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召喚…いやいやゲーム的に私がこの世界に召喚されたわけであって、私が召喚するとか自分自身で戦ってるんだけど…どういうことなの…
補助とは書かれてるだけで召喚については何も書かれていなかったので、とりあえず五つの防衛、索敵、治癒、強化、拡張の機能を改めて見直す事にした。あのループ時に見直していればよかったと思ったが過ぎたことだ。
まずは一つ一つ見ていく
防衛では、防衛システムと書かれた中には3つの装甲があった。パーティクルアーマー(粒子装甲)、リアクティブアーマー(反応装甲)、アサルトアーマー(強襲装甲)と書かれていた。パーティクルアーマー(粒子装甲)は見えない粒子によって力場を強制的に発生させ、一定以上の攻撃を無効化または減衰させる。リアクティブアーマー(反応装甲)は装甲が衝撃によって炸裂し、攻撃対象者、対象物に相殺もしくはカウンターする装甲。最後のアサルトアーマー(強襲装甲)は、装甲に対して一定上の負荷がかかった時に発動可能になるが、周囲を消失させるために使用時は注意が必要。
他にも隠れた機能があるかなと思ったが、特に見当たらなかった。アサルトアーマー(強襲装甲)が最初にこのゲームにログインした時に使った危ないアレはこれね…
次は、索敵を開いた。マップ関連、レーダー関連、など大項目から小項目にわたってかなりの量があった。レーダー関連の中に音波情報視認言語化項目があった…正直、開いた瞬間に閉じた。膨大な情報量でめまいがした。
私が使っているのは、3Dマップ、自動マッピング、ターゲットを視認化するリングレーダー、マップに敵の位置を表示する機能、うわさ話などを視認化して情報収集する機能…多分もっとうまく使えば他にもいろんな機能があるんだろうと思った。機能の中に、資格情報記憶化といったものがあった。うーん、このあたりはいきなり全機能をONにしたら情報の海に溺れそうだ。
治癒を開き確認をする。状態異常、ウイルス抗体生成、ナノマシン治癒、肉体欠損時における再生について、心肺停止時における蘇生について、回復行動において必要なエネルギーについてなど注意点含めて書かれていた。ゲームの世界と言えど、リアルに作られているため、毒状態は死亡に繋がるし、その毒に対しての抗体も必要になってきたりする。心肺停止時の蘇生という項目が気になったが、心臓マッサージでもするのだろう。
この武具、ナノマシン系の技術も使われているのはなんとなくわかっていた。
次は強化の項目だった。う~んと唸りながら腕を組んでいたら、見ていたら恵那と乃陰が私の様子が気になってるらしい。
一つ一つ読んでたらキツイな…
眠兎「んー、ちょっと武具の機能を見てて…あまりの量に疲れてきて」
乃陰は生物の情報や地図の縮図よりも私の武具の方が重要なのか、こちらに近づいてきた。
乃陰「もしかして、この遺跡が武具を新たに拡張させたのか?」
もしそうなったら、これ以上機能増えても覚えられないというか見るのが面倒だ。ちょっとずつ覚えていこう…と思う。
眠兎「ううん、今ある機能が何か調べていたところ…正直思った以上に多くてね」
乃陰「どんなのがあるんだ?」
乃陰に聞かれて、大まかな機能を説明した。強化や拡張についてもその時に話していったら、二人は驚いていた。恵那もどうやら黄金の民に武具を装備してるが、私が持っているのは明らかに機能が多すぎて軍事用なんじゃないかって思っていた。
実際に話してて、強化は運動能力上昇やそういたものが書かれていると思ったが実際はそれだけではなかった。代謝促進、学習能力、抗体能力、環境順応力、武具強化、行動補正など付加されていたのだった。最後の拡張では清潔維持、排泄物自動処理、言語翻訳、タレント補助機能、外装認識変化、視野拡張といったものがあった。
だけど、さすがに全部言うのはなんとなく嫌だったので清潔維持だけは伝えた。冒険してて洗ってなくて大丈夫なのかと思われるのはさすがに嫌だしね。
乃陰「なあ、ここの遺跡はいったいどんな拡張がされるんだろうな…」
正直、これ以上増えても使いこなせない自信がある。そもそも今ある機能を全部使いこなせていない気がする。
恵那「僕が着てる武具も拡張されないかな」
眠兎「この遺跡なら可能なんじゃない?」
なんとなく、そんな気がした。
武具の機能の閲覧方法はわかったが、自分自身のステータスはどうやって確認するんだろう…タレント補助機能の召喚が気になった。そもそもこの世界での召喚というのはどういうものなんだろう…今まで自分が記憶喪失でその失った記憶を得る為に行動してるけれど、どうにも…
この遺跡にある生物情報に気づいた。夢で見た大きな狼を調べればいいんだ!
眠兎「恵那!ここの生物情報に狼系ってどこにある?」
さすがに今ある多くの中で狼系と言うだけでも大量にあった。二人はあたりを見渡し、げんなりしていた。乃陰も見れるのかと思ったけれど、世界の縮図も脳内にイメージとして送り込まれるなら見えるか…
恵那「これだけ多いと探すのに一苦労しそうだけど、それって記憶に関する事だよね」
眠兎「うん、夢の中でそいつがなんか言っていたんだ。それをたどっていけば…」
恵那「でも、この量…かなりあるし、今日はここで泊まりになるか、それとも出直す?」
出直したくはないなと思った。また来るときに死亡ループは避けたい。あれがどういう条件でクリアしたのかよくわからないし、わざわざここに二度も足を運びたくない。
眠兎「泊まってでも手掛かりを見つけたいかな」
即決で決めた。とはいえ、部屋全体に埋め尽くされるようにある生物情報は並大抵の量じゃない…ソート機能とかフィルタ機能とかないのだろうかと思う量だ。
乃陰「眠兎、お前の武具に読み取らせてしまう事って出来ないのか?」
なるほど、その手があるかもしれない。祭壇には世界の縮図が表示されているが、ここにもう一度触れて意識すれば読み取れるかもしれない。
眠兎「そうね、やってみる。可能だったらラッキーだしね」
私は祭壇に移動し、手を置いて意識を集中させた。
さっさと全部よこせぇーよこせぇー出直して来たくない来たくないー野宿もしたくないー情報全部よこせぇーよこせぇー
意識しながら都合のいいことばかり念じるとバチッという音が遺跡内に響き、それを口火にバチバチという音が鳴り響いていった。
手を置いた祭壇の上に地面を這い光の線が収束され、私の武具が呼応して模様だと思っていた部分が光っていた。表示されていた生物の情報や世界の縮図も徐々に消えていった。
うっすらと線が光っては消えを繰り返し、身体全身にビリビリと刺激が走った。目の前が真っ白になり、意識が遠のいていった。あ、これっやばいかも…と思った時にはすでに手遅れだった。




