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あたまがからっぽ  作者: 月夜薊
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涙壺

 死んだ者に対してあまりに涙をこぼすと、その者が死後の世界に持っていく涙の壺が重くなってしまうらしい。だから、あまりにも悲しみを引きずってはいけない。無駄にぼろぼろと涙をこぼしちゃいけないよ。遠い昔に、おばあちゃんから聞いた話だ。

 でも泣くことすら許されないなら僕は彼女に何をしてやればいいんだろう。おばあちゃんはそこまで教えてくれる前に早々に逝ってしまった。

 彼女は僕の恩人だ。楽しみを教え、成すことを褒め、悲しんだ時に涙を拭ってくれた。だけれどそれを返す前に彼女は川の向こう岸に行ってしまったんだ。

あれこれ考えるうち、長いお経も終わり彼女は骨になって親族にひきとられた。僕は1人、何も出来ずにいる。

 外ではぱらぱらと雨が降り始める。それを見ておもむろに玄関を出た僕を止める人はいなかった。

 きっと外で泣けば、雨に紛れてくれるから。涙の壺も重くはならないでしょ?

 僕の弱さを許してください。きっといつか強くなる。

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