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鍵の無い出られない部屋
夜明けからどれだけ時間が経ったことだろう。すっかり日は高くなり、差し込んだ光ですっかり部屋は暑くなっていた。
お腹が空いた。朝食、いや昼食を作る気力すらない私は、砂の味がする栄養補助食品を水で流し込んだ。
今日はどうやって過ごそう。やることなんて無いのに、今日という日は残酷に、正確に、一秒一秒時を刻む。長ったらしくて、嫌みったらしい。早く夜になってほしい物だ。
とは言っても、夜になったから何かあるというわけではない。昼寝よりもすんなりと眠りに入れるだけ。意識を手放せてしまうだけだ。
死んでしまいたいという感情すらもう無い。そんなもの生きているという実感すらわかないほどの無気力にとうに押し流された。
扉を見てふと思う。この部屋を出てしまえば、どこかで野垂れ死ぬことができるのだろうと。だけれど、私にそんなことは出来ない。能動的な死が怖い。結局のところ、臆病。
自由という名の檻の中で、寿命という刑期を終わらせるために時間をドブに捨てている。懲役が終わる、遠いその日を夢見ながら。