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8~

   8


 地球とのコンタクトに光によるデタラメなモールス信号を試したホーク側。

その信号を送っているのも小型無人偵察機であり、見つかったとして捕獲されても地球側がどう解析していくかが面白いと踏んでいる鷹士であった。その機は数百とある内の1つに過ぎないのである。


通信傍受をしながら特定域のバンドに絞込み、様子を伺う。

【光の点滅確認。・・・意味は解りませんが、位置は・・・つっ、月?月の左200kmの地点です。しかし・・・何もなく光のみが点滅しています】


ここでもマリー少佐は微笑むのを我慢しながら様子見していた。

鷹士の測った策略が、こうも上手くいき、面白さがあるとは思っても居なかったギャップがあるようだ。通信には多少の誤差が生じる距離であったが、本部との通信を地球側が傍受出来るはずはなく、安心して悪戯紛いのコンタクトを楽しむホーク側であった。


まさか遊ばれてるとは思わない地球側は、世界規模でテンヤワンヤしていた。

時に某大国では宇宙局を中心に電話が殺到していた。

民間の天体観測チームでさえ捉えていた光の点滅であったのだ。

地球から放った宇宙航空機も探すはずなので、点滅させる無人機の別の無人機にて開始し、月の周りでランダムに点滅させ、まるで超光速移動してるかのように見せかける。

これも本部からの指示であったが、もうひとつの手の込んだ点滅を最後に残していた。


水の雫マークを逆さにして上が大きいほうにして、その中により小さい雫を左向きと右向きに目のようにし、口元に当たる場をUの字になるように配置。数十の無人機を適した配置にし一斉に点滅させていく。マリー少佐はサッパリ解らなかったようだが命令のは忠実に従った。

あんなに離れて何かのマークになるのかと思っていたようだが、約38万キロも離れた場からは光の点滅が繋がって見えるのである。

まさに地球上で有名であり、電波ジャック時に潜り込ませたエイリアンの顔の笑顔版であった。


このジョークが地球人にどう伝わるかである。

民間の天体観測の者も一瞬何かと思ったようだが「んぷっ、笑ってる」と声に出してしまうほどであったが、宇宙局では真面目に「新たな点滅位置が判明しましたが・・・あの・・笑ってるようにしか見えません」となっていた。

大型スクリーンに映し出されたものもエイリアンが笑ってるようにしか見えない映像であった。


ものの数秒であったが、小型無人偵察機は数機だけ残して撤収した。

地球側の映像通信でもライブで伝えているのも傍受しているので、マリー少佐は口元を手で抑えつつ腹を抱えていた。「んくくくっ・・・そうなってんだぁ~」と小声で発しつつ、完了報告も行わせる。

今まで宇宙に出て未確認の生命体との接触で、ここまでお茶目な悪戯を施したことは一切ないので、艦内の皆が任務中にも関わらず笑いを堪えていた。


地球側はそんなに早く宇宙に出れるはずもなく、まだ月の周回軌道上を探している航空機1機のみであった。月基地からは縦に点滅が並んでいるようにしか見えておらず、報告に食い違いも発生してるようだ。


更に待機を命じながら小型無人偵察機を3機に減らし、次の地球側の航空機らしきものが飛来した場合に後ろから追尾し、距離100mでステルスモード解除し追い回せとの命令がマリー少佐の元に届くが、2機は左右に1機ずつで挟み込んで1機は左右に揺れるように飛ばせとのこと。

翼が付いていないので地球での戦闘機の挨拶や敵対心なしの合図にはならないかも知れぬが、お試しであった。


月の周回軌道を回っていた航空機は月基地に着陸するようだ。

そしてまた暫くの沈黙が訪れる。


マリー少佐の率いる艦隊の中では隊員達が皆同じ話題で盛り上がっていた。

暫しの休息であるが、地球側が何かを発進させ宇宙空間に来れば、挑発の悪戯が始まる。


報告を受けた鷹士は「うん、ヨシ。こうなると次の追いかけっこのあとに本当の接触になるぞ」と言い、また地球の自室に行く決意をすると同時に、マリー少佐を筆頭に4人連れて行くように伝え、接触場所は日本にさせた。アイン中佐の分遣隊は月と地球の上空で待機し、マリー少佐の交渉中に合図を出させるようにさせ、その合図でステルスモード解除にて地球人の代表達と他を大いに驚かせてあげようという大胆な発想であった。


その合図は交渉中に不利になりそうな場合や、攻撃の構えを見せた時に上空に仲間が居ると言った時に姿を現すようにした。只でさえ巨大な全長2000mの船体であるが、それが米粒の形状の黒い物体が上空に突然現れれば誰しもが驚くであろう。しかもそれが複数レーダーにも突然映るのだから。


地球側は大慌てになること間違いないが、同じ人間の容姿にホッとすることもあるだろう。

ホーク側の自動翻訳機も優秀で既に傍受段階で済ませているので言葉が通じないことはない。


こうして地球側の動きを待ちながら、のんびり暮らす鷹士。

ホーク星の夜が訪れ前に、地球側の特に日本のことをソフィやオリガーに話し理解を深めてもらう。その中で地球での仲間という位置で補佐役の中村や、金髪の鈴木、係長の田村のことも話す。

会社員という役割はホーク星でも事業があるので理解は早いようだが、その地位に納得は2人とも出来ないようだ。


難しい顔になっていたが、向こうとこっちでは状況がまるで違うのだ。

しかもホークという名はゲーム上のニックネームから来てるもので実際の人は誰も知らない名でもあることを2人に知らせる。すると、潜入工作員のようだと思ってくれたようだ。一応は、まぁいいかと思いその場はお開きになったが、ソフィからの報告があった。


報告によると、やはり第3惑星のバークレイ王だったようで、ジャーマン大将にはキツくお仕置きを下し、バークレイ王には控えてくださいと伝えたそうだ。キツいお仕置きが気になるが、バークレイ王には後々の地球との遣り繰りに参戦とも思っていたが直接は止めようと踏み止まることに。


さすがのソフィでも友好関係にある惑星の王にお仕置きはしていないようだ。

それが本当かどうかは、さておき。


通信に誤差が生じるのでリアルタイムで報告を知りたい鷹士は、マリー少佐、アイン中佐の間に通信艦を配備したいと伝える。すぐに実行に移され、小隊規模が動く。

この意思決定後の素早さは気持ちが良いほどであり、地球に居る時の上司に限らず部下の中にもドン腐さがある奴が居るのも思い出してしまう。


そう思うと、仲間のあの3人をこちらに連れて来たい気も起こるが、身内はどうするという考えも浮かぶ。逸そ、月か火星に拠点を築いて別荘感覚にしてしまうかと言った思いも過ぎる。

だが、まだホーク銀河と呼ばれる中には友好関係になっていない惑星もあり、どうやっても交渉すら成り立たない野蛮な種族も居る。

獣人と呼ばれる奴らは弱肉強食を貫いてきてる奴らで、科学技術は然程ではないが地球よりも発達し宇宙に出ることも可能だ。


そんな輩は2つある太陽の内、ホーク側とは逆の方向にある太陽の方にある惑星に居る。

ホーク銀河内は簡単に言ってしまえば太陽系が2つそれぞれ似たような動きをしながら、2つの太陽系が8の字を描くように周り、10年に一度ほどの周期でその時に端にある星が近付くが、太陽同士であっても反発する力が発生し、交わることなくまた離れていく。

だがその時ほど暑い時期はない。それぞれの星も自転してるが、地球の赤道上の暑さなんて目ではないので皆、地下空間に降りるのだ。軌道上に浮かぶコロニーも暑さ対策でその場を離れる過酷な日々である。


宇宙船に乗り込んで傍から見る分には問題もないが、住民を置き去りにしてるようでもない。

地下空間も同じような作りで凌げるようになっている。

その時期が過ぎれば、地下空間には頑丈な防護扉が降り、貯蔵施設になる。


そして夜が訪れ、旨い食事のあとにサッパリと湯を浴び、ソフィに暫く頼むと伝えて就寝に入り地球へひとっ飛び感覚で消える鷹士。

意識した場所と時間に辿り着いたかを先に確認していく、自室に着いた鷹士。

「えぇ~っと、えぇ~っと・・・おっ、合ってる・・・よな?」

自信なさげであるが正確に戻っているようだ。


だが、起きた時間はもう出勤時間が迫っていた。

「あっ!げっ!うぉっ!・・・急がなきゃ!」

部屋内に服が浮き上がり、腕時計が宙を舞う。

Yシャツを取り出し、スラックスも出す。

着替えをしながら目の前でユックリと床に向かって落ちていく腕時計に手を通し、すぐにYシャツのボタン留めに入りつつネクタイを首に掛け、スラックスを履いていく。

尋常でない速度が出せるのをいい事に、一石二鳥どころではなく一石五鳥をやってのける。


アニメでよくあるパターンの食パンを加えて玄関を出る鷹士。

着替えに入ってから、ものの20秒で至って普通に自宅から会社に向かうサラリーマンを装うのであった。さすがに食すのは通常通りのスピードになってしまう為、マンションのエレベーター内で食パンは食い終わるようにしたようだ。

朝の出勤風景に溶け込み、いつも出会う人をほんの少し懐かしみながら駅に向かい、気合のいる満員電車に乗り、混ざり合った異臭が鼻を突く。

かと言って女性専用車両には乗れない。意外とそっちのほうが様々な香水の匂いがキツイかも知れないと念じながらのオヤジ臭に耐えての通勤。


会社に着いて挨拶を受けながら自室である元部長の部屋に入り、椅子に座って溜め息を漏らしてしまう。

そこへ間髪入れずに補佐役でもある中村が来る。

「おはようございます!管理官殿!もうTVとか見ました?ネットでも良いんですけど、あの・・・もう、お疲れのご様子ですが、休養出来ました?あっ!そんなことより未知との遭遇が本当にあるみたいなんですよ。ちょっと、聞いてますか?先先日、管理官が言ってたじゃないですか、あれって冗談じゃなかったんですか?」

朝からマシンガントーク炸裂で、例え、銃で撃たれてもなんともない鷹士が蜂の巣にされた気分だった。


渇いた返事をしていると、次の連射が訪れるのかと思ったが、ロレツの回っていない係長の田村であったが、鷹士は一言「あ~もう聴いた」で終わらす。

他の社員もその話題で持ち切りであったが、ひとり真面目に「仕事に取り掛かりなさい」と叱っている者がいた。金髪ショートカットのクリスティ鈴木であった。

この鈴木には言ってないが情報はどこからか入っているはず。


だが、挨拶しながらドアを開けて、この2日間の報告書を纏めて提出してきただけであった。

一緒に立っていた2人は瞼をパチクリさせながら鈴木を見ていた。

2人共『何この人。何事もなかったかのようにしちゃって』と思っていたようだ。

ポツリと中村が口を開いて鈴木に問う。

「ね、あなた。ニュース見てないの?未知との遭遇かもなのよ」

その答えに鈴木は「道ならいつも遭遇して歩いて来てますが、何か?」と、珍しいボケを初披露したのかと思っていたが、ニュースで知ってはいたようだ。


外国育ちもあった鈴木は、番組で大掛かりな仕掛けでのジョークもやっていたりするのでニュースにも疑いを持っていた。

日中ではなく夜間になった時の月の周りでの光の点滅、エイリアン顔での笑顔の光を世界の半分が見ていたのに、未だに信じないでいるようだ。


まぁ、中にはそういうものも居るであろうと想定内と思っているのは鷹士。

やらした張本人がここに居るが誰も疑いはしない。

しかし、中村は疑いを持っていた。田村は忘れているようだ。

と言っても、未来予測程度としか思っておらず実際の現象に興味津々のよう。


今現在は何も起こっていないので、とりあえず仕事に励むことにした2人。

ドアの向こうに行き、そのドアが閉まるのを確認した鷹士は、小さくガッツポーズを机に隠れてした。

「ヨッシ!いい反応だ。・・・さぁ~て、上空は今頃どうなってるかな」

と、窓から空を見上げるが見えやしない。


月に降りた航空機が発進して帰る際に追い掛けてくれたら、展開が早く進んで良いんだがと思うがホーク艦やマリー少佐の艦隊に繋げられる通信装備もない。

1度行った場所ならリアルに想像出来るので自身を転送出来そうだが、自分のホーク艦しか乗ったことがないので不可能に近かった。


何事もないのも日常の内と思い、切り替えて鷹士も仕事に入ったのだ。

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