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 司令室内の専用席でジッとしながらも、あらゆるシチュエーションを考えているホーク。ソフィやマリアンヌも他に指示しながらデータの解析に手を貸している。

戦略面から解析しているのは、オリガー参謀と本部付けとなっているガーネル大佐である。

今回、現れたBHは他のより小さく、穏やかささえある。

向こう側でも現れたのを観測していてもおかしくはないが、荒廃した世界では誰も居ないのだろうか。


司令室内では、幻影を見せられているのではという意見も出る。

こちらでも、そういった手段を使う場合もあるので、払うわけにはいかない。

だが、小型偵察機の更なる小型版が星に降りられるので幻影でないことは明らかになる。


追加で送った2隻と交代で1隻が帰還してくる。

帰路は楽に戻れるようでパワーも使わずに帰還した艦体。

とりあえず、艦体の検査から入り問題なければ回収した破片の検査に入る。

乗組員であるアンドロイドも検査対象であり、まずは全てを疑えというホークの命令でもあった。ホーク星に下ろさず、艦体修理などに使うコロニーで全面検査が行われる。


破片の検査で、シル星の艦体に似た形状とマークの一部があり、その星の住人でもあるシルビア本人を呼び付ける。

もう、こちらの生活に慣れていたシルビアであるが、一応はシル星の元第2王女。そのシルビアがメイドの格好で司令室内に呼ばれオドオドしていた。

来てはいけない場に居ること自体が処罰になると知っていたからだ。

ただし、呼ばれて連れて来られたのだから問題はない。


以前の強気でSっ気満載な雰囲気はなく、萎縮した下民な風貌になっていた。

マリアンヌが対応して解析データを見せて確認させていく。

顔を傾けたりして見ていくが、画像そのものを回転させれば良かったのだ。

触ってもいけないと思っていたようで、マリアンヌが許可してやっと操作していくほど。

「あ・・あの・・・これはシル星のと似てますが微妙に違います。こんな4重構造な物体は建造出来ません。・・・今の私の知る技術としてですが。・・・ですが、このマークの一部は本部艦隊のに非常に良く似ています」


もしも、あれから技術革新が行われていたら建造可能かも知れぬが、今現在では無駄な質量と思われて却下されるであろう構造のようだ。

だが、マーク自体は象徴であるから、そうは変更されないはずと言うシルビア。


向こう側は未来なのか、別の並行世界が辿り着いた空間なのかは不明であるが、何故にシル星らしきものの艦体の破片が散乱していたかである。

やはり、未来の傾向がありそうで更なる検査が進む。


別の破片にはホーク星での建造跡が見られる事実も発見された。

「こちらです。形状からして艦体の一部ですが・・・ウチの技術です」

「ってことは何か?シル星と戦闘したってことか?それとも別の敵に対して協力でもしたのか?そうでなきゃ、近くに来させまい」

と、ホークも経緯を踏まえて意見を言う。


確かに戦闘となれば星に近付かせるはずもなく、サーチ直後に戦闘に入れば撃破していくはずの現在。他の艦隊も居るはずだし、コロニーにも戦闘砲台が備わる。

それが、その艦隊は疎かコロニーすらなく、惑星もいくつかない状況で説明に至らないのが、向こうの世界。


そんな状況下で新たな発見の報告が届く。

向こうの星に降り立った偵察機から降りたアンドロイドが、地下への入口を発見したようだ。こちらのホーク星でも地下空間は存在するので、期待が膨らんだ。


別の区域を調査していた偵察機も、似た構造の地下空間への入口らしき場を発見していたが、年月が経っているのか固まった土石などで覆われている。

下手に開けて地下空間の維持が出来なくなれば、それこそ終わりである。

星の表面上は何もないくらい破壊されたような平面に見えるのだ。


サーチ機能を重点的にしても中までは見えない。

このホーク星でも最終防御扉である為、あらゆる攻撃に対して防御出来るよう設計されているので厚さもkm単位に届くほどである。


ここで、ふと気付いたのはホーク。

この防護壁は内部まで4重構造。

厚さは違えど、シル星らしきものの破片の構造に似ていると気付く。

やはり、協力関係にあったのではないかと推測したホークは、破片の構造と防護壁の構造を比べるよう命じた。

命じられたソフィは、一瞬躊躇いもあったが、ホークが言うのだからと敬礼後に即時実行に移す。その躊躇いは、シル星とはまだ敵対しているようなものだったからだ。


シルビアにはまだ敵視する眼差しを向けるソフィである為、シルビア本人は肩を窄めて座った席でジッとしていた。その本人を連れて来た特殊部隊員2人が付き添っているので恐怖感は計り知れないであろう。

ホークが勝手に名付けた通称ラ行の隊員は、ソフィの一声で何処へでも行き、何でも行うのだから。


検査結果が出て、多少の違いはあれど構造上は同類となったようだ。

この結果を踏まえても協力関係になっていたと見られ、何らかの原因があったはずと考えるようになる。


一方の向こうの第2惑星のような星に、偵察に出ていた機からも似たデータが送られてきた。こちらの第2惑星にも地下空間になるよう巨大なものを建造中であった。


この第2っぽい星にも表面上は熱源もなく、荒廃しきった死の星に見えていた。

しかし、熱源ではなく電波を送受信するようなアンテナが、破壊されたあとから見つかったのだ。破壊されているので受信も送信も出来ないが、誰かがいた証拠にはなる。


その報告を受けたホークは、偵察機にもバリア生成機能があるのだから、そのバリアを一定方向に向けて強く出せないかと聞く。

「はっ?バリアをですか?・・・形状を覆うので変化させれば可能かと思われます。問題はその形状を認識させる為には物体が必要になりま」

「ヨシッ!解った。おい、そこの。防御扉の形状データを持って来てくれ」

アンバー主任の答えを最後まで聞くこともなく独自案を実行させるべく、詳細に入っていくホークとその他大勢。

「あのぉ~・・・まさかと思いますがあの入口を開けさせる為ですか?」

察知したアンバーに握り拳に親指を立てて返答するホークであった。


バリアの性能をフルに活かし、地下空間内部の圧力を逃がさぬようにして侵入を試みるようだ。

その為には1機では不可能なので複数が固まるようになり、機体自体の防護バリアは、ほぼなくなると言って良いので、艦からの保護に頼るしかない。


土石などはレーザーなどで除去し、第1の防護扉が出現する。

内側の第2まで数百メールあるが、疲れ知らずのアンドロイドや機体なら無休でこなす。それが第4まで続くのだ。


原因究明に急いでいる時に、また問題が発生してしまう。

今度は地球からの救命信号で、環境改善で放った砲弾は良いとして自然災害と称してテロ行為を拠点が受けているとのこと。勘違い野郎が攻撃に転じたようで、異界のものを災害扱いするのはどこにもでも居る。


だが、拠点だけに限らず、その周辺の者にまで被害が及び、その被害を受けた者が反撃して戦闘状態が続いていると報告された。拠点自体に被害はないのはバリアのおかげであるが、見て見ぬふりも出来ない結果の報告のようだ。


上空には艦隊もいるのでアンドロイド軍団を投入し、事態の収拾に当たらせていく。中村や田村、鈴木などは拠点内に避難させているので怪我はないということだが、軍事力を持って押さえ付けようとするのも、とある国の定番のようだ。


住居や仕事を無くされた住人には、コロニーでの生活も視野に入れさせて避難させていく。ホーク陣営側には、その争いを盾にバリア形成の域を徐々に拡大させていくように指示されていた。


中村達をホーク星に避難させても良いが、拠点内でも十分な保証があるので心配はない。国の代表者達は柵があるので、助けてくれと正直に言えないようで勝手に逃げ隠れているようだ。


ホーク陣のアンドロイド軍団は、地球上の銃弾でやられるほどヤワではないので、武器は持たずに事態の収拾に当たり、拠点を起点として勢力を広げていき、テロ行為の終了も1週間ほどで訪れた。


その頃、ホーク星の本部司令室内では、第2惑星の地下空間への侵入が成功したが、荒れ果てた光景を目にしていた。その中で、生きた者を探す。

まだ町並みは崩れてないようだが、建造物としてだけである。


暫く偵察飛行を続け、内部全体を把握しようとしていた。

とある建造物に生体反応をキャッチし、向かった偵察機。

そこに居たのは年老いた老人であったが、着ている物に見覚えがあるというのはシルビア。

「あっ・・・そっ、その服。・・本部司令官のです。・・・でもその人は違うと思います」

とりあえず救出を行い、他にも居ないか捜索を続けていく。


言葉は翻訳機でどうにか通じるようだが、救えた者は転送ではなく直に運ぶ。

小型化した艦体であっても数百人程度なら運べるので、次々に生存者を回収し、地下空間から脱出していく。

どうやら1箇所に集まっていたようで、他の区域には生体反応はなかった。


帰還させた艦から医療施設に移動させた生存者。

着ていた服も検査に回されるが、異常があるのは古さとカビくらいで有害物質になるようなものは付着していなかった。

服といっても軍服の類で、その画像データは司令室に送られ、シルビアに見させる。

「はっ、はい。これは・・・准将クラスの軍服ですが、何故・・・ぅぅぅ」

自分の星の者ではないと思いつつも悲しみが湧いてしまったシルビア。


先進の医療技術によって生存者の回復も早い。

ものの数日で立って歩けるようになり、食事も普通に食せる。

しかし、周りは全てホーク陣の軍人ばかりなのに感謝の意を持っていた。

話せるようになったので、尋問とまではいかぬが話を聞いていく。


その話の内容はとてつもない事であった。

あの星に居たのはシル星の軍人が殆どで、ホーク艦隊が救助して連れて来てもらったという。協力、同盟関係があって暫くしたあとに、シル星が攻撃を受けてホーク星に助けを求めたという。

だが、敵の強力な攻撃によって同軍共に大敗を期し地下空間に逃げたようだ。

その地下空間にも防護扉が閉まる直前に、砲弾が振って生き物が死滅。

運良く本部に逃げ込んだものだけが生き存えたが、食料の備蓄が底をついていたようだ。


その経緯の根本を知ろうと話を聞くが、歴史で知っただけという。

今の年さえろくに覚えていない老人なので、最近の事しか話せないようだ。

別の者に聞いても歴史上の人物であるかのように話していた。

その者達、全員がホーク陣を神のように扱っていた。


第2惑星っぽい星での成功があったので、第1のほうの侵入も試みていた。

内部は第2のように廃れていて生命反応は皆無だった。

別箇所で見つけた防護扉が凄まじく破壊されていたが、内部からの攻撃によるものに見えた。その始点となった場には大型兵器の残骸。


捜索を終わりにしようかと思った瞬間。

生命反応ではなく、AIの反応をキャッチしたようだ。

同類と判断したAIが残る施設に向かい、取り出し作業に移る。

1機の偵察機に読み込ませて全て回収し、艦に戻り、2隻の艦隊も戻らせる。

BHは戻ることもなく存在しているが、大きくもならず浮遊してるかのよう。


戻った艦と偵察機ごと検査し、偵察機が勝手に飛び立たぬよう部品は取り外した。

持ってきたAIをこちらの音声対応機器に繋ぎ、まずはAI同士で話しを進めたが、とんでもない早口で理解し合ってるようなのかどうかも解らなかった。

「おいおい、繋げる前に解らんか?性能の違いがあるだろ・・・人間とのだけどさ。音声対応って、それが邪魔になってないか?」

と、本質の疑問を投げ突けたホークに、技術陣以外の皆が同意していた。


すぐに音声対応機器は外され、AI同士の会話が続きが始まるが、ものの数秒で終わった。

「フッ。ほらな?処理能力を抑えさせてたんだよ。人間が聞きたいのは答えだけなんだから、単に待ちゃぁ~いいのさ。で、君たち・・・いや、まずはこっちの方からにしよう。作られたのはいつで、今日までどのくらい経った?」

ホークの問いに丁寧に答えるホーク陣側のAI。

当然、ホークも知らない年代からだが、学習機能が進化した年代やバージョンアップの年代などの要点だけを答えていく素晴らしいAIであった。


次に向こうのAIの出番である。初期からの年代が同じであるが、途中から変わった。その途中というのがこの現代を過ぎた辺りだったのだ。

向こうさんのAIが答えてる時に、止めて聴こうとした技術陣を止めたのはホーク。そのまま続けさせて今に至るまでを答えさせていった。

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