102 ヘクタール討つべし!
おかげさまでブックマーク100行きました!
感謝します。
「ですが……悲しい事もありました。ボク達が着いた時には既に大勢の犠牲者も出ていたのです」
良い話だけではない、実際に盗賊の住処では大勢の犠牲者も出ていたのだ。
「盗賊は隣の領主、ヘクタールと組んでいました! ここに証拠もあります。奴らは誘拐した女性や子供を奴隷として売りさばいていたのです」
「おーい、それっていいがかりじゃないのかよぉ」
案の定ヘクタールのスパイが入り込んでいるようだ。
彼らは私の挑発に簡単に引っかかっていた。
「奴らは売り物にならない女の人や子供は生贄にしてから殺して食べていました。奴らは既に人間ではなく、邪神の手下だったのです! ヘクタールは邪神に魂を売ったのです」
辺りがざわざわしていた。
「本当です! ユカ様は私達を助けてくれました!!」
「ぼくもたすけてもらいました」
「あたし達もです!!」
私が助けた人質達がみんな私の事を擁護してくれた。
「そして、彼らは神聖なる森の守護者、聖狼族すらも邪神の手下にしていました。ここにいるのはその聖狼族の銀狼王の忘れ形見です」
私はそう説明し、ホームとルームが抱えた双子の狼の赤ちゃんを見せた。
「おお……あれが銀狼王様の」
「何て可愛らしいの」
「わーいもふもふだー」
「ありがたや、生きて森の守り神様を見れる日が来るは思いませんでしたわい」
これで正義は我にあり、ヘクタールは完全な悪者になった。
「ヘクタール許さん!」
「以前から良い話は聞かなかったけど最低だね!」
「俺、伯爵様の住民で良かった」
「ヘクタール討つべし!!」
まあ予想通りとはいえ、住民のヘクタールへの怒りは最高潮になっていた。
「……オイ……まずい事になったぞ」
「早くここを出ないと……」
遠くの方でひそひそ話をしている連中がいた、間違いなくヘクタールの手下のスパイだろう。
「茨の呪縛」
私の意図を察したマイルさんは遠くの植物を使い、逃げようとしていたヘクタールのスパイを拘束してくれた。
だが下手にここでヘクタールのスパイを見せしめ処刑すると報復の全面戦争確定である。
「ここに奴隷売買の証文の紙があります、これにはヘクタールのサインと盗賊のボス、ドークツ、ソークツのサインがあります!」
これを見せつける事により、ある意味の宣戦布告になったのだ。
だがこの後は伯爵の裁量に任せる事にした方がよさそうだ。
「……皆さん、怒りはごもっともです。しかしヘクタールはあれで公爵派の貴族、そう簡単に証拠を認めないでしょう。そこで私はここにいるユカ様とそのお仲間、私の息子、娘をヘクタール領に特使として派遣する事にしました」
「!? お父様?」
「父上!」
伯爵はホームとルームを正式に特使として派遣する事にしたのだ。
これなら宣戦布告とは取られない上、下手に無礼な事をすると国にまで響く問題になる。
流石は海千山千の伯爵であると言えよう、これなら堂々とヘクタール領に行ける。
「そういう事です、皆さんのヘクタール男爵への怒りはごもっともです。ですがボク達はまず武力ではなく男爵と対話する事から始めようと思います!」
「がんばれ!」
「ホーム様、ルーム様お気をつけて」
「お帰りお待ちしております」
住民の人達は私達を応援してくれた、これで問題なくヘクタール領に行く事が出来そうだ!!
「はい! 僕達がヘクタール男爵を諫めて見せます!」
「私達にどうぞお任せ下さいませ!」
レジデンス兄妹は自分達が行きたがっていたヘクタール男爵領に行く事が出来るようになったのでとても嬉しそうだった。
「皆さん、ボク達はきっと……ヘクタール男爵の悪事を食い止めて見せます!!」
私のこの見せつける為の演出、パフォーマンスで収穫祭のボルテージは最高潮に高まっていた!