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現世でベッド上に横になり、光景をリアルに思い浮かべ移動と願い目を開けると夢の中で見た光景が目の前に広がっていた。
この時点で、鷹士は皇帝まで上り詰めた人物と現世のどこにでも居そうな平凡な人物が同一になったのである。
着ていた服まで状況にあった着衣に変化してるので問題はない。
手をかざすだけでモニターが出現し、ソフィが出る。
今の状況を伝えてもらい、偵察に出していた分遣隊の隊長のアイン中佐が待機してる場まであと30分ほどという。ワープ航法中なので外の景色は光の枠のみで情緒もヘッタクレもない。
司令室に向かう際にも、ドア付近に居た者が着いて来るが女性である。
試しに声を掛けてみようかと顔を傾かせて着ている軍服に着いている胸元の階級章を見る鷹士だが、じつは胸の大きさを見るのが本音である。
「あ~、君は軍曹か。司令室に何か飲み物持って来てくれる人居るかな?」
すると即座に立ち止まり目の前で片膝を着き顔を下に向けて答える女性軍曹。
「はっ!自分がお持ち致します」と、堅苦しさ全開の状況を持って答えた。
「あ、そう。・・・ありがとね」と感謝を込めていく鷹士であるが、その返答にも堅苦しさ全開で「光栄であります」と言いながらまだ片膝を着いている。でも、その時の美脚露出が目の保養にもなる鷹士は満更でもないようだ。
女性の軍服は皆、ミニスカ丈のスリット入り。
男の方は半袖で腕っ節を強調するかのようなデザイン。
太陽が2つもある惑星系にいるのだから暑さも半端ない時がある。
そこは技術力でカバーし空調設備も整ってはいる。
ホーク星も大気圏を覆うようにバリアを張っていて敵の攻撃も防げる。
一部の馬鹿な悪党が攻め入る時は、出て来た時の一瞬を狙えと命じていたようだが、本艦を含む全艦隊が同じバリアシステムを用いているので宇宙空間に出る際に、わざわざ切ったりしない。
一瞬を狙われて大破したのは敵軍のほうであったのは言うまでもない。
更に全員が二重三重に着込んでいるわけではなく、現世でのワイシャツにネクタイもない。
鷹士の要望がふんだんに盛り込まれているようで、シャツであっても胸元がより広く開いた開襟シャツであったのだから女性の胸元も見放題。
履いているブーツもメッシュ生地であるが現世とは材質も違うので強固である。
もしもあのソフィに蹴られでもした奴が居たら青アザでは済まないであろう。
鷹士に対しては従順な部下であるが、ソフィはド級のSタイプである。
司令室に入ると案の定、ソフィが部下に対して厳しく接していたが、鷹士が来たことに気付くと全員が持ち場から離れて片膝を着き、心臓の位置をカバーする形で片腕を胸元に置いて顔は下向きで挨拶。
やはりこの礼儀に少々違和感がある鷹士。
話すときは相手の目を見て話せと両親からも言われていたからだ。
状況を見に来ただけのつもりだったが、まずはソフィから調教に入った。
「ソフィさん?顔を上げてくれるかな。話す時くらい相手の目を見て話さないか?・・ん?」
恐る恐る顔を上げて鷹士の顔を見て目を見るようにするが、僅かだが体に震えが生じているようだ。その状態で今の現況を話していくが、声も震えていた。
以前に、似た光景を目にしていたソフィ。
相手は捕まえられた冷酷な悪人であったが、他の情報を聴こうと連れ出していた。
皇帝である鷹士の顔を見ながら文句を垂れていたら無言でニヤッと微笑み「はい、さようなら」と、その悪人の額に向かってレーザー銃を放ったのだ。
皇帝の顔を見て話したら殺されると間違って解釈してしまった経緯があるようだが、本人の鷹士は冷酷無比に住民を笑いながら殺害し楽しんでいた者に容赦はないだけであった。
あのド級Sのソフィ司令官が声も全身も震わせて話している光景を見ていた他の者も、更なる恐怖を感じてしまうが、恐怖政治なんてもってのほかと思う鷹士は思い切って皆にもソフィから伝えてさせていく。
皇帝が居ない普段の場では普通に相手の目を見て話すのだから問題はないはず。
それでもソフィはまだ唾を飲み込みながら恐怖に慄いているかのようであった。
決して敵う相手でもなければ、一撃すらも触れられずに破れ果てる自分の姿を思い描いてしまう。
そして分遣隊の近くに現れた主力艦隊。
すぐに通信で追加報告をするアイン中佐。
本艦に居る者は皆、まだ体の震えがある者もいるが、任務を遂行中である。
テッキリ、ソフィが出るものと思っていたアイン中佐であったがモニター越しに出たのは皇帝の鷹士本人で慌てていた。
「グゲッ!こここっ・・皇帝閣下!」もう見慣れた礼儀をモニター越しに見ている鷹士であるが、思わずツッコミを入れてしまう。
「アインさん・・・グゲッって言った今?何それ」
目元に手を当てて見ないフリをしているのは鷹士から1歩下がった場に居るソフィであった。
「まぁいいや、とりあえず追加の報告を」
追加報告を述べていく間も顔を下に向けた状態で続けられ、聴いていくの鷹士もそうだが送られてきたデータを確認していくのはソフィとオリガー。
この事態をまだ知らずにいるのは別の艦隊に居るゴツイ体型のガーネル大佐と大隊戦闘員達。
本艦では一斉配信で皇帝からの提示と題して送られていた。他の艦隊にも配信をソフィに願うが一言を付け加えた。
「見ただけで殺しはしないから安心してよ」と。
だが、その時のソフィの瞳は少々潤んでいた。
報告を受けて分析も終わった結果を伝えられる鷹士。
やはり、自分の生まれて育ってきた地球に間違いない。
傍受した電波等にも聞き覚えや見たことある映像が含まれている。
果たして言うべきか、物凄く短縮した過去で覚えているのはゲーム上の事。
しかしそれが、こちらでの実際の経験であったならかなりの年数が経っている。
ものの見事に約10倍の換算であるのだ。ゲームを始めてから約1年で二等兵から将軍まで上り詰め、更に数ヶ月を掛けて星全土の統一を達成し皇帝に降臨し、次の惑星間戦争に突入。ここ最近では2つの悪党勢力を殲滅。そして今ここに存在する。よって、約10年以上の経験値があるという事だが、見た目は然程変わっていない気がした。
深く考えるのを止めにして、正直になることにした鷹士。
「あ、思い出した。あれは俺の居た星だ。何故か飛ばされて今の星に着いたんだ。いきなりの戦闘空間であの時は焦ったが、何とか生き残ってこれたなぁ」
と、過去を思い出すフリをしていくが、ソフィを含め他の者も疑うことなく信じていた。
誰もが最初から知り合いだったわけでもないのだから、知り合った時から今日までの経緯が大事なようだ。
夢の中で最初にソフィと出会った時は本当にドS全開の戦闘員だった。
次にあのガーネルに合い、いきなり殴りにきたが逆に掌底突きで吹き飛ばしてしまったのが超強力パワースキル発動認識の初回。
それを間近で見たソフィの表情は口を開けてポカーンとしていたのだった。
それもそうである。何せ最強武人と言われていたガーネルがたった1発で吹き飛ばされて伸びてしまったのだから。
そこから徐々に仲間も増え、今居る者達になってきたのである。
1回だけまだ納得していなかったソフィとの格闘訓練時も鷹士の圧勝で肩で息をしていたのはソフィのほうで、鷹士は鼻歌交じりの余裕であったのだ。
現世の銃弾すらデコピンで飛ばした豆ほどしか威力がないように感じる鷹士の完全防御力。
意識すれば敵の放つあらゆる攻撃速度が10分の1に見えるが、1度しか使えぬわけではなく無制限な為、当たる前に速度は5km/h以下になってしまうので手でも払い除けられる。
これは某有名な洋画の影響なのかも知れぬが、現実にしてしまう鷹士であった。
ぶっちゃけた後に作戦を練ることになったが、あれが現世の地球であるならば核ミサイルも存在してる。当然、最初にコンタクトを取りそうな国も解るが、同時に攻撃態勢になる国も同じであろう。と言っても、今のホーク主力艦隊には到底敵うはずもなく核ミサイルが来ても蚊が飛んで来たようなくらいだ。
問題は、この戦力差と科学技術力の差を持って、どう接していくがである。
いきなり小型宇宙船で乗り込んで「やぁ~!どうもぉ~こんちわぁ」とはいかないであろう。
逆に地球全土を取り囲んで戦闘態勢を維持したら、地球側も攻撃に入る。
そうなると、地球側の住民に甚大な被害が生じてしまう恐れもある。
地球側も、放った爆弾やミサイルが戻ってくるとは思わんであろう。
現世の地球を知る鷹士は真実を言っていく。
ホーク星となった鷹士の星での国という地域では、余計なものは排除で住民第一的な思想で進めた。税の負担も最下部階級は個人の収入の1%を一律徴収。階級が上がれば1%ずつ上がる。一般住民から始まり高給取りまで数段階あるが、誰がどの仕事をしようが自由。但し悪意があった場合の処罰は厳しい。全財産没収もあり、土地の権利は統一後に元々皇帝が与えているようなものなので、いきなりの何もなしでの放置もあるほど。そして被害者救済の中で、犯人に与える罰を選ばせていく制度も確立。
捉え方の違いは多少あれど、平等性を持っていた。
現世の法律内では被害者が納得出来ないことも多い。
身内を殺害されたのに犯人が数十年後にノコノコ出て来るなんて決して許せないというものだ。
罪滅ぼしで生きて生涯償え、死を持って償え、この二択のシンプルな制度であるが中身は様々であり、この時の犯人の人権は剥奪してあるのだ。
とんでもなく悪人には厳しいが、普通に暮らす住民には喜びが満ちていた。
なんと、病院は無料であり、処置時間も数秒で終わるほどの発展。
余程の荒れ果てた土地でない限り病気にも掛からない世界が存在していた。
だが、未だに反抗勢力も存在しイザコザは絶えずあるようだ。
地球とのコンタクトと言う前に思い出した現世でのニュース。
再度、アインに問い質すと地球の重力圏に捉えられて仕方なくと言うが、投影までせんでもステルスモードのままで居れば良かったのにと。偵察機が見つかってどうすんだと注意をしていく鷹士。
返す言葉もないアインは平伏したままであった。
やはり先に通信で試みるのが良いと踏んだ鷹士は過去の現世を思い出し、回収した中に金のプレート見たいのは無かったか調べさせた。現存しうる全ての言語とメッセージ的図形が描かれているはずのものである。
問題は地球だけの常識枠で他の宇宙の者が解るかよ、というツッコミもある。
国々の間でも挨拶や礼儀が全く違い、逆に無礼に取られる国もあるというのに。
そして、詰められた策の中から最初の手段が用いられようとしていくのである。




