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 トーナメント出場者の上位ランク者の中には執行官への道も開かれている。こちらも訓練が必要であるが、あまり血の気の多い者は精神面から改善を要求される。一応は警備で警察と同じような職務であるが、執行官だけにその場での執行もある。よって偏見や思い込みでの執行は、自身に跳ね返ってくるのだ。


常に街にはドローンも配備されているが、執行官の目も重要である。道案内は下層地区が多いが犯罪もまだある。軽犯罪が殆どで話し合いで済むこともあり、殴り合いも人間なので多少はあるのだ。大体が他の地区からの訪問者が原因であるので、事態を収めるのも執行官の役目。いくら戦いに強くても一般人を痛めつける訳にはいかない。


中層地区から上層地区では知識の豊富さも要求される。

企業間での争いもあるからだ。上品な振る舞いでありながら子供地味た行為をする者もいる。そんな輩にカチンと来ては執行官は務まらない。街の平和は執行官によって保たれるのである。


特区に入るとセレブ風な者も見かけはするが、皆が朗らか。

ホーク陣営本部もあるので、強靭過ぎるほどの隊員がわんさかいるので、執行官は下っ端に過ぎない。逆に隊員の過ちに対しては執行官が準ずる。上級士官用の地区にも執行官はいるが、こちらはアンドロイドが多い。女王であるソフィや皇帝のホークには直属の部隊もいるので、住む場所は広い。


ホーク自身は地球にいた頃、マンションに一人住まいだったので広さを持て余す。だが、世間の目もあってなのかそれなりの設備を誇った住まいに住まわされていると言っていい。本部に直結されているので移動に時間は掛からない。当たり前のように転送装置があるので専用艦にもすぐに乗船可能だ。


娯楽施設も完備されているので、本部の敷地内から出ずとも暮らせるが、ホークが下町と呼ぶ一般住民が暮らす街にもちょくちょく出掛ける。最近ではソフィやマリアンヌ、オリガー、ガーネルも呼び出しては出掛けることもあり、

隠れて出掛ける事はなくなった。その度に隠れるようにしつつ出動するのは護衛の為の特殊部隊員である。護衛の必要性があるのかと隊員は疑問に思うこともあれど、手を煩わせない為である。


時に一人ずつ、ジェニファやアーニャを誘っての時もあり、着いてくる特殊部隊員を逆に怪しんでしまう場合もあった。緊張しっぱなしで妙な疲れが生じていたが、オープンカフェに寄った際に特殊部隊員の位置を知らせるマリアンヌ。

「ほら、あそこに居るのもウチの隊員よ。いつも5人はいるわね。まぁ、1チーム5人が通常だけど、あの5人は強いよ。訓練場にいたのは普通の特殊部隊員だけど、あの5人は格別」


制服の階級章の話にもなり、漸く理解に至ったようだ。

A表示はAランクと思っていたがS表示が特殊部隊員でAの多さも階級に比例し、更に上位は★マークが付いていくと。命令系統も教えられ、艦内も案内されていく。地上にしかいなかったせいか、初めて宇宙艦の全体像を見て仰け反るように驚いた。それもその筈、全長3000mもあるソフィ艦なのだから。最新式の艦体は小型化されているが、自給自足な面は変わらない。


そして新設された護衛部隊に配属された2名の新人隊員を迎え入れるのも女性隊員だった。女王であるソフィの配下であるが、その補佐官であるマリアンヌが指揮官となっていた。他の指揮下の惑星からも引き抜きを行った女性兵士が加わっているが、トーナメント優勝者や上位入賞者であることは知っている。それでも格の違いを見せつけたい者もいる。ある程度は見て見ぬふりをするマリアンヌだが、行き過ぎないよう配慮はする。


新設女性部隊に興味があったホークは訓練風景を直に見に行くこともあるが、指揮官になったマリアンヌも緊張してしまうようだ。広大な銀河を収める最高峰の支配者である者が見ている中での訓練。当然、隊員たちにも極度の緊張感がありヘマを誘発してしまう。それを同時に見ていたソフィからの忠告を受け、直に見られると本領発揮が損なわれてしまうのではと。


そのソフィが直に見ていた時も同じ光景があったようだ。

女王になった時から他の第2、第3惑星の王たちとの会合も増えていたが、以前と然程の変わりはない。この時は補佐官の代わりの代理の者が付くがアンドロイドである。一夫多妻制を持つ地域もあり、その逆も承認してる地区もある。これもそれぞれの文化なので一概に廃止に追い込むことはせずにいる。時に何人もの夫や妻を引き連れている官僚もいるようだが、地位をひけらかすのは問題視されていた。庁内等であるなら必要最低限の人数、外部へも同類と同意を得ることに。問題はその人数というか閣僚の内容であった。


そんな小難しい問題の会議もあれば、単なるお茶会地味た時もある。今回の会合では第3惑星内の均衡の問題にも入っていた。一応は塀で括っている戦闘区域がある地区。新人隊員の訓練場にもなっているが、その地区の住民からの要望もあるようだ。ある程度の格差が生じるのは致し方がないと予想していたが、どうも治安が悪いほうへ傾いている報告もある。


それは第3惑星内に留まらず、個々にあるようだが他の地区は執行官のおかげで大きくは至っていない。そんな時にシル星での暴動の報告が入った。女性君主の星であるが為なのか、抑圧された男たちが起こしている暴動のよう。内容は単純なことであるが、その星の文化的傾向が現代では通用しなくなってきたようである。男性というだけで、重要な部署に配属や働けない、入れないということらしい。その逆は地球でもあったようなことだ。性差別にも取れるが、そこは実力主義に転じてはどうかと打診した。


大らかに受け入れて試してみた結果を踏まえてからでも遅くはないと、ソフィから直々に伝えたようだ。ホークには報告を入れているが、任されたのがソフィだったのだ。他の惑星との会合時にも意見を出し合った結果でもある。ホーク銀河内では実力主義が浸透しているので、女性であろうと戦闘員もいるし上官もいる。王が男性であろうとあまりにも強引であると失脚に追いやられる場合もある。よって、ホーク銀河内では性差別、人種差別は犯罪行為と見なされ、意見の違いを認めずに強引に進めようとしても逆に潰されるのがオチ。


君主制は基本にあるだけで細かな法は後に作られたものである。

名称は残っていても、過去の古い官僚組はもういない。

複雑な制度もなく、より解り易い内容に変革したのだ。

民間では競争も大いにあり、政府と民間という隔たりも減らしているので、ホーク陣営公認も増えていた。何よりも税金徴収の単純化が民にとっては大いなることであったようだ。地区によってその徴収率は多少変わるが、全住民への個人登録要請時は不満もあったようだが、今では登録亡き者は存在しないほどで、飼うペットですら登録済み。捕獲しても誰の所有するペットかも確認出来るのだ。どこに行っても個人が認証される為、不便は皆無な世界に発展していた。例え、裸でいようとも個人が解かるのだ。サイボーグ化していても同じで、より一層の情報が増えるだけ。


その個人認証はホーク陣営内でも発揮されるが、姿を見ただけでオールフリーになるのはホークは当然のこと、上級士官までである。小さな法が一つあるとするとタトゥに関することで、デザインは自由で誰でも化であるが、ホーク陣営の紋章ともいえる柄は不可であった。ホーク自身にはその紋章が何故か自然発生していたのだが、他の者は証として階級章と共に身に付けているに過ぎない。


しかも普通にしているときは黒っぽいが、怒りや戦闘領域に気が達すると赤く変貌し羽の部分が開いていく現象が起きる不思議なタトゥ。制服着用時等は隠れてはいるが光を放つ場合もあり、そんな時に口答えしようものなら突き刺さるような眼光が精神を萎縮させ、動けなくなるほどだ。


そんなホークでも、普通にしている時は心優しい。

飼っている猫3匹といる時なんぞは皇帝とは思えない朗らかさ。

仲間の窮地には必ず助けに参上し、問答無用の反撃を敵に食らわす。敵に対しては容赦せず、何か言おうとしていても攻撃して一言も弁明を許さない。敵を壊滅でも甘いと言い、殲滅せよと命令を下した時には跡形も残らない。まるで敵を病原菌のように扱い元を経つどころか消し去るのだ。元からそこには何も存在していなかったかのように。それはリンド星での出来事が物語っていた。


強過ぎる男、ホーク。

同時に強過ぎる艦隊を持つ集団とも噂されるのは、シル星に留まらず敵である者達の中にも浸透していた。どこからやって来たのか不明の敵軍にもその光景は焼き付いているようで、別銀河にも噂が広まっていた。


張本人のホークは、最初は地球での自身の住むマンションの一室内のゲーム上で、在り来りの定番と思いながら付けた名であったのがホークだったのだ。そんなゲームを知らない、どエライ遠くの星のとある者と融合してしまってから今に至るのであった。


精神世界の者との会話も時々してるが、他に融合させた者は存在せずとするが、一概にそうとは言い切れないようだ。精神転送で肉体だけ別人な者がいるのではないかと。その話も以前にしたので、AIのアイちゃんにも手伝ってもらい個人の特定をしていく。そう簡単ではないが、経験した覚えがないのに夢で見るといった人物を選出。他には、知らないはずなのに現地に行くと知ってる感覚に襲われる者や、急に別の能力が発動した者を医療と称して調査。


地球人でも過去にいたようだが精神的疾患で入院していた者もいたようだ。やはり精神世界の者が失敗例を隠しているとも言える。物理的なものがないに等しい精神世界な為に、発達した科学技術なAIでも不可能のようだ。だが、人間には予測の検知は機械よりも広いことがある。あらゆる場面から予測を立てるが、機械ではデータという元から推測する。よって、範囲は狭まれているとも言えるのはデータ外の予測が不完全になるということだ。それが人間には可能なのである。妄想と言われるが、データにないことでも、もしかするとという分野がそうさせる。


人間はデータの上書きを自動で行いつつ、シミュレーション別に区分けも出来る。別角度からの検討も視野を広げることも可能。有り得ないという言葉を無くせば全てが可能になるのである。そもそも、有り得ないという言葉が出るのは過去のデータから基づくからなのだ。過去に例がなければ作れば良い。


思考が優れていた大熊鷹士と実行力を持つ別銀河の者が融合した結果がホークであった。その結果が精神世界の者の予想を遥かに超えた存在になってしまったのは成功なのか失敗なのかは、もう測る余地もない。存在してしまっているのだから受け入れるしかないのである。まるで、パンドラの箱を開けてしまったと思うのは精神世界側であるが、見ようによっては絶対的な魔王であろう。だが、平和に暮らす者たちからは神のような存在にもなるのであろう。

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