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21~

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 まさにその通りであるが、この社長に真実を言って信じてもらえるだろうかという不安はあれど、退職の覚悟も決めていたので話していく。

「ほぉ~、そうだったんだぁ。じゃぁ、君は・・・そのぉ、一国ではなく星1つを掌握して、他の惑星とも友好関係を築いている・・ということだね?素晴らしい」

真面目に聞いてくれて、尚且つ理解しようとする姿勢も見られる社長に対して敬意を評したい鷹士。


この社長にも子供が居るが、その子供の世界観に合わせて話しをする良い父親をしているようだ。

そうなると、合わせてくれただけで信じてはいないのかとも取れるが、現実に起きている異世界住人の存在があるので否定は出来ない。

更なる詳しい情報を求めるのは政府に限らず、この社長もであった。

「えっ?そうなの?本当に?・・・ん~、ウチも親会社から独立して独自の極みに行かねばならんかなぁ。いやぁ、でもウチの製品が向こうでも役立ったなんて物凄い高評価に値するね。まぁ、技術的には古いんだろうけど、温故知新ってことにもなるか。で、その結果はサーチ機能に役立ったと。ふむふむ」


優れた科学技術を持った異世界であるが、抜け落としも存在する。

どちらも人間が考えることなので完璧はなく、成長がいつもあるのだ。


情報がいくら多くても、目の前に出る情報に優先順位を付けて絞り込むのは、一度に消化できないのが人間であるからだ。ただし、ひとつひとつの情報を疎かにしてるわけではなく、参考資料にしてるようなもの。

人工知能が備わるマシンにやらせても1つの結果を生み出す際には似た経緯を持つ。ただ、速度域が違うのと、データとして忘れないので他の場面での活用も出来る。この点、人間では忘れてしまっていて、思い出すのに時間が掛かる場合がある。


アンドロイドやサイボーグの件や、異世界での生活も話していく。

この時代の現世でもロボットやアンドロイドが存在するが、知能的にはまだ異世界の物には遠く及ばない。サイボーグは人間に与えられた補助具のようなものであるが、それは現世版であり、ホーク側では更なる機能強化が行われている。


戦闘員用には腕にナイフやレーザー銃が仕込まれていたり、住民用では細かい作業も可能な指先が変化するのも存在していた。長距離査定も可能な義眼もあり、そういった仕事上に役立つ部位も開発されている。

考えただけで目の前に立体的な物を作れる繊細な作業も可能な腕を装着してる者もいるほど。見た目は普通であるのが評判も良い。

バイオテクノロジーも進化しているので、ナノマシンによりDNAを元に作り出される皮膚組織は本物と区別が付かない。


情報開示を政府関係者にするのではなく民間で世話になってる、自身が在籍してる会社の社長に話していく鷹士であった。


比べることは出来ないが、ひとつの会社を経営する社長は、その中で管理させている大熊鷹士が星一つをも管理してることに敬意を評した。

拠点に招く準備もして、尚且つホーク星にも来れるようにしておくと社長に伝えると、部下である鷹士に深々とお辞儀をして「どうぞ、宜しくお願いします」と添えた。

信じていない人がする行為ではないので、現実として受け止めていくのは鷹士も一緒であった。


疑問符を抱えたままの中村にも伝えようとするが、そこには金髪ショートのクリスティ鈴木と田村も居た。

しかも社長室の真ん前であったから聞き耳を立てていたようだ。

退職は逃れたが、異世界の情報を盗み聞きした、この3人に対して目で訴えていくのは鷹士。

言わずとも解っているよな的な視線が突き刺さると正直に謝る3人。

「でも本当なんですか?見たいです、その世界」

鈴木が口を開いていくが、中村に視線を這わせて役柄交代を示唆する鷹士。

「ん?・・えっ?私ですか?・・・なっ、何を説明すれば良いのか」


では、後はよろしくと言わんばかりに手を肩ほどに上げて歩いていく鷹士。

スーツ姿なので超高速移動してしまうとボロボロになるので、この世界での移動手段を利用し拠点に向かった。


この時に気付いたのが口座内に残る残金であった。

タクシー代は問題がないが、早く新しいシステムと同期をしたいと思っていた。ホーク星にあるシステム上の鷹士の預金はズバ抜けた額であるので、地球側に換算してしまうと銀行が足りないことに。

星1つを収める皇帝であるから当然といえば当然であるが、個人の物であり他の税などの管理は別であるのも当然。


拠点に着くと、まずは身体検査がありID確認等が行われるが、待っている時に拠点内からのサーチ機能に反応していたようで、直ぐ様出迎えが来る。

全く解らずな自衛官を差し置いて片膝着きの礼儀と挨拶が行われていく様を見ているしかなかったないのは自衛官。


このサーチ機能には幹部の生体認証登録のデータも入っており、近くに居れば反応を示すのであった。

細かく言ってしまうと大きなお世話的なGPS機能に似たもので、どこに居ようと居場所が解ってしまうので、下手な場には訪れられない。


まだ拠点の近場までしかサーチ範囲はないが、上空に居る艦隊には反応がいつでもあるので、突如地球に皇帝を示す反応が出た時の慌てようは凄まじかったが確認後に収まる。鷹士の行動の速さを表すかのようだが、銀河間トリップを知っているのはまだ数人ということを知らないのは鷹士本人であるのだ。


自宅のマンションには強いて持っていく物はないと思って寄らずに来たのでスーツ姿のままだが、思い返すと着て来た物が残されていた。

「あっ!いっけねぇ。自宅に置いたままじゃん。戻るか・・・どうすっかな」

そこへマリー中佐が来て挨拶もして、堅苦しい前置きの話しを止めた鷹士。

「ね、悪いんだけど誰かに取って来て貰えるかな。・・・こっちに来る時に着てた俺の服」

と言うと正確な場所が解かれば転送しますという答えに「ん?・・あ~そっか。その手があったか」と開いた片手の掌にもう片方の握った手を降ろす。


しかし、熱源もない服の一着のみの転送は難しいはずと思った鷹士。

拠点内のどこかに部屋を作って、自宅の部屋ごとと思ったがそれも大胆過ぎる。

転送の詳細を詰める者を止めさせた鷹士は、同じ服を作ればいいという結論に至る。

皇帝である鷹士が言うと、実現せねばと思う者がホーク星に限らず拠点内でも全員に値するのであった。

迂闊に発せ無いと思ったのは今更感ありありだが初であった鷹士。


ワープゲートが完成しているので通信も銀河間を超えて出来る。

本部側とも確認が取れ、着衣物はすぐに用意していくとのこと。

「まさか、こっちに持って参上して来るなんてこたぁないよな。向こうに帰れば着替えりゃ済むことだから、そこまでしなくていいから」

言わなければしそうと思っていた鷹士だが、実際にそのつもりでいたのは憎めない。


ホーク星とは気候も少々違うので着ている物に不満はないかと思った鷹士。

「いえ、指定制服なので不満はありません」という予想内の答えが返ってきてしまう。

母星であるホーク星では夏日が殆どなので軍服に限らず半袖タイプが主流。

しかしこの地球の日本には四季があり、冬に半袖で居る者を探すほうが不可能に近い。

よって、すぐに地球滞在用の着衣を用意させることになった。

胸元パックリ気味なセクシーシャツとスリット入りミニスカは捨てがたいが、寒さで震える姿を見るのは忍びないのである。


ホーク星に帰り着くと早速、服のデザイン画から意見を求められていく鷹士。

冬がないホーク星なのでどういうのが良いのか解らない者だらけであった。

そんななのにベッドにある布団はフカフカで上質なことに疑問を抱く。

仕方なく地球側にある冬服を調べるがいいと言って、その場は収まる。


着替えたあとに皇帝室で猫と寛ぐと、トーナメントバトルの中継を観ていく。

地区予選と括りながらも男女別にはしていないので、強い女子も居る。

「おっ?この女、スゲェ勝ちっぷりだな。しかもイイ体して・・・ん?居ないよな?」

執事やメイド、特にソフィが居ないことを確認して観ていく鷹士。

もし居たら冷たい視線が注がれるのを想像してしまったようだ。


単に勝負をさせてる訳ではなく、賞金が出るのも参加者には嬉しいようだ。

しかもその賞金が皇帝のポケットマネーからであることが大きなことのよう。

開催を催した本人であるから、住民からの税で払うわけにはいかない。

地球で言う高額宝くじも催しているが、購入で支払われた額に少々足す程度で収まるので、これも鷹士の立案。


住民にギャンブル性を産ませるのは決して良いとは言えぬが、楽しみを与えていく皇帝の評価は鰻のぼりであった。

このトーナメントバトル内でも、どの選手が勝つかの賭けも行われている。

その賭けられた金額の10%に値する額は徴収扱いになるが、残った額は選手のものになる。

不正に賭け金操作する者は厳重に罰せられるので、登録者のみが認可。

現金がその場で動くことは少ないが、全ての取引がホーク陣営のもとでなされているのである。


他のギャンブル的なものはどの地区でも存在するが、国家公認よりも強い権力側の公認なので罰則は厳しいが不正は減少傾向が続いていた。

地区ごとに居る管理責任者も法が変わってから楽も出来るようだが、不正を見逃がすと自分に責任が問答無用で来るので引き締めは重要である。


熱が入った仕草で中継に見入る鷹士に報告が入る。

もう、新しい軍装服が出来たらしい。

更に地球用の冬服の試作も出来たようだ。

そのデータを別モニターに映し見てみると、冬服というより猛吹雪の中の行進をするかのような重装備になっていた。すぐに検討のし直しを要求し、動きに支障がなく体温は奪われないようにすべしと。


いくら科学が発展していても、不明な面に当たると笑えるほどの失敗を真面目にしてしまうようだ。宇宙空間は太陽熱が無ければ寒いどころではないが、誰も素肌で出る気は起きない。地上に居る時は冬のない星なので寒さの感覚が解らないのであった。他の技術面で冷却仕様なものもあれど、そこからの応用に気が回らずにもいる。


そしてまた中継に見入ると、報告を知らせるランプが光る。

「またかよ!じっくり見させてくれんのかぃ」と、文句を言いつつ報告を別モニターで見ていく。

あの獣人族の襲来から調査をしていたことの報告のようで、どうやら本当に嗾けた者がいるという報告であった。

捕まえた獣人から話しを聞いていく際に言ったようだが、科学技術は与えられたもので自分らが作ったものではないと。今回の侵略は獣人族の餌と楽しみがある場の情報で、成功すれば褒美にその星をやると言われたそうだ。


その獣人族をけし掛けた者は別の銀河から到来した者らしい。

星をやると言いながら、動物扱いしてる奴らは手懐けられるとでも思っていたのだろうか。弱肉強食を地で行く奴らに共存はなく、強い者だけが生き残る世界に居るのだ。その獣人族を嗾けることが出来たのは科学力であろう。


意外と手強い奴らなのかと思いを馳せているのは鷹士。

向こうにも様子見として獣人族を駒として偵察をさせている者が居るのか。

皇帝である鷹士だけでなく、参謀長官であるオリガー中将も同意見を持っていた。その報告を受けていたソフィらも同じく警戒を強めていく。


様々なことが同時に舞い込んでくるが、地球に居た時の仕事が役に立っている鷹士。人それぞれ、十人十色なので様々な出来事があれば様々な考え方や行動が出る。それを如何にして望むべき方向に導くかが管理職である。


もう、会社レベルではないが、やることは変わらない。

優先順位を付けつつ適材適所になるよう人材を配し、必要な物も揃える。

もしかすると近い内に銀河間戦争に突入してしまう恐れも抱くことになる。

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