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乃陰「世界の敵が現れたのは、黄金の民が消えてすぐだったー」
その日は大きな音、重低音が大気を伝わって全土に鳴った。異変は各国に不安を招き、黄金の民の本国との連絡が取れなくなった。大使として各国に散らばっていた黄金の民も本国と連絡がとれず困惑していた。本国から遠くに派遣されてる黄金の民の大使たちは本国へ戻り、原因を何が起きているのか確かめに向かう事になった。
だが、黄金の民が本国の状態を調べる前に世界は紛争へと発展していった。大国の隷属国がクーデターを起こしたのだった。大国は民は多い、しかし、それは隷属国の労働力によって支えられていた。先の黄金の民との戦争により兵力を減らされ、国内は辛うじて保っていたようなものだった。
その引き金となったは、異常を確かめるべく調査に送った大国だった。大国が調査に送り、そこに何も無かったことを発表した後に、隷属国の1つが「我々こそが黄金の民だ」と宣言したのだった。しかし、その宣言は大国内のみにされ、各国には漏れないように情報操作された。その後、異常な戦力を持ってその隷属国は、他国に対して侵略と略奪行為をしていった。
大国は疑問に持ち、鎮圧することを決定させたが全て返り討ちにあってしまった。それは彼らが黄金の民の武器を持っている事を危惧してることが各国に伝わってしまわないように大国はこの現状を隠蔽し、自国だけで解決しようとした。しかし、ままならず隷属国は力をつけていき、大国が情報を隠蔽しきれなくなった時にはすでに圧倒的な脅威になっていた。
各国は大国への不信感がいっそうと高まり、緊張状態になっていった。また隷属国の近い場所にいる黄金の民が滞在してる場所など襲撃され、滞在している場所など襲撃されていた。その襲撃は黄金の民だけではなく、そこに住む人たちも含めて見境なく殺害された。
最後まで守るべく戦った黄金の民たちはその戦いで殺された。生き残った黄金の民は年端もいかない子供や比較的離れた地域にいた人たちだけだった。
眠兎「もしかして、恵那はその時の・・・?」
恵那は頷き、目を伏せていた。
恵那「僕の家は、大国の近く国にある国境線に近い場所に住んでいたんだ。武家ということもあって、防衛面でその国の人たちへサポートという形で滞在してたんだ」
恵那は、拳を強く握り、うっすらと目を開き強い歯を食いしばっていた。ひどく胸が苦しくなった、想像できないような辛い目にあったんだろうと感じた。
生き別れになった姉を探してると以前言っていたがその時に…
恵那「前にも話したと思うけれど、襲撃を受けて親は街の人たちを守るために戦って死んだんだ―」
恵那は当時のことを語りだしていった。握られた拳と緩め、両手を組み合あって、一つ一つ思い出すように言葉を紡いだ。その手は力がこもり、思いを耐えているように感じた。
武家といっても数ある中の一つで、特殊な術を使う家だった。大国が他の国への対応が今後変わらない事もあるため、諸外国はそれに対して有事の際に戦えるようなりたかった。大国の隣国は黄金の民に自国の事を守れるようになりたいという要請もあり、白羽の矢が立った。いくつかの条件の元、彼らをサポートすることになり自衛手段を教える事になった。
本国と急に連絡が取れなくなり、黄金の民たちはこれを期に攻めてくる国もあると判断し、国境線に近くにいる他の黄金の民も本国へ行かずその場に待機していた。そんな中、急に連絡がとれなくなっていって、いよいよ危険が迫ってきていると感じ、街の人たちやその国の上に今後の対応について話した。
その夜に襲撃が突然起こり、街は火の海になった。日々、訓練されていた住民は自衛武器や緊急用の荷物を持ち避難をするが無残に殺されていった。当時、恵那はまだ幼かったため戦えず、姉と共に街の住人と一緒に逃げたとのことだった。その時、母親も一緒だったが自分たちや街の住人を逃がす為に殺されたとのことだった。父親の方も最後まで住人を守るため戦って、戦死した。
命からがら、生き延びた街の住民は他の街へ移動して伝えようとしたが途中で追手にかかり、逃げる中で姉と生き別れてしまった。恵那は道中でモンスターに襲われながらも、戦い生き延びて助かったという。
それから恵那は姉が他の街で生きていると情報を知るが、状況から向かうのは危険ということでその街で過ごし、国から軍隊が派遣されるまでおとなしくしていた。
派遣される直前に戦火が更に広がり、逃げる事になるが軍隊が到着しなんとか街は破壊されずに済んだ。しかし、となり街は被害を受け、街の住民も避難や移動する者もいて姉はその事で行方がわからなくなったのだった。
恵那はそれから国に保護されるが、同じように孤児になってしまった人がいる施設に滞在することになった。国は他国にいる黄金の民と連絡ととり、恵那を他の黄金の民と合流させようと助力した。また恵那の姉も捜索もしたとのことだった。
しかし、恵那はそれを断り、今自国が正体不明の敵に襲撃を受けている中で人員をこちらに回すのは黄金の民の武家としてこれ以上の優遇は断ったとのことだった。それから彼は、冒険者ギルドに入り自らの足で探す事になったとのことだった。
恵那「それで冒険者ギルドに入って、他のパーティを組んでる人たちと一緒に行動したりしていく中で乃陰と出会って、二人で行動するようになったんだ。」
乃陰「遺跡でばったり出くわして、お互い敵かと思ったんだったよな。」
恵那「実際、罠が仕掛けられて、解除もされないでその先に乃陰がいたら敵かと思うよ」
まるで自分は悪くないと言っている。
乃陰「だからっていきなり襲う事ないだろ」
なんだって―
恵那「あ、あの時は乃陰が目が見えないって知らなかったから、行動が不審だったんだよ。いや、だってあんなに遺跡周りを手で触っていたらおかしいって思うって」
乃陰はいつでもゴーグルをつけてて不審者間違いないと思うし、そんな不審者が変な手つきでなんかやっていたら攻撃されてもおかしくない。
乃陰「おい、眠兎…おまえ今失礼なこと思ってないか…」
チッ、こいつするどいな
眠兎「え?なに?本当のことじゃないの?」
乃陰の額に青筋が浮き上がり、怒ってる。
乃陰「クソアマァ…」
眠兎「わー汚い言葉使いー、こわー」
私達のやり取りを見て、恵那は呆れてた。
恵那「乃陰も落ち着こう、眠兎も喧嘩売るのやめようよ…」
眠兎「そうね、悪かった。ごめんごめん」
と笑顔で返す。
乃陰「ふ~」
と深い溜息をついた。禿げろ
恵那「えーっとどこまで話したっけ…そうそう乃陰と出会って姉を探しつつ、旅をしてるって感じなんだ。乃陰も似たような境遇でさ、ね?」
乃陰「まあ、そうなんだよ。俺は違う国の国境沿いでな、兄貴と一緒だったんだ。同じように襲撃されて視力を失ったって感じだ、毒ガスでやられたんだよ。」
乃陰から語られた内容もひどいものだった…




