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「ユーザー認証により、登録可能者と認定、機能アップデートします」
恵那&乃陰「はぁぁぁ?!」
眠兎「ふぁっ?!」
二人が奇声を発したので私が驚いたのは言うまでもにない。
っていうか拡張機能ってなんですかね…
拡張機能内容について表示させますか?Y/N
壁に表示され、その下にアップデート進行速度が表示されている。それと同時に自分の視界にウィンドウが次々と表示され何かが書き込まれているのがわかる。
15分くらいかかりそうなのはわかった。とりあえず、Yを選択して表示させた。
恵那がもっと慎重にしろとかなんとか言ってるけれど、あまり気にしない。女は行動力だし!
・三次元オートマッピング機能追加
・自己防衛機能強化
・武具拡張
大きく3つの拡張機能があるようで、二人は書かれている文字を見て放心している。私自身、よくわかっていなかったのでとりあえずプルダウンで詳しいメニューが表示されるものだと思ってそれぞれタップしてみた。
眠兎「え~っと、ポチポチっとなーっと」
するとそれぞれの詳しい説明文が表示された。
三次元オートマッピング機能は、マッピング機能だった。迷子になる自身があるので正直これは嬉しい。なんかいろいろ一度行った場所へ行くときの最適ルートとか到達時間とかいろいろあるけれど、迷子にならないっていうのはわかった。
自己防衛機能、どうやら強化されたらしい。強化された項目を見てもよくわからなかった。とりあえず結構固くなったってことだろうと思った。
最後に武具拡張、これは今まで武器を持ってなかったので拡張して武具が生成されますってことだった。そして、自分に合った武器ということなので、店で買わなくてもいいのがよかった。お金持ってないし…
適当に説明文を流し見していたら、恵那が羨ましそうにこっちを見ているのがわかった。
眠兎「ドヤッ!」
恵那「イラッ!」
さすがに何時間も一緒に歩いてここまで来たので仲良くなったりするわけでして、ほとんど変な気を使わないでいた。
乃陰「そんなでなんか書かれてるんだろ、なんて書かれてるんだ?」
乃陰は二人のやり取りを見て、書かれてる内容が気になってるようだったので
眠兎「えーっとね、迷子にならないのと、防御力が上がったのと、武器がこれから手に入るってことよ!」
恵那「乃陰、僕があとで詳しく説明するよ…」
乃陰「あ、ああ…頼む」
お、バカにされてるな私
眠兎「ちょっとー、要約してわかりやすくしたのにその態度ひどくない」
恵那「そういえば、武器って何が手に入るんだろうね」
乃陰「あ、それは俺も気になった、ていうか戦えるのか…?」
すると背後、部屋の中心部に長方形の台座が地面からせり上がってきた。こういう時TPS視点って便利だなーと思う。
せり上がってきて、腰よりちょっと高い位置で止まり、棒が出現した。私はそれを手に取り、自分の身長くらいの長さがあることを確かめた。手に取った後にウィンドウが表示され「操作説明を行いますか」という文字が表示されたので「はい」と意思表示を行った。
恵那と乃陰には聞こえてないのか、説明する声が聞こえる。
長さ、太さを変えられること、自動修復機能があること、棒ではなく槍だったということだった。
私はその槍で感触を確かめつつ、槍に入れてる刃を探した…がどっちの先端にも何もついてなく、どういうことかと頭をひねった。
恵那「なんか説明とかなかったの?ていうかその棒何?」
乃陰「また聞いてなかったんじゃ…」
眠兎「これ棒だと思ったら、槍なんだけど…刃がなくて確かめていたのよ」
恵那「ちょっと構えて、念じたら出るとかじゃないのか?わからないけど」
眠兎「むー適当ねーまあ、ちょっとやってみる」
そして、それっぽく構えて出ろーと念じたら、出た。
恵那&乃陰「うおお!?」
眠兎「ヒィィ!」
二人が驚くからめっちゃビビった。
眠兎「お、脅かさないでよ!!!」
と槍を二人に向けたら、超反応で二人は私から距離をとった。
あれ、なにこの反応、ちょっとおもしろい。
恵那「そ、それ危ないからこっちに向けてないで…お願いだから」
乃陰「そのエネルギーの尖った塊をこっちに向けんな!あぶねえ!」
眠兎「わ、悪かったってー」
矛先を天井に向けて、反対側を地面につける。
恵那「ビームランサーだったとか、危ないから!」
え、何ビームランサーってなんです?
乃陰「ビィ!?ビームランサーだって?!通りで尖ったエネルギーだよ!!!ていうか…なんでそんなに軽々しく持ててるんだ?!」
なんか二人の反応をみて、とんでもない武器だってことはわかった。
眠兎「えーっと、詳しく説明を…してくれると嬉しいかな」
二人から呆れられつつも、自分が持ってる武器のとんでもなさを教えてくれた。槍の刃は念じたら消えた。出っぱなしだったらどうしようかと思ったがそんなことはなかった。
ビーム系の武器は基本、出力された時に出力された方向に重力がかかるため、普通の武器と違い、出力によってかなり力が必要になるとのことだった。だが、ほぼ防御無視出来るため、かなり凶悪だということだった。
出力時間は限られているものの、黄金の民の武器は基本時間が経てばすぐにまた使える為、かなり高価な武器で使用者を選ぶとんでも武器とのことだった。
眠兎「ふーん、でもこれ持ってる時に重さとか感じないよ?」
乃陰「うーん、俺もビーム系だと思ったんだけど、ビーム系特有のエネルギー波とは違う感じがする」
恵那「僕はビーム系は話でしか聞いたことないから、違いがわからないや…」
すると乃陰がその違いについて説明してくれた。ビーム系の武器は綺麗な刃を生成するわけではなく、ぼんやりとした状態の刃だというのだ。
私が出した刃はぼんやりではなく、はっきりとした刃だったのだ。またビームを出力する穴がこの槍にはなかった、出力する形と形成された刃の形が違い過ぎてる事からビームランサーではなく、別の何かだという事だった。
眠兎「それにビームが出た時に重く感じないのも違うってことなのね」
乃陰「ああ、別物だと思うが凶悪な武器なのは違いないと感じる。なんていうか触れたらヤバイのは確実だろうな」
なんか扱えるのか自信がない、というか武器なんて自分は使えるのだろうか…
恵那「まずは棒状態で戦って慣れてきたら刃出せばいいと思うよ」
私の気持ちを察してくれたのか、フォローしてくれた。
よし、がんばって使いこなせるようになろう!
そして、気がついたら機能アップデートは終わっていた。
他になにか反応があるか適当に調べて、お昼にすることにした。外に出て、近寄ってくる魔物や人がわかる場所に移動することになったのだが、遺跡から出ると遺跡の入り口が消えた。
乃陰いわく、遺跡としての機能が終わると消えるらしく、私が中身を全部とったことの証明になるとのとことだった。手に入れた槍についてや機能とかもギルドに渡すのかどうかもという話も教えてもらった。どうやら持っていていいらしい。
遺跡のものについては世界の敵に渡るよりも登録された冒険者が持っている方がまだいいとされるのだった。ただ手に入れた物はどういったものか報告し場合によっては研究対象となるため、出頭して協力する必要があるらしい。報奨金や研究費として支払われる事があるが秘匿も可能らしい。その際は報奨金や研究費などは出ないとのことだった。
単純に自分が所持してる戦力が調べられてしまうため、嫌がる冒険者もいるとのことだった。というのも、それを狙う人もいるため防衛手段でもある。
お昼ごはんを食べながら、今回の事についていろいろ話をした。結局のところ、狙われるのは怖いので、秘匿することにした。二人もそれがいいと同意してくれた。お昼を食べ終えた後に、二人から槍の使い方を教わったのだが―
眠兎「恵那くん、そ、その武器どっから出したの?!」
簡単な組手をしようということになったのだけど、まずは恵那から行う事になった。恵那は鞘に入った剣を持っていた、ここまで来る道中でモンスターを退治していた時とは違う剣だった。
さっきまで持っていなかったのでどこから出したのか全くわからなかったからだ。
恵那「あ、あれ…まだ一度も見てなかったっけ…」
心創剣と呼ばれるもので、代々受け継がれてきてる能力で武器を具現化することが出来るとのことだった。心の強さ、思い、など影響する武器だろうだ。こういった能力は血筋の系統によっていろいろあるんだそうだ。
だから、遺跡で恵那たちが反応しなかったのも他の人が反応することがあるとのことだった。
乃陰はそういった武器とか生成したり能力があるのかと聞いてみたら、そういったものはないとのことだった。得意なのは格闘だけど、武器があってもなくても変わらないとのことだった。
説明が終わると恵那は剣を正眼に構え、私は棒を構えた。基本的な構えと突き方を教えてもらい、あとは組手を通して実戦経験をしていくことが大事だそうだ。というわけで組手なのだけど…
恵那「いつでもいいよ、僕は攻撃を避ける、払うのみだから攻撃される心配はないよ」
とは言うものの、当たってしまったらどうしよう…
乃陰「眠兎、間違っても恵那に当たるとか思わない方がいいぜ。剣一本で生き延びてきただけあってそれなりに強いしな」
眠兎「そ、そう…じゃあ、やってみる!」
私はすかさず恵那の剣を持つ右手に向けて突きを入れた。もちろん当たるとは思わないし、自分がどの程度なのかわからなかったのでものの試しにやってみたのだ。
恵那は瞬時に剣を横にし、半回転させ、切っ先を地面にした状態で剣の胴で防ぐと同時に押した。突きを入れる際に当たる瞬間にしっかりと持つのだが、その前を狙われた為、体勢が崩れ尻もちをついた。元いた場所にふっとばされたのだ。
眠兎「ま、まだまだ!」
すぐに立ち上がり、弾かれるという前提で何度も攻撃をし、全く攻撃が当たらないことを痛感する…
さすがに武器をゲットしたからといって、強くなるわけでもない。そういえば、刃を出したらどうなるんだろうと思ったので聞いてみた。
眠兎「刃を出した場合も同じになる?」
恵那「うーん、まず出した状態で適当にそのあたりの木とか岩でもいいから突いたりしてみて、正直どういう性質の武器か確かめたいんだ」
眠兎「わかった、とりあえずあのでっかい岩を突いてみる」
念じ、刃を発生させ、普通に岩を突いた。
突いた、という感触はなんとなくあるようなないような不思議な感じがした。そしてそのまま引いて、突いた所を見てみると、綺麗に刃の形がぽっかりと空いていた。
乃陰「怖ぁ…ビーム系の武器だと切り口が違うが、その刃は切れ味が、というよりも触れたらアウトというとんでも武器だな」
攻撃力が非常に高い武器を手に入れたのはよくわかった…これって切っ先ではなく真横にしたら、その範囲分無くなるのか気になってやってみたが通らず止まった。
眠兎「あれ?」
恵那「おっ」
乃陰「ほぅ…」
つまり、切るとか突くは可能だが、刃じゃない部分からだと通らないということだった。
乃陰「これはビーム武器じゃないな、ビーム系だとしたらどの方向でも行けるしな」
恵那「とんでもない切れ味の槍ということになるのか、相手の防御無視ってことなのかなぁ」
乃陰「真正面から防がずに払わないと貫通させられ死ぬってことか…」
その後、乃陰に組手をしてもらったが、恵那と違い乃陰は全て寸止めで攻撃してきたのだった。しかも、どんなに距離をとろうとしても離してもらず近距離での防御手段や引き離し方など学べた気がした。
眠兎「私が一番弱いってよぉくわかったわ…くやしぃ…」
うなだれる。もうちょっといいところまで行けるかなと思ったらそうでもなかったので思った以上にショックだったのだ。
乃陰なんて武器持ってないわけだしね。
恵那「それにしても…眠兎の体力は底なしだね…僕ら二人を相手した後、全然へばってない」
乃陰「そうそう動きも段々よくなってるし、センスがあるなって感じる」
眠兎「べ、別に褒めても何も出ないし」
こそばゆくて、思わず視線をそむけてしまった。どきどきする。
あまり長居すると町への戻りが遅くなってしまうので帰路についた、今回の遺跡調査は完了したと報告し、遺跡も再調査が必要ないという報告をして報酬をもらう形になる。
新しい機能、防御力アップ、武器も手に入って、更にお金も手に入るってことが楽しみだった。恵那のお姉さんの手掛かりは何も見つからなかったけれど、乃陰の方は私の武具に興味津々でいろいろ聞いてきたりしてる。私自身、よくわかってないことがあるので逆に勉強になったりする。
一番驚いたのは、全員同い年だった…




