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 ゲームの中で寝て、現実で目が覚める。時間を見れば一時間経っていた。今日のテストはこれで終わりだろう、眠い目をかきながら、あくびをする。


 リクライニングシートから身を起こし、上半身だけ背伸びをし椅子から立ち上がる。小部屋になっており、電灯の光もついているが薄暗い。私は部屋を後にし、テスト項目を記入出来る部屋に移動することにした。


 医療機関の研究施設で廊下などは明るく、さっきまで薄暗い部屋にいたので眩しかった。徐々に目が慣れていったのでテストした内容を記入する部屋に向かった。


 部屋に到着すると他にもパソコンにデータを入力してる人たちがいたが、特に気にせず空いている席に座り入力を行った。必要情報などは認証を勝手に行ってくれるので、質問項目に入力するだけだった。

 数十分ほどで記入を終えたら、最後の画面で施設内のとある部屋までの案内が出た。そこで簡単な面談を行うと書かれていた、私はその場所に向かった。


 今回のゲームのテスターは友人が勝手に応募したものだった。元からゲームは好きなので、受かった時は嬉しかった。テスターとしてプレイするのは初めてだったがまだ発売してないゲームを先にプレイできるのは面白かった。勝手に応募してくれた友人には感謝しなきゃなーとぼんやりと思った。


 面談部屋に向かう途中、ゲーム内容についての質問で気になる項目がいくつかあったのを思い出した。いくらゲームとはいえ、夢を利用したものであるため、通常の夢と同じように意識しないといるけれどそこにいない状態になる。

 夢の中で本を読むという行為をした場合、その文字の一語一句を読んでいるわけではなく、そこに書かれている内容を感じて読んでいると感じさせている。そのため、ゲーム内で戦闘時になった時に混戦となった際に突然の攻撃、いきなり敵が現れたかといった事が質問があったのだ。また、動植物やNPCで印象的だったのは何が印象的だったのかといったことも質問事項に含まれていた。


 テスターに応募した友人は事前情報を知らない方が楽しいということで調べもせずにテスターに参加したが、世界観が全くわからなかった。わからないほうが絶対に楽しめるという言葉もプレイヤーの設定が記憶喪失だからというのもあるだろうが、正直、このゲームの世界観は面談が終わってから調べようと思った。


 装備してるものの技術レベルや壁や車両といい、飛び道具の銃が見当たらなかった事やバッググラウンドがわからなさ過ぎた。


 ゲームから覚めた時はゲーム内での感情は今までプレイしたゲームでは感じられなかったリアリティがあったのもびっくりした。またNPCやナビゲーターと思われる恵那と乃陰もゲームのキャラクターっぽいけれどっぽくない感じでよかった。

 

 それにしてもプレイヤーの装備は強すぎるような気がするけれど、どうなんだろう…聞いてみよう。あれこれ考えていると面談部屋に到着し、ノックをすると中からどうぞという声がしたのでドアを開け入る。


「お疲れ様でした、とりあえずどうぞ」

 ソファみたいに柔らかい椅子に案内される。白衣とかは来ておらず、ワイシャツにパンツとシンプルなビジネスウェアだった。

「あ、お疲れ様です」

 軽く会釈をし、ソファに腰掛ける。ふわふわした!


「え~っと、はじめまして鈴木と言います。時間もかけるのもあれなのでパパっと聞きたい事を聞きますね。気になった事があれば何でも聞いてください。よろしくお願いします」


「あ、はいよろしくおねがいします」


 そうして、面談が始まった。

主観と第三者視点(TPS)で酔わなかったか?

ゲームから覚めた後に視点で違和感はないか?

ゲームの中で感じた痛みは現実で感じていないか?

動物や遠くの景色、空など違和感を感じるところはあったか?

ゲーム内で会った人たちの顔を覚えているかどうか?


 こういった質問がされるのは夢を利用したゲームは自分自身の行動そのものが現実の世界にどう影響があるのかチェックでもある。


 昔見た映画[インセプション」で深層心理に深く潜り自己の決断をさせることで現実での思考プロセスや価値観の変化をもたらすという内容が含まれていた。


 だが実際にこの機器にそんな機能はなく、薬などの投与でのゲームプレイではなくに脳波をキャッチし、夢を見れる状態かどうかを機器が判断しその状態になった時に脳波に信号を送りゲームをプレイする流れなのだ。プレイヤーは健康状態でないとゲームができないことが多い。


 また生体認証システムのため、他人のキャラクターを買い取るといったことは不可能になる。一人で同時に複数のアカウントを運用もできない為、キャラクターを複数作成し同時に操作はできないとされている。


 この技術のもとはその人がどんな夢を見ているのか、映像化し心理診断用プログラムとして開発されたもので、それを実際に出力が可能であれば入力も可能ではないかという結果のもと、開発されたものだ。


 以前から、脳波信号によるVRのゲームなどはあったものの、実働時間が現実と同じであった。しかし、夢の中での時間と現実の時間が違い、睡眠中の方が現実よりも時間を長く過ごせることから爆発的に進化、普及していった。


 また普及したのも、他にも要因があった。フルダイブ型のリアルタイムゲームや知覚を高速化するものは発売されたが、脳に多大な負荷をかかることから脳年齢が通常よりも早く進むことがわかると規制が入るようになった。


 フルダイブ型のリアルタイムであることから自分の身体と違いすぎるゲームなどを長時間プレイすることによる脳が現実の身体との誤認識を埋める負荷そのものが脳と身体に影響を与え、身体は若いのに脳が年老いて死亡するケースが出た為だ。


 もちろん他にも妊婦が扱うと奇形児が埋めれるリスク、成長途中の健康児の成長変異、別姓キャラの使用過多によるホルモンバランスの崩壊、そして何よりもウイルス型の電子ドラッグの蔓延だった。


 この睡眠時に出来るシステムは画期的だった。健康であることをつとめ、規則正しい生活を心がけることでプレイ可能時間が安定して伸びる。


 また脳に負担がフルダイブ型のものと違うことだった。睡眠から覚醒した後、脳と細胞の意識について、脳細胞内で起きていることが現実の肉体とかけ離れすぎている場合、夢から覚めた時に肉体とのズレによってフィードバックされない。脳と身体との接続が夢から覚めたに通常に戻るためである。


 そして何より夢を見る事で1日の出来事の精神的負荷を整理し、ストレス発散になり、精神状態をリフレッシュする効果を向上させた。


 人は睡眠時間を削ることはできても、眠らないままでは生きられないため、眠っている時間が有効に活用できるようになること、またそのより良い睡眠をすることで睡眠学習やゲームを楽しめるといったことで健康的な生活を推進するようになっていったのだった。


 しかし、必ずしも夢を見られるわけではないため、夢を見るための薬といった類のものが出まわっていたりもした。しかし、そういった薬が身体に影響を与え夢を見れなくする作用やログインできないといったっ状態になるため、流行らなかった。


 人体に悪影響はなかったがゲームにログインできない人が続出していたからだ。薬の服用を辞め、規則正しい生活を送れば遊べる、または使用可能になるものであった。


 そして何よりも、ゲーム内のグラフィックなど様々な演算処理などプレイヤーの想像力が特定条件で反映、進化させていた。それはゲームだけではなく、学習ソフトの質の向上にも繋がっていた。


 では録画はどうだろうか、ゲームや学習内容について、人の知覚がFPSに近い形だったり、TPSであったり、また夢を見てる時間が1時間だとしても夢の中では1時間でないため、録画を保存できる容量もすぐにいっぱいになってしまう。


 政府機関や研究施設では録画などは可能だが一般家庭などでは機器も高価過ぎることもあり不可能とされている。そのため、内容を伝えるにも文章が画力などが必要になってきてしまうのも、他人がそれを読んだり、聞いたり、見たりし想像力を膨らませやってみたいと思わせていた。


 こういった事がある為、面談時にプレイしたゲームの内容をヒアリングを行っているのだった。実際に映像は医療施設であるため見れるのだが、実際に見れている映像と自分がプレイしてる内容が一致してるかどうかも兼ねていた。


「概ね、大丈夫そうね。何か気になった事とかある?」

 質問された内容を受け答え終わった為、聞いてきたので


「プレイヤーが装備していた武具が強すぎるような気がするのですが、仕様ですか?」

 スタートの状況から考えると恵那と乃陰に助けられるルートがあるはずだし、その後の遺跡で手に入れた武器などの彼らの反応を見ると明らかにおかしいと感じた。


「一応、プレイヤーの行動によって左右されていくシステムだから、仕様上ということになるね。他のテスターさんは、もっと強い武器を手に入れたりしてるけれど死亡したりしてるしね。スタートする場所も同じじゃないし、イベントも違ったりするから比較するのは難しいけどね。」


 この人が言うには、同じ状況やイベントや固有武器なども存在しないとのことだった。問題となってくるゲームバランスについては、プレイヤーの行動によって手に入る武具と肉体の基本ステータスが左右され決まっていくがゲームの進行に補整も入るが今のところ入ったテスターはいないらしい。


「他になにか気になった事はある?」

 特に自分が持っていた武具や手に入れた装備などは問題ないことがわかり、気になった事はなくなった。


「特にないので、大丈夫です。ありがとうございました。」

 挨拶をし、自宅へ戻る。


 移動中にさっきまでプレイしていたゲームの世界観や設定などをサイトから携帯端末から調べた。

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