば」

「ユカさん、貴方にそのマントを持っていて欲しいのですよ、そうすればいつも父親に見守ってもらえているような気がするのだそうです」


 この銀狼王の毛皮は双子の赤ん坊の面倒を見るお礼として銀狼王ロボに私が貰った物だ。

 確かに私が持っているのが一番良いのかもしれない。


「わかった、ではボクが使わせてもらうよ」


 私は銀狼王のマントをゾルマニウムの鎧の上から羽織った。

 マントはとても軽く、そして身に着けた事で銀狼王の力を受け取ったような気がした。


「クーン。クーン」

「キャウン…キャン」


 マントを身に着けた私に双子がとても甘えたようにすり寄ってきた。

 私に父親を感じているのだろうか。


「よしよし、良い子だね」


 私がシートとシーツの頭をなでてあげると二匹はとても嬉しそうに吠えた。


「アオーーーン!」

「キャオーーン!!」


 シートとシーツの双子は何度も何度も私の周りを回った後、飛びついてきて顔をペロペロと嬉しそうに舐めだした。


「よしてよ、くすぐったいよっ」


 それでもシートとシーツはずっと尻尾を振って私を舐め続けた。


「困ったねぇ、まだ渡す物あるのに……これはもう少し後かな」


 ターナさんの言うまだ渡す物とは一体何なのだろうか?

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