8-
黄金の国がこつ然と消えてから数年、世界の模範がなくなり、強力な技術力だけが残り、それを使用できるのは限られた人種のみとなった。絶対的な力を持ち、様々な国や人の治安や問題を解決していた柱がなくなり、世界は混乱した。
そしてこつ然と消えた中、遺産が世界中に散らばっていった。散らばっていった遺産の周囲には、その文化形態に近い建築物になり「遺跡」として存在するようになった。「遺跡」は様々なものがあるが共通して、黄金の民かそれに準じる人種、もしくは血族ではない解除されない仕組みになっていた。
恵那は私が来た場所が姉の手がかりになる場所かもしれないと思っていること、何よりも服のデザインが故郷の服のデザインと共通性があるとの事らしい。なので私がどこから来たのかわかれば、姉に会える可能性があるかもしれないから、倒れているところをここまで運んで助けたとのことだった。何か手掛かりになればと思っていたようだけど、あてが外れたみたいで残念そうだ。でも一緒に行動するうちに飛ばされる前のことを思い出したら教えて欲しいとのことだった。
乃陰は単純に私の装備が気になっており、どこで入手したのかを知りたいという好奇心など含めて一緒に来て欲しく、またどのくらいの耐久性能があるのか、どうやって脱着するのかなど知りたいらしい。なんとなくだけど、私が気を失った後で身ぐるみ剥がそうとか考えていたんじゃないかって思えた。
乃陰「さすがに気を失ってる女の身ぐるみ剥ぐような鬼畜じゃねえよ」
どうやらお見通しだった。
眠兎「あはは~ごめんごめん、エッチなことされるのかと思ってしまって」
感が鋭かった、もしかしたら盲目だからそういうのを敏感に感じ取れるのかな?
眠兎「ところで気になったんだけど、私が倒れていた場所ってどんなところだったの?」
まずは自分の居た場所がどういうところなのか、それすらもわかっていなかった。今、自分がどんな世界にいるのかさえわかっていなかった。ふと、自分が今まで居た場所のことを思い出そうとすると…
眠兎「あんな危ない人がいる場所なんて、私が居た場所には…いなかった…?あれ…」
段々、ぼんやりとだけど自分が居た場所のことを思い出していた。
眠兎「そうよ、私は都会にいたし、今どき田舎でもあんな人たちはいなかった」
徐々に思い出していった、大学の進学も決まり、高校の卒業式を控えていた。卒業式までの間、友達と卒業パーティ、卒業旅行や部活の追い出し卒業会がある。私はなにかをここで見つけなくちゃいけなくて、来た。でもその何かが思い出せない、元の世界に戻るのにその何かを見つけないといけなかった。
なぜこの世界に来たのか、それは思い出せなかった。どうやって来たかさえも思い出せなかった。そしてどうやって帰るのかさえもわからないままだった。帰り方もわからないのに、なんとかなるだろうと思っていた。危険な目に合ったばかりだというのに、なぜかそういう気持ちになっていた。
眠兎「そうだ何かを探しに来たんだった…でもそれが何かは思い出せない…」
霧がかかったようにそれが思い出せなかった。思い出そうとするとひどく頭が痛くなってきた。
恵那「大丈夫か?」
眠兎「う、うん…ちょっと思い出そうとすると頭が痛くなってきて」
乃陰「少し休んだ方がいいな、これからのこともあるし、休んだあとに話そう」
次第とズキズキと頭が痛み出し、頭を抑える。恵那と乃陰は、立ち上がり部屋をあとにしようとしていた。
恵那「とりあえず横になりなよ、僕たちは食料を買ってくるよ」
乃陰「その時に体調が治っていれば、続きを話そう」
眠兎「ご、ごめん」
恵那「あ、そうだ…僕たち出かけるから部屋の鍵は閉めておいた方がいいよ」
眠兎「あ、そうだね。ありがとう」
私は二人が部屋から出て行くのを見送った後に、部屋に鍵をしベッドに入った。私はそのまま気を失った。