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ドアがノックされ、恵那の声がドア越しから聞こえた。乃陰も一緒らしく夕飯にしようとのことだった。本来ならば一階にあるところで食べれれるが周りにも人がいて落ち着いて話がしにくいとのことから今いる部屋になった。
二人が持ってきたものは、暖かい食べ物こそはなかったが発酵食品、乳製品、肉、そして穀物といったものだった。食べ物の香りが漂ってきてお腹が減ってる事がわかった。
恵那「あれ、髪を結んだんだ…その耳どうしたの?」
乃陰「その耳…もしかしてその服から出てきたのか?」
とってもワクワクして聞いてきてる乃。この耳の機能を言ったら驚くだろうな…というか感がいいな
眠兎「髪をまとめたいと思ったら出来た、自分でもびっくりした。あと周りの話とかもなんていうか見えるといった方がいいのかな、わかるようになった」
乃陰「見える、か…なるほど聞こえるというわけじゃなくて視覚情報としてってことか、想像つかないが情報収集機能も兼ね備えてるのかすごいな」
恵那「すごいな…よくわかならいけど」
乃陰はそれがどういうものかわかったかのように頷きながら言い、恵那はよくわかってなかった。
乃陰がため息を付きながら、恵那のことを小馬鹿にし、それに反応して恵那は自分がそれを使えて見れるわけじゃないからわからないものは仕方ないと言っていた。話がそれて盛り上がってる中、眠兎は壁について聞いてみる事にした。
恵那「あの壁か、彼らの侵攻ラインでもあり情報によるとグレートウォールと呼ばれてるんだ」
乃陰「今後どうしていくかを踏まえて説明しよう」
グレートウォールの近くは世界の敵が現れる事があり、危険度が高い。遺跡調査なども通常地域と比べて、世界の敵との遭遇があるため、報酬も変わってくる。
世界の敵に遺跡が渡るくらいなら、冒険者に回収もしくは可能であれば破壊を依頼される。
盗賊や遺跡荒らしなどもいたが、実際は捕れるものはないことが多く黄金の民、もしくはそれに準ずる種族でないと反応しない事がある。
また黄金の民でも、反応しないこともあるため、謎に包まれている。調査を行うにも解析に時間がかかる。グレートウォール付近で解析を行っていた研究班が襲われてから冒険者に調査を依頼する形になった。
あの壁は元は黄金の民のものだと言われていて、それを悪用してるというのが世界の敵だという。
もとは隷属国家であった世界の敵は、そのことから「謝罪と賠償を行え、お前らは我々の隷属となれ」と言い各国にありえない要求を行い、突っぱねられた後に実力行使を行った。
隷属国家でありながらも黄金の民の恩恵を受け経済、文化など飛躍的に成長を遂げた。隷属していた国は、軍事、経済、文化的にも力があったが隷属している国へ対する援助は行わず政策などに干渉していた。
黄金の民が突如いなくなった後、即座に黄金の民が居た場所へ行き多くの遺産を回収した。世界の敵については、自らを本当の黄金の民と名乗るようになった。我々こそが本当の黄金の民だと…
そして、隷属していた国へ攻め込み、壊滅させた。各国は、危険と認定し、交渉を試みるがすべて却下され彼らが侵攻してきてるとのことだった。
最初、侵攻は早かったがグレートウォールを完備すると遅くなり、徐々に侵攻することになった。壁の向こう側では何が行われているのか見えなくなり、それ以前は何が起きているのか、どんな事がされているのか情報が渡ってきたのだが、それがなくなったのだった。不気味さが際立つ中、侵攻してくる壁は生態系を崩し、気候さえも変化していった。
そのため、多くの冒険者などが情報収集など行うようになったがあまり成果は出ず、壁の向こう側に調査に行く者もいたが戻ってこないため、難航してる状態だった。そんな中、突如各地で遺跡が出現するようになり世界は混乱したがその遺跡から黄金の民の遺産が見つかると各国が競うように遺跡調査へと乗り出した。ただ遺跡がなぜ突如出現したのか、以前謎に包まれたままだった。
各国は遺跡の調査や遺産の回収を行い、戦力をこれ以上敵に与えない上、自国の戦力強化に務めるようになった。しかし、遺跡の数は膨大であったため各国が未発見の遺跡含め許可無く立ち入りを止めたとしても手が回らなかった。
そこで冒険者ギルドが発足され、各国と連盟の元、活動を行うようになったというのだ。しかし、世界の敵も遺跡を狙ってくるため冒険者だけでは命の危険が地域によって変わってくるため、傭兵も同じくして出現するようになった。
その中で恵那と乃陰はたまたま遺跡で出くわしてから一緒に行動するようになったということだった。冒険者といえど、単独での活動を行っている者は何らかの理由があって単独、それは悪く見られてしまう意味が多い為、一緒にいるのだという。
彼らが危険度が高い壁の近いエリアにいるのは、恵那は生き別れた姉が逃げ遅れた壁近くなら最初から壁近くで探した方がいい為、乃陰は金回りや来れなくなる前に調査しておきたいからという理由だった。
一度、調査した遺跡を再調査を行い、眠兎が黄金の民かどうか確認。装備だけじゃ確証を持てないし、何よりも今後の生活費を稼ぐ手段を持つ為だ。
恵那「遺跡に行って何かしら反応があれば、確証が持てるしね。僕たちも反応があったのだけど、求めてる反応じゃなかったんだ。」
乃陰「そうなんだよなぁ…一口に黄金の民といっても系統があるからな…皇家や武家などに近ければ反応しやすいって聞くしな」
恵那「一応、自分も武家だけど遺跡は反応示さなかったんだよね…」
乃陰「俺は混血だからなぁ…血が薄いんだろうな」
眠兎「もしかして、血とか必要なの?」
恵那「いや生体情報を認識して反応するんだ。血をどうにかするとかじゃないよ」
眠兎「ふぅ~ん…痛いこととかしないよね?」
若干、不安に思いつつも先に聞いてみた。正直、何が起きるかは覚悟しておきたいし
恵那「遺跡によって様々なんだけど、大抵は最深部や祭壇があってそれに触れると何か起きる。大きな遺跡だと入口で反応するらしいんだ」
乃陰「まあ、生体認証システムが使われているらしいんだ。」
眠兎「なるほど、それでなんらかの反応があればいいってことね」
恵那「まあ、そうねるね。そうなったら報奨金ももらえるしね」
報奨金!世話になり続けるのは気が引ける、なのでせめてちゃんと稼げるようになりたい。できれば大儲けしたい。
眠兎「女は行動力!って辺境の王子を助けて玉の輿になった人形使いの女王が言っていたしね!」
そういってガッツポーズをし、気合を入れた。
若干、二人が引いていたけれど気にしない。それよりも報奨金の額が気になっていた。
眠兎「ところで報奨金ってどのくらいもらえるの?」
それから詳しく金額についてや冒険に必要な費用などについて聞きまくった。休んで元気になっていた私の豹変ぶりに彼らはちょっと引いていたけれど、気にしないったら気にしない。
気にしたら負けだ。




