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12話 『昔話1』
狼side
俺の名前はラプス。
この名前は、今はもういない親に貰った。
一匹狼だ。
親は俺が『殺した』。
実際には、死なせてしまったのだが、俺のせいだ。
俺にはこの罪を償うことはできない。
もし、償えたとしても親は帰ってこない。
この事実を受け止めることしかできないのだ。
だが、親の願いを『叶えたい』という思いは残っている。
親は死ぬ間際に、ある一つの願いを俺にした。
『約束』といってもいい。
その約束とは、三匹の子豚を喰らうこと。
三匹の子豚と示されて分からない訳が無い。
奴らは、『悪』だ。
世間では俺が『悪』だと騒がれてるが、実際には俺は『善』だ。
親を楽にするために、盗みを働いた。
人も殺した。
弟までをも殺した。
しかし、するしかなかったのだ。
これは、俺の話。