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皇帝への謁見も望んだが、ソフィは伝えるのみで別部屋にサマンサ達を移動させた。シルビアも一緒であるが、獣人族への煽り行為で誘発させた戦闘のことも正直に話し、額に手を当てて悩む姿勢のままになっていたサマンサ。
生きてて良かった感情が多かったが、その場で教育もしていくようだ。
「そうか。・・・乗せられた感があるようだが、思い上がりがあったのを自覚してるようだし、こちらの寛大な処遇もあったのだ。まぁ、確かに部下には血の気の多い者、変な策略家も居る。だがな、最高指揮官は流されてはならぬ」
会話は続くが、少々離れた場で足を組んで茶を啜るソフィも居る。
強気だったシルビアが惨敗を経験し、現実を見れるようになっていたことも喜ぶサマンサ。ここまでの間にキツイ尋問もあったと思うが、生きているほうが大事だった。
話しも大体終わった頃にソフィが立ち上がり、サマンサの近くに座る。
シル星の現況などを聞き、本来の交渉に入っていくのであった。
未だ、燃料補給が必要なエンジン式なシル星製造の艦隊。
推進技術の提供を持って、乗って来た艦の改造を受けることになったサマンサの主力艦。その為にコロニーで固定させたようなもの。
この時にサマンサの口から出たのは、転送の凄さだったようだ。
ホーク星、いや、ホーク銀河内では当たり前に使っていたので驚かれるほうが驚いてしまったが、技術の違いをまざまざと知ったソフィでもある。
バリア技術はあるが、ホーク側からしたら障子を破くようなもの。
だが、早々に技術の提供を次から次へとはしない。
BHの件も伏せつつ、普通にある方の話から入り、シル星側では近寄らないようにしてるだけであったので、推進技術の提供により例え飲み込まれそうになっても抜け出せるというのが驚異的と思ったようだ。
地球の技術の少々先を行ってるくらいの技術力らしいシル星。
ホーク銀河との中間地点に中継点を作ってはどうかという話しになると、母星の女王に話しを通さねばならないとなったが、サマンサもシルビアも「あの人は頑固」という言葉が重なり、思わず顔を見合わせ笑顔になった。
他を知らないので宇宙に出させたが、本人は王宮を出ることはないというのも話す2人。その知らなすぎの代表で母星での戦闘大会で優勝し続けたのがシルビアだったようだ。サマンサが出場したときはシルビアが準優勝だったようだが、その頃の勝気が思い上がりになっていたようだ。
頑固な女王のサーシャ・シールドであるが、サマンサが真実解明で出撃した頃は上には上が居るというのを知った感じだったようだ。母星内で最高位に着いていても、他では通用しないのである。
通信技術も下なので繋がるとは思って居なかったサマンサは、母星に報告を入れることになり、その頑固な女王に協力を決して惜しまずに全て出さないと星ごと消されると報告を入れた。娘から真実を聞かされ脅されるとは思っても居なかった女王は、後の返答でホーク星の傘下になることの了承と【全て仰せのままに】の簡素極まる答えだった。
BH内調査にて地球なしの報告があり、太陽系すら存在しない異界の宇宙とされた。シル星らしき惑星はあるが、破壊された跡であった。太陽のような惑星もあるが燃え沸る炎には程遠い灯火程度になっていた。
生存者が言うことを纏めていき、放射角度を計算して発射位置を特定していくホーク陣。その位置に敵陣母星らしき惑星はあれど、位置確認のみでBHを通り戻る3隻。
戻った3隻からの情報を元に、こちらでの位置に照らし合わせて敵陣母星のリンド星を探す。星図上での捜索となるが、まだ敵になってる訳ではないので暫くの様子見となる。
一方の地球では内乱が所々で激化し、いつ世界大戦が勃発してもおかしくない状況になっていたが、大国が主導になっているのは変わりない。各国の首脳が集まり話し合う場においても主張ばかりで、他国の話しを聞こうともしていない。
全くの別の星雲、別銀河からの来訪であるホーク陣は、意見具申が出来る立場ではないので見てるしかない。完全防御なバリア内で放送を観ている感じだ。
そこへ、事務局長なる者が第三者的な立場のホーク陣に意見を求めてきた。
それぞれの主張は理解出来るが、全てを望むのは不可能であり、譲歩を取り入れてほしいと伝える。しかも大国が支配したいという状況は打破すべしとも。
出来る国が出来ない国を助けるのが望ましいのだ。
聞かないからといってすぐに軍事力を持ち出すのは、脅しであって恐喝にもなる。平等に話し合いが出来るよう、第1歩を実行しますとホーク陣が行ったのは核の完全廃絶であった。地球の感覚では造ったはいいが排除が難しくなっていた。
今度はその廃絶案において議論が巻き起こるが、いちいち待ってられないホークは報告を受けた直後に艦隊に命じ、地球上にある核兵器を宇宙空間に転送し、バリアで囲んで一挙に爆破させて廃絶完了させた。
ポカーンと見ていただけの各国首脳陣は驚きの表情から抜け出せずにいたが、驚異がなくなったと思い今度は小国が主張を始めていく。
軍事基地でもスッと核ミサイルが消えたので、慌てふためいていた。
信じていない大国はジュラルミンケースを開けてスイッチを押そうとするが、小国の首脳はドーンと構えて『お好きにどうぞ』という姿勢でいた。
案の定、核ミサイルは無いのでいくらスイッチを押そうが命令を伝えようが、基地にある発射口が開くだけで何も飛び出しはしない。
これはICBMに限らずLCBMも消滅していたので大陸間弾道ミサイルは地球上から消えたのである。
よって、近くまで行って発射なトマホーク級もなく、電子機器を使用した武器にも制限を掛け、海上では航行不能に陥る艦が多数で無線で救助要請が一気に膨れ上がった。電子機器に頼った軍事力が昔に戻ったようなもの。陸上でも同じことが起こり、戦闘機も発進出来ない。
技術力の違いもあって電子機器が使用不可になったのは軍事系のみであり、街中は普通に電気が使えていた。電子系を使わない銃器などは使えてしまうが、見えない離れた場からのロケットなどは使えないに等しい。一昔前に戻った戦争なら出来るが、人命尊重となるとどこの国も先陣は切れないのだ。
スイッチやボタンひとつでミサイルなどを発射していた者達がナイフなどを片手に敵陣に乗り込むのは難しい。鍛え抜かれた軍人であっても民間人もいる場では戦闘行為は避けたいようだ。
どうにか、首脳陣の会議場は収まっているが現場は違う。
銃弾が飛び交う中での実況中継も行われているが、首脳陣は顔を伏せてしまう。あまりにも悲惨な光景を見せられていくが、始めた原因はあなた達ですと画面下に文字列を流していた。
すぐに小国のほうから戦闘を止めて欲しいと要求が出るが、大国は損得を考えてしまうようで未だに軍事力行使を目論んでいた。
答えも出ずに各国それぞれが検討していたが、要求した小国の戦闘区域にホーク陣のアンドロイドと麻酔放射機を積む車両も下ろされ、バリア形成器も下ろされて一気に対立は沈静化していく。麻酔で眠らされた者達を運ぶのはアンドロイド達である。
艦隊も近くに行って艦内で怪我人の処置も行い、安全地区に下ろしていく。
その代わり、その地元の病院などは大忙しになるのだ。
この要求や処置が徐々に広がり、大国も同意するしかなかった。
バリア形成が大気圏に届くほどの高さまで張らされた国もあって、旅客機は国内線のみになる。通信機器は使用できるので問題はないが、バリア外に出る際には厳しくなった検問を通らざるを得ないようにした。融通の利かないアンドロイドによる検問なので不法通過は皆無になるが、一見人間なので文句は言われるが気にもなっていない。
遠方射撃で狙われて打たれようと、バリアは二重防壁にしてありアンドロイドの察知機能も抜群なので、放たれた弾が到達することもなく握り潰され破壊される。並んだ旅行目的の者への無差別攻撃であっても武器のサーチで先に殲滅する、高度な技術力の勝利であった。
地球は何とか平和への道に立ったようだが、ホーク銀河では敵襲に備えた準備が進む。
時の流れが違う地球とホーク銀河。
一見は平和に見えていたが、冷戦当時の状況が復活したかのように密かな情報戦が繰り広げられ、その情報習得の狙いはホーク陣の技術に関するものであった。一応は地球側に合わせ、特許申請にて提供技術を使用させているが全てではないので、各国の表向きは良くとも裏では軍事利用を目論む。
それでも、おかげでホーク陣営は地球側で利用可能な金銭を儲けさせてもらっていたので、いきなりの億万長者以上の収入を得てトップに躍り出ていた。
こうなっても、皇帝であるホークの許可を得ないと高額な物は得られない。
そこで、上限を決めて責任者をアインとマリーに委ね、地球でのことは任せたホーク。同時にホーク星ではソフィを女帝、女王にしてホーク自身は皇帝でありながら一歩引くことになったが、階級でのトップに変わりはない。
約一ヶ月後。
急にサーチに引っ掛かる大群が現れ、シル星のほうに向かっていた。
改造したホーク陣の巨大艦から複数の艦を出し迎え撃つ。
様子見をする間も与えぬほどで、敵軍からの発砲で幕を開けてしまったようだが、拍子抜けするほどのホーク陣の圧勝で戦闘は終わった。
残骸から敵軍の詳細を調べたホーク陣。
やはりというべきか、リンド星と思われる場の物のようだ。
だが、どれもが無人機や無人艦であり、偵察擬いの調子に乗った威嚇射撃からの発砲だったようだ。
こちらやシル星に被害は少ないが、シル星の軍事力でも対抗出来るほどの戦力だったとは言い切れない大群。先に同盟、配下を結んで居なければ甚大な被害が出ていたであろう。
丁度、改造後に出発したサマンサ・シールドの艦隊が間に合ったのが良かった。
ホーク陣からも追加で艦隊を向かわせ、防御を強靭にしていく。
サーチ範囲を広めていくと、その敵軍の本拠地であるリンド星の周辺には艦隊が集結していた。三角錐を横にした形状の艦が多く、大きさも様々だった。
何の警告もなく発砲してくる輩なので、こちらも問答無用で対処するしかない。
その一方的な攻撃に対応と思っていたが、狙われていたのはシル星だけではなかった。ホーク銀河も狙われているようで、敵軍は植民地化を狙っていると見なした。
数で襲う虫のような攻撃を仕掛けるようだが、迎え撃つホーク陣は強力な武器が多数あるので、広範囲に焦点を定めているが全てを撃つことは出来ない。撃ち漏らした敵艦は第2陣が請け負う。地上までは届かず宇宙空間のみでの戦闘に持ち込むのが狙いのホーク陣。
第2波がいつ押し寄せてくるのかまでが様子見となっているが、敵軍に動きはなく焦らし攻撃を受けているようなもの。その間に、コロニーごと移動させてシル星の艦体の改造を急ピッチで行っていくホーク陣。
そんな時に察知したかのように獣人族の動きも活発化し、第3惑星に緊張感も走る。だが、艦隊を持たない獣人族は地上戦のみである。全てが荒くれではないので沈静化で送り込んだ部隊に、あのバトル大会優勝者のレジスタンス軍のマーガレットも加わっていた。ホーク陣の特殊部隊に匹敵する強さを持っているので任せがいがある。
大まかに3方向での戦闘になり得る確率が高くなり、戦略も大いに悩む。
獣人族のほうは粗方、地上戦のみなので他の惑星に飛び火することはない。
しかし、敵軍の出方にもよるが、まだ序の口に過ぎないのが最初の戦略であろう。
BHの向こうの状況と似ているが、既に行動が違うので歴史は変わる。
同じと見ること自体が違っているかもしれないのだ。
だが、油断は禁物である。




