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10 そうだ、仕事しよう(オークリーダー編)

 レベルアップした事で私はレベル3になった。

 この世界でいっぱしの冒険者といわれるようになるのはレベル8以上だ。

 しかし通常はスキル無しにモンスターを倒すのが難しいのでスキルを使用した分だけレベルが上がりやすくなるのである。


 体に少しピリピリした痛みが走った。

 どうやらレベルアップ痛というやつがあるらしい。


 しかし私はスキルを使った覚えがなかった。

 だが、体がものすごくだるく、精神力がかなり枯渇していた。


「ステータス・オープン」


 まさかこれで見られるわけないよな、と思いながらも私は自分のステータスを見るためのセリフを言ってみた。

 すると、目の前に半透明のウインドウと丸いグラフがいくつか表示された。

 これはまるでゲームの世界そのものである。


 ユカ・カーサ レベル3

 HP 15/60

 MP 0/20

 所持品 ショートソード レザーアーマー 革袋 油壷


 今見れるのはこれくらいのようだ、しかし使った覚えのないMPは0になっていた。

 多分レベルは上がったがMPが元々0だったのだろう、とその時は思っていた。


「しかし毒の沼があって助かったなー」


 私の目の前には四角の不自然な形の毒の沼があった。

 先ほどのゴブリンの死体はここに埋もれたままだ。 

 辺りに鼻につく悪臭が漂っている。


 しかしこの毒の沼を超えないと、村には帰れない。

 家に帰るまでが冒険なのだ。


「ギギギ……」


 私の耳にもう聞きたくないあの耳障りな鳴き声が聞こえてきた。

 ゴブリンがまた現れたのである。


 さらに不幸なのはその後ろにはオークリーダーもいた。

 ゴブリンが討伐レベル3~4だとすると、オークリーダーはレベル8が2・3人で力を合わせて倒せるレベルだ。


 もう既に無理ゲーともいえる状態だった。


 私にはもう武器も手段も何もない、これが絶望というやつなのか……。

 ダメだ、考えろ! ゲーム制作ではどんな無理な修羅場も乗り越えてきたのが私の精神力だ!!


 私は辺りを見渡し、目の前にいた小動物を捕まえた。

 これを毒の沼の手前側に投げつけたのだ。


「ギャギャギャー」

『ブゴー! ブブゴー』


 オークリーダーとゴブリン達は、目の前のごちそうに飛びつこうと小動物めがけて駆け出した。

 その直後!


 ズブッブ ドッブ ズグチュッ


 私の狙い通り、目の前の餌に釣られたゴブリン達とオークリーダーは毒の沼に足を取られ身動きできないまま沼にどんどんと沈んでいった。

 この毒沼はどうやら底なしのようだ。

 私はこんなご都合主義みたいな四角い毒の沼があるのに少し疑問を感じたが、身動きできなくなったオークリーダーとゴブリンを倒すためにショートソードを構えた。


 ブンッブンッ


 身動き一つできないゴブリンと違い、オークリーダーはその太い腕で手を振りまわし鈍器をたたきつけようとしてきた。

 こんな威力だとシールドですら衝撃を避けきれない。

 私は全力で攻撃をかわし、オークリーダーの鼻先に残っていた油壷に火をつけた布を結んで投げつけた!


 火の回ったオークリーダーの頭が燃え出した。

 その傍にいたゴブリンはもう既に動くだけの力も残っていなかった。


「これでもくらえ!!」


 私はショートソードに力を込めて先ほどと同じように、毒の沼に埋もれたゴブリンの脳天に兜割りを叩き込んだ。

 一匹、もう一匹、そしてさらに一匹、ゴブリンを全て脳天割りで倒した後、火だるまのオークリーダーの毛皮が焼けてむき出しになった肉に剣を叩き込んだ。


 オーク種の強さは強靭な毛皮にある。

 その為熟練の冒険者でなければオークリーダーの表皮を貫く事ができないので、倒すのにレベルが必要だったのだ。


 しかし毛皮無しで肉むき出しの状態なら今の私でも倒せる!

 剣をありったけの力で口の横から脳まで突き刺されたオークリーダーは、火だるまのまま絶命した。

 私は火が付かないうちに、剣を上に切り上げながら抜き、素早く離れた。


『レベルが上がりました』


 もう聞きなれたレベルアップのアナライズを聞きながら、私はステータスを確認した。


HP85/85

MP30/30


 どうやらこの世界はレベルアップと同時に、体力が完全回復するようだ。

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