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気が付いた時には、武装した男たちに取り囲まれ、興奮した口調が聞こえた。頭が冴えきれず、意識もはっきりしなかった。軽く頭痛がし、眼の焦点が合わず、そこにいる人達が何者かわからなかった。そして自分自身を上から見ていた。ボヤケていたが、見えていた…
「上玉だァ…フヘヘ」
「ダルマにして使おう」
「それだったら最後にバラしながらヤろう」
言ってる意味がわからなかった。わからないように聞いてなかったことにしたかった。ただ、それが何を意味してるかを恐怖が私を支配していた。自分を客観視している怖さに、周りが見えすぎてて震えた。こびりつくような不快な臭いは鼻を刺激した。
目が慣れてくると彼らがどんな人達か見えてきた。彼らの表情は下卑たもので醜悪そのものだった。表情もさながら、醜いと感じた。
自分はなぜこんな状況に陥ってるのか、どうやってここに来たのかさえ、わからなかった。そして、思い出せなかった…自分の震える手が自然と身を抱き寄せた。言葉は出ずとも、ひくついた唇から何か言葉を、叫ばないといけないと身体が反応をしていた。
わけもわからない怯えた状態の私に彼らの手が迫っていたときに、自分の周辺に透明な膜のようなものが発生した。何か頭の中に聞こえたがそれが何を言ってるのかわからなかった。
何が起きてるのかわからなかったが…私は助かったと思った、それがどういうものであれ自分を守るものだとはわかった。でもそれは、彼らの言葉と行動によって恐怖に引き戻されただけだった。
「糞が!結界か!」
「チィィ」
「ぶっ壊して引っぺりがしてやる!」
彼らはその透明な膜を武器を取り出し攻撃していた、攻撃される度に自分の体にかすかに衝撃が走り、その衝撃から長くは持たないことを感じた。
私は声にならない声を出そうにも口をパクパクとするだけだった。恐怖に身がすくんでしまったのだ。
そしてそれを知ってる彼らの表情は恐ろしいものだった。衝撃が体に走ることで自分はまともに思考も出来ず、恐怖とこのまま自分はどうなってしまうのだろうという不安に押しつぶされそうになった。
心拍数が急激に上がり、胸の鼓動がドクンドクンと打っているのを感じ目元から涙が出そうになっていた。視界が歪み、滲んでいきそうになっていた。
嫌だ、こんな意味もわからずひどい目に、理不尽に合いたくない。
恐怖と不安が不満になり、その感情は瞬く間に矛先を外へと向かっていくのを感じた。
それは怒りだった。
違和感を感じずにはいられなかった。さっきまでの恐怖が怒りに変わり、ぼやけていた思考が鮮明になっていった。そしてそれが刃になることもなぜか私はわかっていた。急激な感情の変化が自分の中に感じた。
けれど、それがどういう結果をもたらすのかはわからなかった。
わからないことだらけで、どうなるかもわからないけどそれを爆発させた。胸のうちから吐き出すように、溜まっていたストレスを発散する感覚だった。その瞬間、私を覆っていた膜は膨張し拡散していくのがわかった。眩い光を放ち、結界と呼ばれたそれを壊そうとしていた人たちは跡形もなく消えていっていくのがわかった。その爆発はすさまじいもので自分がいた場所以外はえぐられているのがわかった。
私は自分自身がしたことに整理が付かず、さっきまでの恐怖と不安が戻り、呼吸もまともにできなく気持ちが悪く身体が妙に重く、息苦しく、視界も狭まり気を失いかけそうになった。
ここで気を失ってはだめだと思っていても身体が言うことを聞いてくれなかった。必死に意識を保とうとしていたその時だった、さっきまでいた男たちとは違う身なりをした人たちが近寄ってくるのが見えた。
男が二人、私に駆け寄り何かを言ってきてるのを聞こえたが、何を言ってるのかうまく聞き取れずー私は気を失った。