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3-

 私は夢を見ていた、銀色に近い青色をした狼が目の前に立っていた。その狼はとても大きく、昔映像で見たことがあるような狼だった。

「チュートリアル終了おめでとう。」チュートリアル…ってどういうこと

「初めての体験で混乱してると思う。もしもの時は助けに入るつもりだったけれど無事に危険を回避し盗賊を撃退した。君はこれから数々の困難と感動を経験するだろう、無事に君の物語が終わることを応援するよ」

 物語?何を言ってるんだろう、私は何を質問していいのかわからず、だけど、何かを聞こうとしたが―


「それでは良い旅を、」

言い切られてしまい、思わず―


「ちょっと待ちなさいよ!!!」

 と叫びながら目が覚めた。


 私はふんわりしたリクライニングシートに座っており、首がつかれにくいように頭部の部分がクッションになっている。昔はリアルタイム型で行うタイプのVRMMOや思考加速可能型などあったが、脳に極端に負担をかけることから脳の壊死化などで問題になり、今は世界で禁止された。

 安全だと言われ導入されてに30年前後経ってから次々と死亡者や身体に異常をきたす人たちが世界に増え、製造と使用を中止されたのだ。長時間使用しなくても、数年後に後遺症として脳が蝕われる人もいた。


 こういった事件から人に機械を埋め込むにしても頭部への機械化は目、耳以外はできなくなった。脳に直接機械をつなぐ事ですぐには出ないが、寿命を縮めるだけではなく苦痛や行き過ぎた快楽など五感に異常をきたし、精神が崩壊することになってしまったからだ。


「って、あれ?!夢…じゃないゲームだ」


 今では、夢のメカニズムを使ってVRするようになったのだ。夢の内容をコーディングとデコーディングが出来るようになったのだ。昔は特別な薬などが必要になっていたが、脳波のメカニズムが解析されて薬などの服用時より、自然睡眠時の方が夢を見やすい事が解明されて以来、変わっていった。健康的な生活の中で睡眠し、夢を見る生活が推奨されるようになった。


「はぁ~、なんなのよ…プロローグから最悪だし」


 寝ぼけながら自分がテスターとしてゲームに参加していたことを思い出す。少し身体が寒気を覚えており、さっきみた恐怖がまだ残っているような感じがあった。

 不思議にもまだ眠気もあり、もう一度ログインできるなとぼんやりと思い瞼を閉じた。怖い目にあったけれど、今まで遊んできたものと比べると臨場感があり感情移入しやすかったのもあった。


 うつらうつらしながら、精神に異常をきたす脳波が検出された場合、ゲームから自動にログアウトする機能はどのゲームにもついていることを思い出した。身体的に欠損があったり、拷問などされる前に目が覚めるようになる。これは世界倫理規定に基づかれてるので、心配はいらないとのことだった。

 ゲームオーバーになってしまっても、回避可能なポイントから自動的に戻るようになっているとのことだった。それを兼ねたテストということなので、実際そういった場面にならないとわからないなと思った。

 昔からあるオンラインゲームとは違い、夢を利用したゲームは時間の進みが完全なリアルタイムではないため仲間と冒険というのが難しいとされている。そもそも、ゲームに転用されるようになったのは―



 そして、私はログインした。そう、眠ったので物語の続きをしよう―



「それでは良い旅を、」


 その言葉を境に、私はハッと目が覚めた。心地よいベッド、ああ、怖い人達に襲われていたのは悪い夢だったんだ、身体が少しダルい、二度寝しようと思った。

 だけど自分が夢から覚めたのに、自分を第三者視点で見ている。見ているのに、ベッドの温もりや自分がどういう状態なのかも感じる。幽体離脱してるようでも、身体の感覚は感じる。


「ふぇ?!」

 そんな奇妙な状態だったのだから、奇声も自然と出た。


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