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 一時休憩を入れても敵地なので緊張感は取れない。

戦闘用アンドロイドが護衛に付きながら、作戦を練る。

爬虫類系人種なだけにジャングルのような場が多い。

開けた場もあり、敵に見つかり易いが離発着場には丁度良い。転送で艦まで送られるのは非常手段にしとくようだ。何せ光を発してしまうからステルス艦の居場所も明らかになってしまう。


この星の近くに明るい太陽のような星は存在してるが、地球の夕方くらいの明るさしか到達していない。住民というか敵軍は夜型生物が発生源かもしれない。ということは暗くなると動きが激しくなるやも知れんということだ。逆に、太陽が2つあるようなホーク銀河では明るいのが当たり前で夜が短い種族には不利である。そこで、優れた技術のサングラス型のナイトバージョン機能を使い、暗視スコープのカラー版とも言えるものを装着していく。


光源を当てられても調整機能があるので眩しくて見えないことはないので、日中と同じように動けるのだ。10箇所のみの偵察兼攻撃なので他の部隊の攻撃結果は見えないが、そのサングラス型の内側に映る、艦からの偵察画像は見える。熱画像による敵の位置も解るが、敵艦の熱との区別もさる事ながら、本当の冷血動物かと思えるほど熱を然程、発しない敵であった。


2日、3日と過ぎてるようだが、ここでも時間の進み方は違う。上空での戦闘も押したり引いたりのようであるがホーク軍が優勢のよう。ソフィの大隊が来たおかげかも知れない。


通信基地らしき場も見つけ、完全破壊していき、大型兵器も見つけるがどういう仕組みので操作も解らない。どこに設置すれば効果的に破壊出来るかが問題となるが、ホークがやったように砲身内に設置が役に立つようで特殊部隊員も真似していく。


まだ地下への通路らしきものも見つけていないが、投下場所が悪かったのかと思ったが、作戦司令部らしき巨大で広大な建造物に出会うホークたち。ランチャー砲で狙い撃ちしたいが、ホークの一言で狙いを定めた。室内に向けて撃つのでなく、地上に近い場の柱を目掛けて最大級レベルで撃てと。建造物ごと崩壊させるようだが、地下もあるかもしれないからと、隊員に仕掛け爆弾の設置を命じた。


隠密行動を得意とするので難なく設置後に戻り完了報告。

残骸が邪魔になると地下への進入が困難になりそうと思ったホークは上空のアイちゃんに攻撃を頼んだが、それはスイッチのみである。仕掛け爆弾は床を吹き飛ばすように設置させたのだ。


そして柱目掛けてランチャー砲が放たれ、爆発と同時にアイちゃんによるスイッチオンで気持ち良く建造物が一気に吹き飛んだ。数分後、やはり敵が地下から這い出てくるが近付きながら撃つ。石を放り込むように強烈な威力の手榴弾を投げ込んでいき殲滅していく。


地下に行くと、思った通りの機材のようなものが散乱していた。

建造物があった場よりも地下の方が奥へと続いているのも解った。

わらわらと出てくる敵に容赦のない攻撃。


一旦、外に出て一帯を攻撃するようアイちゃんに命じ、地形が変わるほどの集中攻撃を行う。次の場所に向かうホークたちは次々に敵の拠点を崩壊させていった。他の部隊も結果を出し、燃料貯蔵施設も見つけて破壊。似たような施設は上空から攻撃させていくが、地上からの攻撃で2艦ほどが撃墜されてしまったようだ。同時に、他の部隊にも被害が出てるらしく全攻撃は不可能になりそうな状況に。


仕方なく撤退を指示し、部隊を艦に撤収させていき宇宙空間へ。ホークの部隊は最後まで残り、設置したものを点火させたりして破壊工作をしながら艦に戻る。狙いを定めた敵の地上兵器であったが発射と同時に爆発で、ホークの案が役に立った証拠であった。発射されたビームは拡散され近くの兵器を誘爆していく。大炎上の中、光速で宇宙空間に飛ぶが、その宇宙空間にも敵は存在する。


大体の目星は付いていた地下空間への入口。

ホークの大型艦をそこへ突っ込ませる案もあるが1発で吹き飛ぶとは限らない。普通なら部隊が守りながらであるが、先に部隊を逃がし、ホークが自ら小型艦から戦闘用機体を操縦して、敵艦が出てくるハッチから侵入して破壊してくると。


あの方なら出来そうと思う反面、自殺行為とも思えた特殊部隊員であったが、乗り込んだ小型艦はすぐにワープに入り、ホークの乗り込んだ戦闘機は射出されていった。そのことは他の大隊にも知らされ、ソフィの耳にも入る。

「え?・・・何?1人で乗り込んだ?・・・ちょっ・・敵だらけの星よ。私も行く」

必死に止めるのはマリアンヌ。この空間での戦闘は収まってきたとも言えるが、まだ敵の攻撃は続いていた。しかもソフィの大隊も少なからず被害を被っていた。


応戦しながらも通信も途絶した状態で、ホークが心配でならないソフィ。アイちゃんこと、AIからの報告で時間設定の専用艦攻撃で敵の星に突っ込ませる命令を受けていることも報告され、第2防衛ラインまで総攻撃をしつつ撤退せよとの命令も通達された。


ホークは敵艦の出てくる穴に専用艦を突っ込ませつつ、地下空間の誘爆をさせるようだ。その誘爆が成功しても最新艦に戻ってから宇宙空間に出て帰還するのは至難の業である。星一つを爆発させた場合の威力も考えての第2防衛ラインまでの撤退を指示したようだ。


皇帝の命令なので従うしかない将官たちは、まだ残る敵に総攻撃をしながら撤退していく。敵も前進するが、余力もない状態。それでもまだ高出力砲を備えた艦が残っていた。全滅させてやると、怒りの表情でソフィの乗船する艦が動きを止め、撤退ではなく前進していく。上官のソフィが行くならと他の艦も追従してしまう。AIによる強制操縦もあるが、ソフィの命令では移行出来ない。追従しようとした他の艦は直後に強制操縦に切り替わるが、ソフィの艦の護衛になった。


すぐにホークの大型専用艦の緊急最大船速発進が伝えられ、敵の砲撃を避けずに受けながら突き進んでいく。表面上の外壁が剥がれ落ち、兵器が丸出しになり放射もして反撃しつつ、敵艦の出口を攻撃し穴を塞がせない。


ソフィの艦の乗組員たちは艦内に備わる小型艦に移り脱出していく。その際には敬礼をしながらであった。別の艦隊に収容された時に、ホークの大型専用艦が敵星に突っ込む秒読みが【0】を報告。


離れているので敵の星のどの部分に衝突したかは目に見えない。

だが、直撃は成功したようでAIからの感情のない報告は届く。

その後、最新専用艦がホークを収容と報告が飛び込むが、通信が途絶える。直後に敵軍の後ろの方で大きな光が輝き出し、爆風が襲ってきた。その爆風で敵軍の残りも方向を見失うかのように自軍に激突したりで誘爆。ソフィの艦も爆風で飛ばされ、外壁に被害が生じ、艦内に警報が響き渡った。AIによる保護機能発動で艦の体勢も修正されながら、操縦席の空間も緊急壁で封鎖され、他の艦隊との接触もなく、第2防衛ラインを超えての生還に。


気が付くと目の前にいたはずの敵軍は全て破壊された状況。

被害状況が画面に表示されていくが、少々故障が生じているようだ。

AIの声もブレているように聞こえるが、他の部隊は無事のよう。

前方に向けられた照準内ではまだ光り輝く光景があった。


さすがに全長5000mもあるものが超光速で直撃すれば星のひとつくらい吹っ飛ばせると証明も出来るが、そんな状況の中から生きて帰って来れるのは不可能と思っていたソフィは、無表情で眺めていたが悲しみを耐えることは出来ず、涙を流す。


しかし、AIのアイちゃんが同士を受信と報告。

直後にホーク皇帝様生還と付け加えた。

信じられないと思いつつも、返答を続けるソフィ。


目の前の光景である光の輝きが収まっていく中から、ひとつの黒い点がレーダーに捉えられる。敵かと一瞬思うが攻撃もなく、半分ほどが崩壊してるがホーク専用艦であるようだ。涙顔だが笑顔になり、出迎えるソフィ。


音声交信は出来ないが信号はキャッチしているのでAI同士で通信出来ていた。推進部分にも大ダメージがあり速度が出ないようだ。中心部分に操縦席があるので守られているが、すぐ近くまで破壊されていた。防衛ラインを超えて、シル星が見える位置まで来るとコロニーごと移動させて停泊し修繕しながらホーク銀河に向かうことになった。


ソフィの艦も停泊し、すぐに走り出してホークのもとへ向かい無事を確かめる。いつものように片膝を着き、生還を待ちわびていたことを伝える。

「おぉ、無事だったか。ちょっと派手過ぎたか?どうせなら全部ってな」

まるでサプライズな花火を上げたかのような仕草をするホークだった。

その周りには直属の特殊部隊員も駆け付けていた。


すぐに噂になったのは【有り得ない】である。

あの爆発から生還する皇帝の強さは計り知れないと。

以前にも大爆発の中、ホークに救われたソフィは信じるのである。

しかし専用艦の破壊度からしてギリギリだったとは言えず奇跡である。


爆発時の敵の地上兵器の傾きで発射された際に攻撃を受け、その後の爆発で推進装置付近も吹き飛んだようだが、辛うじて他のコアからの供給で推進出来たと。コアを1つにせず、内部で分散していたのが良かった。これは技術開発部に指令していたホークが当たりというわけである。ひとつのコアで推進部を動かしていたら戻ってこれなかったはず。兵器を動かすコアだったが、AIのアイちゃんに言ってシステムの変更をさせ、兵器から出される威力を抑えて推進力に当てたのもホークの考え。AIのアイちゃんのほうが画面上で頭を下げていたほど。


ホーク星に戻る前に移動中のコロニーに来たのはシル星のサマンサ女王。救ってくれたお礼をしたいとのことで、全面協力しつつ改めて配下にと。如何にも戦艦という成りのシル星作の戦艦であるが、ホーク星の外壁付き戦艦も気に入ってるようだ。コアも使えば推進力も上がり、燃料の心配もないのだ。着々と改造が施されているシル星の戦艦たちである。


ホーク銀河に戻ると、何も知らない住民は平和に暮らしている。第2惑星に来ている避難民の住居も完成していて、今までいた場と同じような作りを再現したとガーネット王から報告を受けた。第3惑星での戦闘も収まって、防衛ラインな高い塀も作ったようで、安全地区の確保も出来てるとバークレイ王から報告を受けた。


専用艦を2隻も破壊した皇帝ホーク。

本人は自粛するかと思えど、逆に頑張ってしまうのは技術開発部のアンバー。アイちゃんからの改良点も含めて、2重構造な案も持ち出して来た。システムも即時変更可能な権限をアイちゃん自身に与え、自動操縦の範囲拡大にも取れる。とりあえず設計は任せてみたホークである。


専用艦が出来るまではソフィの艦に乗ることに。

ソフィは物凄く嬉しいが、表面上は表情も変えずに「はっ、了解です」の一言で済ます。ホーク星にある本部内でも、ホークには執事やメイドなどが付いているが、ソフィはホークの世話を妬きたがるようになっていた。自身のほうにも補佐官が付いているが、ホークの皇帝専用室にマリアンヌを入れさせない時もある。


猫3匹とも戯れる姿は誰も想像出来ないであろう。

普段は厳しいS系の女上官と見られているのだから。

そんなソフィであるが、ホークの前では従順であるのだ。

過去も一緒に戦地で戦い抜いてきたが、何度も助けられた命の恩人でもある。仲間であった者が上位士官になってるのもホークのおかげ。逆にソフィの超長距離射撃の腕に救われてもいるホーク。頼れる存在とお互いに思っているようだ。


数ヶ月が経ち、元リンド星付近の偵察も光景のみになっていた。星の残骸があるだけだったが、鉱石の原料としてリサイクルにもしていた。もう、最初から何もなかったかのように敵軍の残骸も回収されていく。残った星の中心部分も見つけているが、大気ごと粉砕してるので余程の生命力がある生物でも生き残れまい。ひとつの種族を全滅してしまったが、この銀河内にはまだ星もあり、生息してるのもいるであろうが攻撃対象にはならないほど大人しいようだ。


問題があるとすれば地球側であった。

未だに人種間での争いが各地で起こっている。

ホーク陣営にも攻撃があるが、車で走行中に窓に虫が当たる程度の攻撃で何の被害も出ていない。強力な爆発物を持ってきてたようだが拠点を囲むシールドの外で爆発するだけだ。爆竹程度しか威力はないのと同程度。しかもそのシールドは内部までにもう1つ張り巡らされているので問題にもならず、子供の悪戯ほどに気にもしていない。


極悪人の殆どを上空のコロニーへ移動させたりしているが、次から次へと生まれるものである。それは善人でも同じことが見えるものだ。意志を継ぐ、代わりになる、アイツがダメなら俺がと言ったものだ。戦闘能力だけで強き者とは言えない。自分の意思を強制してもならないのだ。

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